|
カテゴリ:◆音楽指導者向けセミナー
生徒が10人いると、そのうち2人は練習しない? ピアノ教室における「2:6:2」の法則とは?
★第三回・あの、ムダにキレイなママ集団は何だ!★ 個人のピアノ教室を運営されている、「練習してこない生徒率が高くてお悩みの先生」は、ぜひお読みください。 総合目次はコチラです こんにちは。横浜市でピアノ指導&コーチをしております、林美紀です。 ピアノ指導者向けプチ連載の第三回です。 前回までの記事では、『10人生徒がいれば、2割はよく練習してくる、2割は全く練習してこない、6割はどちらともいえない』という「2:6:2の法則」をご紹介し、その中の「どちらともいえない6割の生徒」についてお話しました。 「どちらともいえない生徒」は「どっちにも転ぶ可能性のある生徒」! 先生のフォローや教室の雰囲気などに刺激され、練習してくる生徒になるかもしれないし、 フォローがうまくはまらず、練習してこない生徒になるかもしれない…… だからこそ、 『どっちにも転ぶ可能性のある生徒に火をつけ、「練習してくる2割」に限りなく近づけることが、教室活性化への大きな一歩になる』 ということでした。 第二回目の記事はコチラ 第三回目は、「フォローなしでも練習してくる生徒」に注目してみます。 ★第三回・あの、ムダにキレイなママ集団は何だ!★ 先日、とあるママたちと、こんな会話をしました。 このママたちはみなさん、0歳児から小学校低学年のお子さんを持っていらっしゃいます。 仮に、そのメンバーをAさん、Bさん、Cさんとしますね。 Bさん「Aさんっていつもきれいだよね~~~どうやってメイク覚えたの?」 Cさん「私も知りたい!メイクだけじゃなくて、服もおしゃれだよね」 Aさん「実は、幼稚園バスが一緒のママ友の中に、すっごくキレイな人がいるの。その人みたいになりたくて、メイクとか服を真似したの」 Aさんは、最初はメイクなどにあまり関心がなかったそうなんです。 同じバス停のキレイなママ友さんに影響されて、「この人みたいになりたい」と思ったんですね。 そのママさんは、単に「ちょっとキレイ」ではなく、圧倒的に、カリスマ的にキレイなママなのだそうです。 身近に「素敵な人」がいることの影響って、大きいですね! Aさん、それからメイクの勉強をし、身なりにも気をつけ、気づいたら、「おしゃれでキレイなママ」になっていたそうです。 しかし、それだけにとどまりませんでした!! その後、Aさん以外の、そのバス停のママたち全員がキレイになったそうです; 子どもたちの乗ったバスを見送る幼稚園ママたち…… しかも、すごくハイレベルな集団。 いったいあのママたちは何者!? そんな周囲の声が聞こえてきそうです。 グループの中に一人スターがいると、全体のレベルがあがるんですね。 ママたちの女子力があがることの是非はともかく。 ピアノ教室も同じですよね。 教室の中に「○○ちゃんみたいになりたい」 という「あこがれの存在」がいると、その影響力は大きいです。 「フォローなしでも練習してくる2割の生徒」を、ぜひ、教室の「あこがれのお姉さん・お兄さん」にしてみてください。 キラキラ輝く、教室のスター(=キラキラ生徒)がいると…… とくに「どちらにも転ぶ可能性のある6割の生徒」への影響力は大きいですよ~ もともと、「6割の生徒」は、まわりの雰囲気に左右されやすい性質を持っています。 前回の記事で、「キレイなお部屋はますますキレイにしたくなる」というお話もしましたね。 教室に1人か2人、キラキラ生徒がいるだけで、その生徒さんにひっぱられて、「私もがんばる!」というふうになること必至です。 といっても、やり方にも程度がありますよね。 キラキラ生徒だけ褒めたり、持ち上げたりすることは、教室全体の公平感を損なってしまいます。 では、どのようにすればいいのでしょうか? 公平感を損なわずに、他の生徒さんにモチベーションを上げるには、「キラキラ生徒」を「褒める」のではなく、 「キラキラ生徒」の目では見えない部分を「目に見える形」にして、他の生徒さんに示してあげるのがいいと思います。 2つの方法をご紹介しますね。 1つ目は、「キラキラ生徒」に話を聴き、それを、他の生徒さんに伝えることです。 何を聴くのかというと、 「ピアノのどんなところが好き?」 「ピアノでどうなりたい?」 「毎日どんなふうに練習してるの?」 というような、 ピアノに取組む上でのポジティブな考えや行動です。 その言葉を、折を見て、他の生徒さんに伝えるんです。 「○○ちゃん(キラキラ生徒)は宿題の練習をする前に、好きな曲を弾くんだって。そうすると楽しくなって、宿題の曲もがんばろうって思うんだって」 また、苦労したことや、頑張ったことを聞きとって、伝えるのもいいですね。 「○○ちゃん(キラキラ生徒)も、この曲さいしょはすごく難しかったんだって。でも、毎日弾いてたら、だんだん弾けるようになって、たのしくなったんだって」 すると、『ああ、○○ちゃんでも、むずかしい、たいへんだって思うんだな。でも頑張ったんだな』 と、感じるかもしれません。 ポジティブな「共感」が生まれるわけです。 他の生徒さんのポジティブな取り組みを知ることや、「自分だけじゃない」と共感することは、モチベーションアップにつながります。 2つ目は、いま、「キラキラ生徒」が取り組んでいる曲がどのくらいのレベルで、「そこにいくまで、あとどれくらいあるのか」「何をすればいいのか」を明確に見せること。 その際、「こんなにできた表」を使うと、さらに効果的! 言葉で伝えるだけよりも、目で見せたほうが、インパクトが強いんです。 わが教室では、憧れの曲や、そこにたどりつくまでにやるべき教本を、初歩から上級まで一覧にした「がんばれ!ピアノ名人」という表があり、その結果を、「こんなにできた表」に反映させています。 がんばれピアノ名人(林の手作りです!) たとえば、キラキラ生徒が発表会で「エリーゼのために」を素敵に弾いていたとします。 生徒Aちゃんが、この曲を気に入った場合……以前は下記のような会話を交わしていました。 私「発表会で、他の子が弾いていた曲で、気に入った曲あった?」 生徒A(どちらに転ぶ可能性もある6割の生徒)「○○ちゃん(キラキラ生徒)が弾いていた『エリーゼのために』を弾いてみたい!」 私「素敵な曲だよね~~~」 生徒A「でも、私に弾けるかな~~~」 私「だいじょうぶだよ!次の発表会までがんばれば!」 生徒A(何を頑張ればいいんだろう……???) 「言葉」で伝えただけですと、会話はすぐに流れ、記憶に残りにくいですし、漠然と「次まで頑張れ」と言われても、実感がわかないですよね。 心に残らない、実感がわかないというのは、つまり、「生徒の心が動いていない」ということなんです。 生徒の心を動かし、定着させるには、「目で見せて、実際の体験とリンクさせる」ことが必要です。 そこで、「こんなにできた表」の出番。 見える化を利用すると、上記の会話がこのようになります。 上記の会話の続きです。 私「だいじょうぶだよ!次の発表会までがんばれば!」 生徒A(何を頑張ればいいんだろう……???) ここで、生徒に「がんばれピアノ名人」と「こんなにできた表」を見せます。 私「ねえ、Aちゃん、みてみて。いま、Aちゃんは、ぴあのどりーむの4巻でしょう?」 生徒A「うん」 私「エリーゼを弾いていた(キラキラ生徒)ちゃんは、どりーむの4巻が終わって、5巻も終わって、ブルグミュラーの最後の方なんだよ」 生徒A「へぇ~!」 私「次の発表会までに2年あるから、それまでに、ここまで行ければ、エリーゼのためにを弾けるよ」 生徒A「あと2冊だね。がんばる!」 ↑その際、実際の「次の教本」の中身を見せて、先生がパラパラ弾いてあげるとなお良し! (この会話で使っている、「がんばれ!ピアノ名人」は、こんなにできた表セミナーの「ステップ2」でご紹介しています) このように、「あこがれの曲」や「あこがれの生徒」のやっているレベルが目で見えて分かることの効果は大きいです。 セミナーでもご紹介しますが、わが教室では、「こんなにできた表」を活用して、日頃のレッスンのなかで、このような会話を頻繁にしています。 教室全体の2割の「キラキラ生徒」にあこがれの心を抱くことで、「どちらに転ぶ可能性もある6割の生徒」のほとんどが、キラキラ生徒へと変貌を遂げました! 次から次へとやる気の火が伝搬していく様子は、まるで魔法をみているようでした。 練習しない生徒率が高くてお困りの先生方、ぜひご参考にしてみてください(^_^)/ 次回は最終回です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.10.01 12:17:08
コメント(0) | コメントを書く
[◆音楽指導者向けセミナー] カテゴリの最新記事
|