本屋の店頭で『定年後の知的生産術』という新書を、手にしたのです。
クリエイティブ・シニアを応援する一冊ってか・・・ええなあ♪
本は図書館で借りるものとなってしまった大使にとって、新刊本を購入するのは久しぶりのことでおます♪
【定年後の知的生産術】
谷岡一郎著、筑摩書房、2018年刊
<「BOOK」データベース>より
定年退職後こそ、クリエイティブに、好きな研究、夢や目標に向かって打ち込むチャンスである。これまでの仕事や人生で得た経験が、意外な組み合わせによる新しい発想や、本質を見抜く眼力に通じる。時間的・金銭的な余裕が比較的あることは、シニア世代の大きなアドバンテージである。本書は定年後のクリエイティブ・シニアを応援する一冊。
<読む前の大使寸評>
クリエイティブ・シニアを応援する一冊ってか・・・ええなあ♪
本は図書館で借りるものとなってしまった大使にとって、新刊本を購入するのは久しぶりのことでおます♪
rakuten定年後の知的生産術 |
著者が説く「情報を捨てる能力」が興味深いので、見てみましょう。
p110~114
■情報の海で溺れる人々
現代人は文字を読む頻度が減ったと言われるが、それはプリントされた紙媒体の出版物に限定しての話。スマホのニュースやライン、メールなどを含めると、いわゆる読む量自体は少なくなっていないような気がする。電車の中でも横断歩道上でも、ひたすら画面を見つめている人々が文字に触れる量は半端ではなく、「読書好きの人々にも負けないレベルである」という言い方も可能である。
問題はその「文字を読む」行為が、読書における「本を読む/文章を理解する」ほど、本人の知の形成に役に立っていないだろうという点にある。
現代は、そしてこれからの社会は、情報が溢れる時代であるからこそ、その「真偽や質を見極める能力」が必用とされるのである。でないと、人々は情報の海で流され、溺れかけ、もがき続けることになる。何も考えず、闇雲に読む文字の絶対量を増やすだけでは、効率の良くない努力に近いのである。
■シンギュラリティ・ポイント
コンピュータなどの情報機器の発展、特にメモリー・チップの飛躍的な処理スピードと量は、多くの人々の予想を超えている。記録され、いつでも引き出せる情報量は、この30年以上にわたり、級数的な比率で伸びてきた。
伸びるスピードは徐々に収まるものと仮定しても、2037年にはコンピュータから引き出せる情報が、歴史上存在したすべての本や著作、記録の量を超えるという。俗に「シンギュラリティ・ポイント」と呼ばれる到達点である。この用語、今ではコンピュータが自己意識(つまり「私」という概念)を持つポイントとして使われることもある。
もしマシンが「私」という意識を持つと、それは同時に「殺されたくない」という、保身の本能を生み出すのではないかと危惧する声もある。コンピュータはネットを通じて、いろいろな組織内部や情報機器にアクセス可能であるがゆえに、その影響力は予想の範囲を超え、人間が支配下に置かれることすらあるのではないかという不安である。いやそんなことは起こらないだろう(などなど)、危惧以外にもいろいろな意見が出されているが、本当のところは分からない。
(中略)
■情報を捨てる能力
筆者は神戸芸術工科大学で、映画に関する授業を担当している。「学生に観せた映画に関し、少人数でディスカッションするだけ」という内容である。「他人の意見を聞き、理解し、そして自分の意見を言うことができるか」というのが授業の本旨である。
ある年、各自に「今日の映画の感想を1000字以内にまとめてくること」という宿題を出したところ、多くの学生が見事なレポート(詳細な分析)を提出したが、どれも類似点があった。
「ハハーン」と思って調べてみると、案の定、雑誌やネット上の論評を「コピペ」したものであった。今は教員側にも、特定の文脈を過去の文献などと比較するソフトがあるため、ごまかす側も少々難しい時代となっている。当然であるがコピペをした学生には警告を与え、2度目は単位不可である旨を伝えた。その年以降は、クラス内でのディスカッションの質と量だけで成績をつけることにしたが、何かしらでもしゃべらないと0点であることを知ると、学生は否が応でもしゃべり始める。最初はぎこちない意見発表でも、そのうち慣れて、自分から話に入るようになるものなのだ。
筆者が前の世紀に出した本の中で、「これからは情報を集める能力より、いかに捨てることができるか、という能力の方が重要になる」と述べたことがある。情報の海で溺れないようにするには、情報を捨てることも必用で、それができない人は実社会でのリーダーにはなり得ないだろう。
第一章で、いろいろなことに興味を持ち、チャレンジしよう、首をツッコもう、と述べたことと、相容れない論に思えるかもしれないが、筆者の頭の中では矛盾はない。首をツッコんだトピックの中にも、捨てるべき情報は多く、実際捨てる決心をしたトピックも少なくない。
要は「何を捨て何を残すかを見極める能力」があるか否か、という点が重要なのである。
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ウン 昨今は身の回りの断捨離に勤しむ大使であるが・・・なかなか参考になるご意見でした♪
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