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2008年03月05日
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カテゴリ:要件事実

第1章 売買契約の要件事実

3 消滅時効の抗弁

さて,今回は具体的に抗弁の主張の仕方を考えて見ましょう。

例えば,あなたのもとに,清水君から以下のような訴状が届いたとします。
この場合,清水君が原告で,訴状を受け取ったあなたが被告です。

請求の趣旨
「被告は,原告に対し,2000万円を支払え」
(ちなみに,訴訟物は,売買契約に基づく代金支払請求権1個)です)

請求の原因
「原告は,被告に対し,平成5年3月3日,土地Aを代金2000万円で売った」


ここで,請求の原因には問題が無く否認は出来ず,契約成立自体にも問題がないとしましょう。つまり,障害の抗弁は出せません。
では,消滅の抗弁はどうでしょうか。
「請求の原因」の日付をよーく見てください。
平成5年となっています。今は平成19年です。やたら,時間が経っていますね。
時間が経っていると言うことは,時効の可能性があります(正しくは,消滅時効の可能性です)。

そこで,早速消滅時効の抗弁を主張しましょう。抗弁は,被告が立証責任を負いますので,ちゃんと消滅時効の要件事実を主張立証しなくてはなりません。

おや?被告も要件事実が問題となるのでしょうか。
今まで原告だけが要件事実を主張するべきように書いてきましたが,実は,裁判とは要件事実の主張合戦なのです。
原告が,自分の主張したい事実を,「請求の原因」として要件事実に基づいて主張し,これに対し被告は否認をするか,自分の主張したい事実を抗弁として要件事実に基づいて主張します。これに対して,また原告が主張…という感じになります。

ということで,抗弁は要件事実に基づく必要があるので,まず条文を見ます。

(消滅時効の進行等)
民法第百六十六条  消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
2  前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
(債権等の消滅時効)
民法第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
(以下省略)

(時効の援用)
第百四十五条  時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
(援用=行使と思ってください)


この2つの条文から消滅時効の要件事実をあぶりだしましょう。「売買契約に基づく代金支払請求権」は,人にお金等を支払えと言う権利ですから,債権となりますね。
さて,まず条文から要件事実の候補となりそうなのは,1「権利を行使することができる」状態になったこと,2権利を「十年間行使しない」こと,3消滅時効を援用できる者が相手方に「援用」の意思表示をしたことになりそうです。

ただし,売買契約では,契約成立と同時に代金を請求できるのが原則です(売買契約は「代金を支払うことを約する」としているので)。つまり,契約成立と同時に「権利を行使することができる」状態にあるわけです。
そして,契約成立は原告が主張立証してくれていますから,被告が改めて主張立証する必要はありません。(もし,契約成立の主張立証を原告がしなければ,契約不成立を理由に原告が負けますので,被告は消滅時効の主張立証が出来なくても,勝訴できます)

また,「十年間行使しない」をそのまま解釈すると,あなたは10年間ずっと清水君が権利の行使をしていないこと主張立証しなければならないことになりますが,これは困難です。基本的に,やっていないことの証明は難しいですし,それが長期間となると不可能に近いです。「契約成立後1日目は行使していない,2日目も行使していない…」証明するなんて無理ですよね。

逆に,清水君に,「○年○月○日に権利行使をした」と主張してもらう方が簡単ですし,清水君も大した負担ではありません。従って,権利を「行使をしない」と言う部分は,あなたは立証する必要は無く,「十年間」と言う部分だけ立証すればいいわけです。つまり,「権利を行使することができる」時から10年間経過していることを主張立証すればいいのです。

援用は,あなたがするかしないかの問題ですので,あなたが立証責任を負ったとしても,特に大きな負担ではありませんね。

ということで,条文から要件事実の候補となった1~3のうち,
1は不要
2は10年の経過と言う一部だけ必要
3は必要
ということになります。
そこで,本件で消滅時効の抗弁を主張したければ,

「1 平成15年3月3日は経過した。
2 被告(あなた)は。原告(清水君)に対して,平成○年○月○日の口頭弁論期日において,上記時効を援用するとの意思表示をした。」

と主張することになります。



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【参考本】


ゼミナール要件事実(2)





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最終更新日  2008年04月11日 19時07分12秒
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