神谷ちづ子・ついつい・一言
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ものいわぬは はらふくるることなりて。 言いたいこと、いっちゃいましょ。
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今日、静かな住宅街を歩いていたんです。 そうしたら、道路に男の人が倒れている。 いや、寝ている、という状態だったのかも、ですが、 息はしているけれど、眠っているのか意識がないのか、
「どうしました」と揺すっても目も覚まさないし、動かないんですね。 このまま放ってはおけないいけれど、 じゃあ、どうしたらいいのだ私だって急いでいるのに・・と困ってしまいまして。 通りがかった子供たちに「この人、知っている」 と聞いても「知らない」としか返ってこないし、 通りがかる人に次々と、この方、ご存じないですか 息はあるんですが、どうしましょうかと声かけたんですね。 世の中、捨てたものじゃない。
通りがかりや近所のオジサンオバサンが、心配して集まってくれて、 「やっぱり警察に知らせるべきか」「救急車を呼ぶべきか」 とみんなで迷って、やっぱり警察に知らせましょう・・ということになったんです。 で、第一発見者の私が110に電話したのですが、 あれこれ、男性の着ているものとか、大体の年齢とか、 酔っぱらっているのじゃないですか・・などなど聞かれまして。 「酔っぱらっているのかもしれないけれど、とにかく動かないんです」 と訴えたら、「分かりました、すぐに『車が行きます』と」 でも「警官が行くまで、そこにいてください」だと。 あれま、第一発見者は大変だな~・・と思いつつも、 行きがかり上、待っているしかなく、警察を待ったんですね。
すぐに行くって言っていたし。 親切に、何人もの方が、一緒に待ってくれましたよ。 「すぐに」と言っていたわりには、結構待たされました。
倒れていた男性は、やっと起き上がって「ここはどこなんです」とか言っている。 ボーッとして、訳が分からない状態らしいんです。 「ま、動かない方がいいですよ」とみんなで諭しましたよ。 立ち上がって倒れられても、困りますしね。
で、ようやく若いお巡りさんが自転車こいで来てくれたので、
やれやれ、これで私も解放じゃ・・ と去ろうとしたら「第一発見者の方は、残ってください」・・って。 私ゃ、急いでいるんだけれど・・と思ったのですが、 これも住人のお役目だろうと、おとなしく待ちましたよ。 そうしたらお巡りさん、更紙出して、 「ここに、名前と住所と職業を書いてください」というんですね。 倒れた男性をたまたま発見して、通報した・・ってだけなのに、 名前と住所はともかく、職業まで書かなくちゃならんのだと思いつつも、 「ここに書いてありますから」と名刺渡しましたよ。 ところが、これで終わらないんですね。 「生年月日は」と聞くんですよ。 倒れている人がいたんで通報しただけで、どうして生年月日まで 他人に言わなくちゃならんのだ
第一発見者の生年月日が、なにゆえここで必要なんだ
とさすがにムッとして、 「それって、個人情報じゃないですか」と意地悪く言ってやったんです。 そうしたら若いお巡りさん、にっこり笑って、 「誰にも言いませんから」・・って。 他人のアンタが知るだろうが・・と言いたかったのですが、 相手は一応、警官ですしね。そう突っかかるのもまずいでしょ。 19○○年○月○日・・と答えたら「昭和何年」と聞くんですよ。 自分で計算せぃ・・と思ったんですが、ここもぐっと押さえて、 昭和何年・・と答えましたら、「おいくつですか」って。 あんたね、生年月日聞いたんだから、計算すりゃあ、分かるでしょ。 そもそもなんで公共の場で、私は自分の生年月日から、 年齢まで、いちいち言わなきゃならんのよ、いい加減にせぃ と思いまして「公の場で女性の年齢言わせなさんなよ」 とイヤミったらしく言ってやりましたよ。
まあ、それでようやっと放免になったのですが、 ずっと付き合ってくれていた通りがかりの女性が、 私と一緒に歩きながら、 「こういうふうにいちいち面倒だから、 警察呼ぶとか、やりたくなくなるのよね・・」と言ってました。 私も、「倒れている人をみつけた」というのも初体験なら、 警察を呼ぶ・・というのも人生初体験だったのでありますが、 こんな風にいちいち年齢まで言わされるのじゃあ、 フツーの人は「今後はなるたけかかわらないようにしよう」と 思うだろうと思いましたね。 でも、世の中それじゃあ、いけないでしょ。 役所に行っても、毎度思うのですが、 個人情報だなんだと、うるさく言う割には、 お役所って、必要もないのに、無駄に個人のこと書かせたり言わせたりしますよね。 もう少し、考えるべきだと思いますね。 無駄を省く、という意味でも。