手許不如意の大使は外出時には、サイゼリアですますことが多くなりました。
だって最近はラーメンが千円近くするので、サイゼリアのコスパがより魅力的に映るわけです。
・・・というわけで、ヤマザキマリが説くイタリア料理を復刻して読み直してみます。
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図書館で『パスタぎらい』という本を、手にしたのです。
ヤマザキマリが説くイタリア料理ってか・・・これはいけるかも♪
【パスタぎらい】
ヤマザキマリ著、新潮社、2019年刊
<「BOOK」データベース>より
イタリアに暮らし始めて三十五年。断言しよう。パスタよりもっと美味しいものが世界にはある!フィレンツェの絶品「貧乏料理」、シチリア島で頬張った餃子、死ぬ間際に食べたいポルチーニ茸、狂うほど愛しい日本食、忘れ難いおにぎりの温もり、北海道やリスボンの名物料理…。いわゆるグルメじゃないけれど、食への渇望と味覚の記憶こそが、私の創造の原点ー。胃袋で世界とつながった経験を美味しく綴る食文化エッセイ。
<読む前の大使寸評>
ヤマザキマリが説くイタリア料理ってか・・・これはいけるかも♪
rakutenパスタぎらい
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第3章でオリーブ・オイルが語られているので、見てみましょう。
p85~87
<第3章 それでもイタリアは美味しい>
■「万能の液体」オリーブ・オイル
イタリアの家庭において絶対に切らしてはいけない調味料といえば、オリーブ・オイルをおいて他にない。
いざ料理する段階となって、オリーブ・オイルを切らしているのに気付くイタリア人で、軽いパニックになる人は少なくないはずだ。実際私も、舅が最後のオリーブ・オイルを使い切っておきながら、新しいのを補填しなかったことに姑が激怒して、その日の食事の準備を放棄してしまったのを目にあたりにしたことがある。
かといって、慌てて近所のスーパーで買ってきたところで、事態が円満に修復されるとは限らない。イタリアではその家庭それぞれにオリーブ・オイルへのこだわりというのが強くあり、どこのものでもいいということは決してない。例えば我が家の場合であれば、オリーブ・オイルはスーパーなどで小売店で購入するのではなく、二世代前から世話になっている農家から分けてもらっているものを使うのが定番だ。どんなに高級で高いオリーブ・オイルを買ってきても、喜んで使ってくれるわけではないのである。
イタリアのサッカーのナショナルチームが海外に遠征する時に、専属の調理師を伴っていくのは有名な話だが、その時に携帯する調味料として絶対に欠かせないのがオリーブ・オイルである。それもおそらく慣れ親しんだものでなければいけないはずだ。
選手によっては自分のコンディションの不調をオリーブ・オイルの味が普段と違うことを理由にしたりもするだろう。もし、普段使っているものが入手できない場合は、せめていつも使っているのと同じ生産地域のもの、それが厳しければせめてイタリア国内のもの、という優先順位になるだろう。
十年ほど前、当時暮らしていたポルトガルからイタリアの実家に持ってきた、お薦めのポルトガル産オリーブ・オイルは、いまだに台所の棚の中にしまわれていて、使われる気配はない。オリーブ・オイルはワインと並び、彼らにとって極めて保守的な食材なのである。
日本だと「オリーブ・オイルごときでそんな大袈裟な」と思われる方もいるかもしれない。例えば醤油にしても、決して全ての料理に使う訳ではない。しかしオリーブ・オイルに関しては、あらゆるイタリアの食事にとって必要不可欠なものなのだ。
パスタでもスープでも調理の段階で用いるだけではなく、食べる直前にも、さらにオリーブ・オイルを上から垂らす。ドレッシング文化のないイタリアでは、サラダを和えるのにもオリーブ・オイルは欠かせないし、肉や魚がどのような形態で調理されても、その上にはやはりオリーブ・オイルが掛けられる。
私が貧乏学生時代によく食べていた「アーリオ・オリオ・エ・ペペロンティーノ」にしても、オリーブ・オイルさえそこそこ美味しければ、かなり贅沢な気持ちになれる。
古代ギリシャや古代ローマの人たちは、朝ごはんにオリーブの実を食べたり、オリーブ・オイルの掛かったパンを食べていたとされているが、「地中海人」たちの徹底的なオリーブ・オイルへの執着は、おそらくあの頃から培われたものなのだろう。
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『パスタぎらい』3:スパゲッティ・ナポリタン
『パスタぎらい』2:恋しいラーメン
『パスタぎらい』1:アーリオ・オリオ・エ・ペペロンティーノ
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