カテゴリ:遊遊漢字学が楽しみ♪
毎週日曜日のお楽しみ、漢字学者阿辻哲次氏の日経連載「遊遊漢字学」。 今週阿辻先生が取り上げたのは「出藍の誉れ」。 出典は荀子の勧学篇。 「學不可以已。 青取之於藍、而青於藍、 冰水爲之、而寒於水」 (学は以て已むべからず。青はこれを藍より取りて、藍より青く、氷は水これを為して水より寒し)。 阿辻先生は、2000年以上も前の中国の思想家が学問を継続することの大切さを説いたこの例えを引いて、いわゆる「塾」に代表される何人を有名大学へ送りこんだかが重要視される現代の受験業界で、いい点数や評価を得る技術のみ習得して来た学生たちの学問への取組の浅さを嘆いておられます。 あるとき講義の後で一人の学生が教壇にやって来て発した「家ではどんな問題集を使って勉強したらいいですか」との質問に、我が耳を疑ったと。 すきあらば教師の首に食らいついて、教師を踏み越えていってやろうという気概を持つ者が少なくなったと。 そう言われれば、私にも覚えがありますね。大学に入ろうと人並みに机にかじりついた時期はありましたが、残念ながら学問の本質について考えてみようとすることは1秒たりともなかった。ただただ頭にあったのは、志望校に合格するには、あと何点足りないぞなどということのみ。 大学に合格はしたものの、その大学でまた数学や物理や化学などといった教養科目の講義に臨み、ただただ戸惑うのみ。またどうやって要領よく点数を取るかということを、条件反射的に考えている自分に気づき辟易したことを思い出します。 これがちょうど大学1年の4月のこと、いわゆる4月病というやつですな。重症でしたね。(笑! 「青は藍より出でて藍より青し」というが、どうもこれは私の頭のレベルのことを言っているのではなさそうだ。なぜなら私の青い染料は、そもそも薄青いうえにすぐに色あせるではないか。・・・自らに自らの非才を言い含めるというのは、辛いことですよ。(苦笑! でも、一旦見切りをつけてしまうと、気持ちがずっと楽になった。才能のない者が、また成績を上げるためだけにそんな点数だけを追い求めるようなことしてどうするというのだ。もっとこの時期だからこそやれることがあるだろう。それを探そうと。 ・・・結局探しきれなかったようではありますが。(笑! そんな苦い青春の一幕を思い起こしながら、新聞の次のページをめくると、30面のサイエンス欄に「物質の寿命 答え出るか」という見出し。 物質は永遠に存在し続けるのか、それともいつかはバラバラに壊れてしまうのか。物理学の理論は「物質には寿命がある」と予言する。こう書いてあるではありませんか。その答えを出そうと、岐阜県神岡鉱山の地下深くに建設されるのが、「ハイパーカミオカンデ」。これを使って物質の寿命の目安となる陽子崩壊現象を捉えようという研究を主導するのが、東京大学宇宙線研究所の塩澤真人教授。 今稼働している「スーパーカミオカンデ」は、東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆博士が、素粒子の一つニュートリノが質量をもっていることを発見したのに使われた。 さらにその前の「カミオカンデ」を用いて、小柴昌俊東大特別栄誉教授が、星の大爆発で生じたニュートリノを世界で初めて捉えた。 小柴先生も梶田先生もノーベル物理学賞を受賞されていますね。もし陽子崩壊が確認されれば、これもノーベル賞間違いなしと言われてる研究だとか。 さすれば、小柴先生の研究が梶田先生に受け継がれ、そして塩澤先生が両者の研究を元に最先端の研究を行っている。これこそが「出藍の誉れ」というものです。 自然科学と人文科学の違いこそあれ、阿辻先生がおっしゃりたかったのはこのことですよね。 今週の「遊遊漢字学」は、その前の紙面にある「サイエンス欄」と合わせて読めば、よりわかり易いというものです。 ・・・う~む、それにしても私は早い時期(大学1年の4月)に、自分の青の色の薄さに気付いてよかったなと。(大爆笑! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年12月24日 12時05分20秒
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