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カテゴリ:民法
第5章 履行後の問題点 ------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------ ちゃんと履行したのに問題なんて発生しうるのでしょうか。 実はあるのです。 もし、壷を受け取った後、壷にひびが入っていることに気が付いた場合どうなるのでしょうか。 交換すればいいでしょうか?確かにそうですね。 でも、壷が一品物だったらどうなるのでしょうか。 条文を追っていきましょう。 ここで、ちゃんとした壷を渡してはいないから、期日に壷を引渡したことにはならず、 第4章と同じ状況では?と考えた方、なかなか鋭いです。 しかし、残念ながら間違いです。こんな条文があります。 (特定物の現状による引渡し) 第四百八十三条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。 つまり、物の状態がどのようであれ、そのままの状態で引渡しなさい。というのが法律なのです。 よって、ひびが入っていようとも、物を引き渡したことになります。 ただし、交換ができるときは交換することも判例で認められていますのでご注意ください。 よって交換できない一品物の場合にのみ483条が適用されます。 本件では壷ですから多分一品物ですね。なのでひびが入っていても、ちゃんとした壷を引き渡したことになり"第4章とは違うことになります。 では、清水君は泣き寝入りでしょうか。 多分ひびが入っていないことを前提として値段を決めたので、ひびが入っている分損したことになります。 この損は取り返せないのでしょうか。 そんなことはありません。ちゃんと取り返せる条文もあります。 (売主の瑕疵担保責任) 第五百七十条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。 壷にひびがあることは売買の目的物に隠れた瑕疵があることになります。(「瑕疵」とは「かし」と読み、傷があることをさします) つまり、壷にひびが入っていることに気が付いた場合、566条が準用されることになります。 では、566条を見てみましょう。 第566条 (前略)買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。 いろいろ書いてありますが、少なくとも損害賠償請求ができそうですね。 よって、清水君は570条・566条によって三島さんに対し損害賠償請求できます。 これからも応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。 人気blogランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年12月06日 22時37分20秒
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