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2008年04月18日
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カテゴリ:倒産法



破産法編第13章 2否認権

2偏頗行為否認

今回は,偏頗行為否認です。偏頗行為否認は財産流出を伴わないものの,債権者間の公平を害するので,否認されます。

162条1項1号が,偏頗行為の典型的な条文です。

第百六十二条  次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
一  破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。
イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
ロ 当該行為が破産手続開始の申立てがあった後にされたものである場合 破産手続開始の申立てがあったこと。
二  破産者の義務に属せず、又はその時期が破産者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。ただし、債権者がその行為の当時他の破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。



今度は,160条1項とは逆に,「担保の供与又は債務の消滅に関する行為」が対象になります。
要件は,「破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後」に相手方がそれぞれも事実を知っていたこと,となります。ですから,破産者の意図は関係ありません。

ここで注意していただきたいのは,あくまで「既存の債務」についての担保供与や債務消滅です。
ですから,新たに借金をして,その借金に対して担保権を設定することは162条1項に当たりません。担保が設定された分,現金が入ってきて,既存の債権者を害さないので,不公平は生じないからです(これを同時交換的行為と言います)。

これを認めないと会社が傾いた時に緊急融資をしてくれるところがいなくなって,破産しなくてもいい会社を破産に追い込む可能性すらあるからなのです。
判例(最判平成5年1月25日)も認めています(改行は引用者)。

本件においては、本件各貸主からの借入前と本件弁済後とでは、破産者の積極財産の減少も消極財産の増加も生じていないことになる。
そして、破産者が、借入れの際、本件各貸主との間で借入金を被上告人に対する特定の債務の弁済に充てることを約定し、この約定をしなければ借入れができなかったものである上、
本件各貸主と被上告人の立会いの下に借入後その場で直ちに借入金による弁済をしており、右約定に違反して借入金を他の使途に流用したり、借入金が他の債権者に差し押さえられるなどして右約定を履行できなくなる可能性も全くなかったというのであるから、
このような借入金は、借入当時から特定の債務の弁済に充てることが確実に予定され、それ以外の使途に用いるのであれば借入れることができなかったものであって,破産債権者の共同担保となるのであれば破産者に帰属し得なかったはずの財産であるというべきである。
そうすると、破産者がこのような借入金により弁済の予定された特定の債務を弁済しても、破産債権者の共同担保を減損するものではなく、破産債権者を害するものではないと解すべきであり、右弁済は、破産法七二条一号による否認の対象とならないというべきである。


次に2号をご覧下さい。
2号は,行為自体が義務ではない物(例=担保の供与)・時期が義務でない物(例=期限前の弁済)については,支払不能前といえども支払不能30日以内であれば否認しうるとしています。

これも脱法行為を防ぐためとされています。例えば,弁済期まで待っていると支払不能になって偏頗行為否認されかねないからとして,期限前弁済をして162条1項1号の適用を免れるのを防ぐわけです。



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民法の勉強が終わって、破産法の勉強に入ろうと言う方におすすめです。





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最終更新日  2008年04月19日 09時07分12秒
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