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テーマ:北アルプス(17)
カテゴリ:山歩き。
相部屋のご夫婦は4時前には起床して出発の準備に取り掛かっていた。耳栓はしていてもやはり狭い部屋なのでこちらも目が覚める。なので、僕らも準備に取り掛かった。
朝食を食べ、山荘を出発したのが5:30ごろ。天気は昨日以上によくない。辺りはガスというよりも霧で覆われ、雨はないものの風が強く吹き、この先進むのをためらうほどだった。実際、北穂高岳まで行って天候の回復が見込まれない場合は涸沢へ下りようということでスタートした。 ガス(霧)の中、ひとまず涸沢岳を目指す 涸沢岳は山荘のすぐ脇にあるので20分ほどで到着する。天気は良くないので当然のことながら周囲は真っ白。写真を撮ったらすぐさま移動。登頂というより単なる通過だ。 達成感のないまま涸沢岳に到着 やはりというか、このような天気の時には前日同様、雷鳥が姿を現した。雷鳥の姿を見ると何だかラッキーな感じがして、天気とは裏腹に気持ちも多少は和らいでいくのがわかる。 雷鳥親子(左に子雷鳥がいるけどわかりにくい) 霧の中岩場を進んでいくが、その霧も時間とともに晴れていく感じだった。実際、空を見上げると時折青空が見え始め、北穂分岐に着くころには太陽が辺りを照らしていた。そのため、下山はやめて北穂高岳、及びその先へ進むことにした。 次第に青空が見えてきた 北穂分岐では涸沢から北穂へピストンする人と多く遭遇する 北穂までこの天気が続いてほしかった 天気も回復しはじめたので頂上からの展望を期待していたが、そうはうまくいかない。頂上に到着したもののガスが邪魔をして展望を楽しむことは叶わなかった。 空の変化が目まぐるしい 頂上直下に北穂高小屋があるが、ここからA沢のコルに向けて急降下していく。クサリやハシゴなどが時折出てくるが、慎重に下りていく。途中「飛騨泣き」と呼ばれる難所?を越えていくのだが、そこを示す標識はなかった(見かけなかった)。険しいところはそれまでもいくつかあり、その都度一つ一つクリアしていったのだが、飛騨泣きがどこかわからないまま通過していくと、すれ違った人が他の同行者に「この先が飛騨泣きです」といったことを話しているのを聞いてようやくさっきの場所がそうだったのかと認識したぐらいだった。 飛騨泣き付近を進む 飛騨泣きを下りるmomo 天気は急速に回復しだし、槍ヶ岳はまだ見えなかったが、南岳方面は視界もクリアになっていた。そんな時、再び雷鳥親子と遭遇した。この日2回目だ。ガスった時ばかり遭遇していたが、今回は晴れていたので天気は関係ない様だ。いずれにしても1日に2回も出会えるとはラッキー以外の何物でもない(勝手に浮かれているが、他の人はどうなのだろう、何度も見かけている人にはフンとあしらわれそうだ)。 本日2度目の雷鳥 結構威圧感のある南岳 いよいよ長谷川ピークへ向かう(ナイフエッジだな) A沢のコルを通過して、続いて「長谷川ピーク」という地点に取りついた。今度は標識があるのかと思ったが、やはりない。しかし登っているとピークっぽい(どんなんや!)ところに出たので、見渡したら岩肌に「Hピーク」とペンキ書きされていた。これがそうなんだろうと思い次へ進む。 両手両足を使ってよじ登る 長谷ピー(右手は絶壁) 北穂から長谷川ピークにかけての一帯は「大キレット」という日本屈指の難所と言われるところだが、実際に通ってみてどうだったかと聞かれると「まあ、険しかった」としか言いようがない。もちろん、容易だったということではなく、急峻な岩場に、クサリあり、ハシゴありで慎重さを要求されることは言うまでもないし、足を滑らしたらタダでは済まない場所だ。だからと言って必要以上に身構えることはないんじゃないかなって思う。岩も手が引っ掛かりやすいようなところにうまく切れ込みや出っ張りがあったり、足の置き場もうまく削られていて置きやすいようになっていたりする。なので、クサリはあってもむしろクサリに頼りきらず、両手両足を使って這い上がり(この方が楽で速い)、下りは片手でクサリ、片手で岩の切込みを握るなどして対応した(基本どの岩場も同じ。ただ、横移動はそうはいかない)ので、険しかったが足がすくむってことはなかった。もっとも、「大キレット」という標識がないので意識せずに目の前の岩場クリアに集中していたのが実際のところだ。 この日の数日前に行った剱岳をはじめ、それまでもいくつかの岩場を経験している。もしかしたらこれまでの経験も生きているからそう思えるのかもしれない(場数の問題かな)。 今回南から北へのルートだったが、北から南へのルートがどうなのかは行ってみなければわからないので、どっちのルートが難易度が高いかはわからない。 南岳へ岩場が続く(クサリ、ハシゴあり) 長谷川ピークを越えると南岳への上りが始まる。岩でゴツゴツしたその斜面がうんざりさせるほどだ。「獅子鼻」と呼ばれる部分が目に入るが、あそこに行くのかと最初は思ったが、実際はピークではないため横目で見ながら北へと進む。すると小屋が見えてきた。南岳小屋だ。スタートして5時間で到着。天気も回復して、青空が広がっていた。 南岳小屋、その先にピーク(この先緩やかな道が続く) 途中にある小屋はたいていスルーするが、丁度腹も減ったし、小屋でカップ麺を食べることにした(もちろん行動食は持っている)。 カップ麺も山価格なので高いのは仕方がないが、お湯を入れてもらうとさらに100円追加となる。穂高岳山荘から槍ヶ岳山荘に至る山小屋は稜線上にあるので水場がなく、雨水や雪解け水に頼っているためタダではもらえない。だから給水も有料となるし、カップ麺へのお湯の供給も当然有料となる。そのカップ麺も山で食べるとうまく感じるのはなぜだろう。 ようやく好天のピークに到着 南岳は小屋から緩い斜面を登ったらすぐ到着する。ようやく青空の下での登頂だ。しかし、北側に目をやっても槍ヶ岳はまだ見えない。ガスが切れてくることを願いながら進むとガスがじわじわと消えていき、ついに槍ヶ岳が目の前にその姿を現した。 ガスが切れたら槍の姿が キターッ!テンションが上がってきた。この日宿泊する槍ヶ岳山荘も見えてきた。近いじゃないか。これだと早く到着するかなと思ったが、見た目の距離感と実際とはあまりにもズレがある。特に山の場合はそのズレは大きい。直線距離は短いだろうが、この先中岳、大喰岳を巻くのではなく頂上を踏んで越えていかなければいけないので時間はかかる。 結局山荘に到着したのが2時間後だった。 あと2つのピーク(中岳、大喰岳)を越える ただ、槍ヶ岳を見ながら歩いていくのは疲れも忘れさせてくれる。頂上や周囲がガスで隠れてしまう前に早く到着したいという気持ちが出てくるが、道はザレていたり石も多いのでそこは慎重に歩を進めないといけなかった。 槍を見ながら歩くのは気持ちがいい 穂高岳山荘をスタートして7時間半で本日の目的地槍ヶ岳山荘に到着。先にチェックインしてから登頂することにした。 槍ヶ岳山荘に到着 相変わらずここでも韓国語や中国語が飛び交い、規模はでかいとはいえ、この山荘もこの日は宿泊者が多いのではないかと思えた。 今回、山荘のブログで簡易個室(2名用)なるものができたということを知ったので、値段は張るが使ってみようということで追加料金6000円を払って利用した。実際、満室ではなかったので普通の部屋(といっても10数人の部屋)でもよかったのだが、通常の個室よりも安く、落ち着けるということもあって利用してみた。 ただ、簡易個室のすぐ隣に素泊り者用のエリアがあり、そこには1人しか泊まっていなかったので、素泊りで行けば簡易個室でなくても静かなエリアを確保でき、出費を抑えられたのかもしれない(たまたまこの日がそうだっただけかもしれないが)。 この簡易個室は別館に16室ある。2名用の布団があり、隣とは板の壁で仕切られ出入り口はカーテンというシンプルなものだが、自炊エリアには近いし、大部屋とは離れているため静かで十分に落ち着ける。僕ら以外にも利用している人たちはいたので思いは一緒なのかもしれない。 穂先ヘアタック! ザックを置いたら、槍の穂先へ向かう。一応上りと下りでルートは分かれているが、一部共用しているので渋滞することも考えられる(後でそうなった)。僕らがアタックをかけたときは後続者はおらず、最後の長いハシゴで高所恐怖症らしき学生がモタモタしながら上がっていただけでスムースにハシゴ直下まで辿り着けた。その学生がようやく上りきると、一気にハシゴを上り詰め、キターッ!と叫ぼうかと思ったが、この狭い頂上は立錐の余地もないくらいに混雑していた。先ほどの学生を含むグループなどが三角点のあたりに座り込んでいるほか、他の登山者も記念写真の順番で動かない。 頂上直下のハシゴ(左:上り、右:下り) その間大展望を楽しめたらいいのだが、残念なことにガスが立ち込めてきて、直下は見ることはできても北方の視界は妨げられた状態だった。そんな中でようやく僕らも記念撮影をして落ち着こうかと思ったが、窮屈さに拍車をかけることになる。また次に上がってくる人のことも考えた結果下山することにした。 この後ろは人であふれかえっている 子槍、ここでは踊れません やはりというか下りは上りよりも時間がかかった。岩場というかクサリ場に慣れていない(と思われる)人たちと上ってくる人たちで上下共用エリアが渋滞し始めた。交互通行も次第に「行ったもの勝ち」みたいな感じでスムースに人が進めない。しかも年配者はすごく慎重に動いている。慎重に動くことは大切ではあるが、クサリに頼りすぎているので一挙手一投足に時間がかかりすぎているように見えた。慣れていないのか、初めてなのかはわからないが時間がかかるのもやむを得ない。 結果的には先に行かしてもらったのでよかったが、この様子ではハイシーズンになるとさらに人込みで渋滞を越えて停滞してしまうんじゃないかと思う。頂上での滞在も各々が意識的短くしないとハシゴで待ちぼうけになってしまい危険度も増しかねない。 こんなことは今に始まったことではないのだろうが、じゃあ誰がコントロールするのかっていうのが問題になってしまう。 そんなことを気にしながら穂先を後に山荘に戻った。 右端が別館。静かだった。 槍ヶ岳山荘は収容人数400人を数える大規模山荘だ。そのためこの日は夕食も3回入れ替えになっており、満室ではないにしろ宿泊者の多さを物語っていた。僕らは1回目の17:00に取らせてもらったが、スタッフも手際よく座席指示をしてくれ、食事内容もしっかりしたものを提供してくれた。 本日の夕食 食事が終われば、あとは寝るだけ。外はガスで真っ白状態。明日は下山だが雨が降らなければいいがと願いつつ就寝した。 by momo夫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.08.10 18:00:11
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