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テーマ:私の読書(24)
カテゴリ:本
骨が語る日本人の歴史 片山一道 2015年
縄文時代 一万年間 男 158cm 女 145cm 弥生時代 七百年間 古墳時代 三百年弱 体格差 160cm 167cmの骨も 奈良・平安時代 160cmに届かぬ骨 江戸 男 158cm 女 144cm 戦後 一世代で容貌激変、日本人離れは特異なほど。 足でなく脚が伸びた 弥生時代の大変革により階層による身体特徴の差が生まれたそうだ。身長だけでなく、顔立ち、噛み合わせも変化したそうだ。それが、社会が封建的になっていき、通婚圏が限られてくると、身長は低くなり、特に、江戸時代の低さは特別だそうだ。 日本人のルーツがどこかに見つかるというような話ではなく、日本列島で多様に変化してきたと考えられ、外来で席捲されるとかではなく、食性の変化、通婚域の拡縮で身体に変化が生じて多様化したのが実態と考えられるそうだ。 人種としては縄文人、民族としては倭人で、国民としては日本人として日本列島の住人の歴史が始まり、狩猟・農耕・漁労、食物、活動域で身体特徴も多様に変遷・分布してきたそうだ。 骨からわかる厳然たる事実と、わかるはずのない事項があるそうで、骨の語る事実から考えると、日本人の歴史観は時代の意向・趣向に影響された誤った史観がいくつかあるそうだ。明石原人説、南方起源説、大陸渡来人による置き換わり説も事実とは、考えられないそうだ。 戦後に、戦前の神話が否定されてしまい、余計に自己のアイデンティティー探しが思考的ブームとなり、まことしやかに趣向にあった言説が語られ、ひろまってしまったそうだ。 著者の歴史教育の欠陥指摘には、納得させられる。やみくもに覚えるのではなく、人間の営みに対して覚える知的好奇心をやしない、自他の社会の違いに対する自立した思考力を育てるのが、歴史教育だそうだ。歴史を教える目標も、教える教科書の内容も誤りがあるそうだ。 算数は、物事や出来事の道筋や道理を理解する術をつけさせること、国語は、みずからを表現し、他人をおもんばかるセンスを磨かせるのが目標だそうで、教育目標の誤りは、歴史だけとどまらない気になってくる。 "社会科学的"歴史教育の不安定さを思うと、理科的歴史教育がつくづく大事であるようだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 9, 2015 01:56:54 PM
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