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日経連載「迷いの旅籠」(宮部みゆき 著)は、本日で連載開始から数えて243回。ストーリーが第3話に入ってますます面白くなってきました。 主人公は江戸は神田にある袋物屋、三島屋の女将の姪おちか。おちかが三島屋の客間「黒白の間」に語り手を招き入れて不思議な話や恐ろしい話を聞き出すというストーリー。 第1話は謎の絵師が描いた村の亡者が次々と生き返るという世にも怪奇な話。第2話は、おちかが江戸で人気の仕出し屋・だるま屋がかき入れ時に仕出し屋を休業する理由を主人から聞き出しているうちに語られる、「ひだる神」の話。 そして第3話。とある山陰の小藩の江戸家老村井清左衛門が語る清左衛門若かりしころの世にも不思議な奇談。清左衛門の妹をもてあそんだ上士の侍に立会いを挑みこれを討ち果たした後切腹しようとした清左衛門に下った主命は、藩内で何かしら罪を犯した罪人の流刑地ともいえる山深い洞ヶ森村の山番士としての勤め。3年無事に勤め上げれば、家の再興を許し身分も士分に戻すという達しであった。洞ヶ森村とはどのような村であるのだろうか? 前任の山番士二人のうち一人は行方知れず、もう一人は正気を失って城下へ逃げ戻ってきてこう訴えたという。 「・・・洞ヶ森には鬼がおります」 しかし、村人は誰一人として口を硬く閉ざして、洞ヶ森の秘密を語ろうとしない。 洞ヶ森村で一冬を越すと、清左衛門はようやく親しく口を聞けるようになった幼い兄弟富市と千治から、鬼について聞き出そうとするのであったが。 「村井様、あんまり詮索なさると、この山を下りれなくなりますで」 洞ヶ森の村長(むらおさ)欣吉は、ぼうっと虚ろな目をして魂が抜けたようなような声を発したと。欣吉は清左衛門を脅したのではなく、衷心から助言したのだと清左衛門はおちかに語るのであった。 はたして洞ヶ森にはいかなる鬼がいるというのだろうか? 日経連載「迷いの旅籠」から目が離せません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年02月06日 13時12分10秒
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