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テーマ:首都圏の鉄道(136)
カテゴリ:防災・天気・防犯・事件
今朝の首都圏は、前夜から積雪予報が出ており、
ニュースでもトップ級で報じられるなど、 巷間、かなり過剰なありさまでした。 2週間ほど前の成人の日、もともと雨予報だったのが突如大雪となり、 10センチ前後の積雪となって交通機関等に大きなダメージを与えました。 今回もその時と気圧配置がまったく同じで、なおかつ、 前回は人の動きもあまり多くない祝日にもかかわらず大混乱したのですが、 今回は平日の朝の通勤ラッシュにかかるということもあり、 気象庁もマスコミも熱を上げたようです。 しかし結果的に、少なくとも東京23区内はみぞれ交じりの雨となって ほとんど積もることなく、まったくの杞憂に終わりました。 で終われば良かったんですが、この過剰反応が災いして、 かえってJRの通勤電車が大変なことになりました。 昨日の気象庁発表を受け、首都圏のJRは始発から間引き運転の方針を示し、 午前4時~5時にかけて、さほどの降雪でもないのに、 結局、通常の5~7割の本数しか動かなかったのです。 都心を周回する山手線ですら70%の運転率。 さらに、利用者が急増している湘南新宿ラインは午前中全列車が運休。 いつもより少ない列車に利用者が殺到し、 特に郊外から都心部に集まった人たちがこぞって利用する山手線は、 乗客がさばけきれなくなり、各駅で目の前の電車に乗れない、 という事態になりました。 さらにその混乱のさなかに人身事故も発生してしまい、 混乱に拍車をかけてしまいました。 一連の事象を見ていた僕は、JRの間引き運転方針に 疑問を感じました。 どうも最近のJR東日本の列車運行方針は、 おっかなびっくり的な策が目立ちます。 どうして積雪もしないうちから早々と間引き運転を決定するのか。 結局、雨天の時と変わらない気象状況だったのに、です。 最初はダイヤどおりで走らせ、 もし途中から牡丹雪が降り始めて積雪の様相を呈してきたら、 その時点での間引き運転開始でも良かったんじゃないでしょうか。 僕の勤務先も、通勤経路に山手線を利用している人が多く、 その人たちは、いつもより早めに家を出たものの、 各ターミナルで積み残しに遭ってしまい、 結局始業に間に合わなかったケースが続出したんです。 ダイヤどおりに動かして途中で運休になるときの損失より、 最初から間引くことによる経済的損失の方がはるかに大きいような 気がします。 それにしてもなぜゆえJRだけ間引いたのでしょう? というのも、他の私鉄はいつもと同じダイヤで運行したのです。 「JRは運行区間が長距離であり、1本の列車のダイヤ乱れが 広範囲のダイヤ乱れに繋がるから」というもっともらしい理由が出てくるのですが、 たとえば山手線は都心部をぐるぐる回っているだけなので、 運行区間は長距離ではありません。だから山手線を間引く理由にならないんですね。 午前中の全列車運休を決めた湘南新宿ラインは、 確かに運行区間は群馬・栃木から埼玉・東京を縦貫し神奈川県まで、と長距離ですが、 しかし私鉄でも地下鉄半蔵門線を核にして、 北側の東武スカイツリーライン、南側の東急田園都市線とが直通運行しており、 こちらもそれなりの長距離です。 でもまったくいつもと同じダイヤで運行していました。 私鉄は正常運行で、JRは間引き運転。 この違いはどういう理由で生じてしまうのでしょう? 大事をとってのJRの施策なのでしょうが、 なまじ7割の電車は動いていて、都心に人々が向かうので、 山手線に乗りきれない人がホームを埋め尽くし、 押し合いへし合いで誰かが線路に落下してもおかしくない状況だったそうです。 むしろそちらの方が惨事の懸念があるのではないでしょうか。 「一度間引き運転を決めると、 前日からそのスケジュールで運用開始されるので、 もとの運転体制に戻すのは困難」とはJR担当者の弁。 そりゃまぁ私鉄に比べれば、ネットワークは巨大だし、 システムが巨大なのもわかります。 ただ天気予報にハズレは付きもの。 もう少し積極性を持っても良かったのでは ないでしょうかね。 「乗客の安全とダイヤの正常化に重きを置いて間引き運転」 というお題目が、完全に裏目に出てしまったのではないか、 と思わせる今朝のJRの様子でした。
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最終更新日
2013年02月06日 21時16分05秒
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