カテゴリ:本
今読んでいる本、加藤 廣著「戦国武将の辞世」。 時代小説ファン、とりわけ信長ファンであれば、75歳で文壇デビューした加藤 廣の信長三部作(「信長の棺」「秀吉の枷」「明智左馬之助の恋」)を読まずには語れませんね。 信長の不可解な死(本能寺の変)の謎を追って、正確な時代考証を背景にした壮大な構想力に、読者はどっぷりと嵌ってしまう。 その出筆のためにこつこつと集めた資料の中から、戦国武将たちの辞世や本音を語る言葉を選んで集めたのが、この「戦国武将の辞世」。
辞世といえば、日本人ならすぐ豊臣秀吉の辞世を思い浮かべますよね。 「露と落ち露と消えにし我が身かな 浪速のことは夢のまた夢」 死に臨み、人の一生ははかない一滴の露のようなものであると達観した境地を詠んだもの。一般的にはこのように解釈されているようですが、筆者の視点はさすがに鋭かった。 この句にある「浪速のこと」については、百姓の小倅から天下人までになったことというふうに我々は解釈するのですが、筆者によれば文字通り「浪速」、すなわち「大坂(大坂城)」と解釈すべきだというのです。 では「大坂(大坂城)」のこととはいったい何か?そのヒントは本妻寧々(ねね)に送った次の手紙にあると筆者は説きます。 「・・・二の丸(淀の方)が解任したとの知らせ受けた。めでたい。(だが)われわれは、子など欲しくはない。わしの子は鶴松(夭逝した第一子)だったが、あの世に行ってしまった。(こたびの子は)二の丸だけの子であろうな」 「浪速のこと」に隠された秀吉の悲哀を汲むべきであると。 筆者が選んだ27人の乱世を生き抜いた武将の一生を締めくくる辞世の句や遺言状。それにはどんな秘密が隠されているというのだろう? にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年05月19日 18時21分09秒
[本] カテゴリの最新記事
|
|