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カテゴリ:都内散歩
西武球場周辺の散歩 前の日記にあるように西武球場脇の百合園を歩いているとき森の上に 赤い仏塔らしきものが望見できた。案内図を見ると山口観音とある。 特に目的もない郊外行きである、我々の習性として当然足はそちらへ向く。 10分位の道のりで坂を上ると結構新しい多面観音像を納めた仏塔が有った。 一方、その並びに別の寺、狭山不動尊があり、ここに寄り道してみると 最初の山門は勅額門といって徳川二代将軍秀忠の廟門を移築したとある。 上野寛永寺あるいは芝増上寺からの移築であろう。 移築の理由は何なのだろうか、まだ調べが付いていない。 それにしても日光陽明門と言い徳川は派手好きなんだと感心した。 さらにもう一つの御成門を通って本堂脇にまた派手派手の建物。 極彩色のうえに屋根がまた破風飾りだけでなく最上部までごてごて。 境内には大きな青銅製の灯篭がずらり、各大名からの寄進とあるが 要するに何かにつけて大名の出費を促し、その勢いを削いで徳川への お堂の前の門には三つ葉葵の紋章がくっきり、 テレビドラマの黄門様のやつである。 寺内の坂を上りきりすぐ近くにある、東京の水源狭山湖ダムへ、 振り返ると雲り空に西武ドームの屋根が指呼の距離。 この球場はスタンドの周りに柱を立てて屋根をつけただけなので 横壁のない文字どうり掘っ立て小屋式屋根付き球場である。 春先野球と周辺の桜が同時にスタンドから見られるわけだ。 さて湖への道すがら梅雨の水分を含んで苔むした伐採木の苔と 切り口の乾いた年輪、湿った年輪の具合が実に美しかった。 「ギシギシの実」などが目に入る。 そしてダム湖の湖畔に出ると突堤の向こう側にアニメで有名になった 「トトロの森」が広がっている。 目を湖に向けると曇り空と奥多摩の山塊が鏡のように滑らかな湖面に うっすらと映っていて実にトランキライジングな光景である。 晴れた日には湖面の反射があり、風の日は湖面が波打ち良く見えない。 賑やかな百合園から約20分の散歩、見渡す限り人っ子一人居ない あまりの静けさにベンチで座り込んでいた。 小一時間のあいだ2,3人のジョガーとハイカーが通り過ぎただけである。 ややあって清掃係りの人が大きな袋を下げてごみ拾いにくるが 何も拾うものがない。何時も来ているがこんなに湖面が滑らかなことは 珍しいと教えてくれた。 取水口の塔の影も湖面にばっちりである。
しばらくするとその筋が幅を帯びてこちらに進んでくる。 どうやら人体には感じないほどの微風が発生し、湖面をさざ波が 進んでいるようであった。 その銀粉の広がり(さざ波)が伝わってくる様子は実に面白かった。 鏡の上に油を一滴落とし、鏡面に糸をぴんと張って、その油滴をゆっくりと 手前に広げて行く状態とでも表現すれば理解できるであろうか。 いつかテレビで見たアマゾン河を遡上する波ポロロッカの広がりみたいである。 地震と津波の関係もこんなだろうと思われた。 さざ波の先端は湖岸の地形を反映して波にも半島と湾の形が はっきりと現われていた。ややあって左岸からのさざ波も進行してきて 合体した。すると湖面は一面銀の粉を敷き詰めたような景色と化した。 取水塔はと見ると、さざ波に覆われ始め段々とその影が薄れてゆく。 そしてやがて水面の姿は無くなり、銀粉の上に黒い影を落とし始めた。 ドラマの背景を超スローカメラで捉えたような景観を二人締めして楽しんだ。
かくして老自由人(rojujin)の一日はゆっくり流れて行くのである。 しかし帰宅後は写真のアップロードや駄文の入力で忙しくなる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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