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テーマ:法律(493)
カテゴリ:刑法
先日、犯罪が成立するには「構成要件・違法性・責任」が 必要だと申し上げました。 そして、昨日、構成要件が認められるには、 1、実行行為 2、結果 3、因果関係 4、故意または過失 が必要だと申し上げました。 今日は、実行行為についてお話します。 実行行為とは、学問上「法益侵害の現実的危険性を有し、構成要件に該当すると認められる行為」を言います。 ここで、「法益」とは「法律で守られた利益」を言います。 例えば、殺人罪は人殺しを禁止するのですから、殺人罪という法律を定めることによって人の命が守られます。 このように刑法は処罰のための法であると同時に、利益を保護するための法でもあるのです。その保護されている利益を「法益」と呼ぶのです。 そして、「現実的危険性」とは「恐れ」と言い換えても意味は同じです。 また、実行行為とは構成要件の一要素なのに、実行行為の定義にまた構成要件と入っていると変な感じがします。なので、「構成要件に該当すると認められる」の部分は無視してしまいましょう。 そこで、実行行為とは「法律で守られた利益が侵害される恐れのある行為」と言い換えてもいいでしょう。 殺人罪ならば、法律で守られた利益とは人の命ですから、人の命が侵害される恐れのある行為をした場合には殺人罪の実行行為をしたことになります。 ところで、ちょっと考えてみてください。 実行行為とは、「法律で守られた利益が侵害される恐れのある行為」と申し上げました。 この「恐れ」というのが曲者です。「恐れ」と言うのは客観的に判断できるものでは有りません。 では、どのようにして判断するのでしょう。 実は一般人の判断を基準にするのです。 一般人が「あ、法律で守られた利益が侵害されそうだ!」と判断する場合に実行行為があるというのです。 何故なら、法律は一般人の代表者が一般人の願いを反映して定めたものであり、刑法も法律です。 と言うことは刑法も一般人の意思が反映されています。 つまり、刑法を定めると言うことは、一般人の「この行為は処罰して欲しい」という意思を反映すると言うことなのです。。 そして構成要件とは刑法に形式的に該当するか否かの判断なのですから、構成要件に該当するか否かの判断には一般人を基準にするべきなのです。 よって構成要件の一要素である実行行為も一般人を基準にするべきと考えられます。 ちょっとロジックが分かりづらかったでしょうか。 図式化しますと、 法律は一般人の意思を反映したものである。 ↓ 刑法も法律だから、刑法も一般人の意思を反映したものである。 ↓ 構成要件は刑法に当てはまるか否かの問題だから、 構成要件にも一般人の意思を反映すべきである。 ↓ 実行行為は構成要件の一要素なので 実行行為にも一般人の意思を反映すべきある。 したがって実行行為といえるか否かは一般人の意思を反映させるべきと言うことになります。 明日からは、実行行為といえるかどうか微妙なものについて見ていきましょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年08月26日 13時20分47秒
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