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テーマ:日々自然観察(9849)
カテゴリ:昆虫(芋虫、毛虫)
上は終齢幼虫の蛹化直前の個体である。蛹化する前には消化管の内容物を総て排泄しなければならないので、暫くは何も食べずジッとしている。下側が頭である。上の方の尾端に近いところに少し黒っぽいものが透けて見えるが、これはウンコである。 こう言うときは、後部の吸盤で枝に吸い付いて居て、胸部にある爪は枝から離れていることが多い。 消化管の内容物が排泄されると、体が透き通って来る。逆に、透き通った体の大きな芋虫を見たら蛹になる直前と思って良い。
例によって、青虫君の顔を撮ってみた。体の太さが2.5mm位なので、頭の幅は2mmもない。先日のオオミズアオの幼虫と較べると、1/3以下である。上唇が小さい。
オオカマキリの時と同じ様に、裏側からも撮ってみた。まァ、何とも慎ましいおちょぼ口で、御上品なこと!! 胸部の爪もオオミズアオよりはずっと小さい。 しかし、眼は何処にあるのか? 頭部側面の下の方にあるポチポチが単眼でこれが幼虫の眼である。複眼はない。両側に6個ずつあるはずなのだが、横から見てみると4個位しか識別できない。
キチョウの幼虫は、これまで葉っぱを食べていた所の近くで蛹化する。アゲハの幼虫などは矢鱈と移動し、時に10mも離れたところで蛹になることがあると言うが、キチョウの場合は移動しても精々20cmである。 これまでの経験から言うと、アゲハの幼虫は完全に脱糞して(ビチをする)から蛹になる場所を求めて移動を開始する。しかし、キチョウの場合は、完全にウンコを出す前に蛹になる場所に移動し、消化管内が完全に空になったら直ちに蛹になる準備を開始する様である。先ず、向きを替えて尾端を枝に固定する。下の写真は上の写真と同じ方向を向いているが、上の写真を撮った後で幼虫は方向転換し、2時間ほど完全に排泄を終えるのを待っていたのである。
次に、体が寄りかかっても倒れない様に、腹部の上部に輪になった「安全ロープ」を張る。体を反り返らせて枝->背->枝と糸を吐いて行くのだが、この部分の写真は遂に撮れなかった。 何回もこの場面を見逃し、最後の個体の時はタイマーをかけて20分置きに見に行ったのだが、それでも機を逸してしまった。アゲハチョウの場合はかなり時間をかけてこの作業をするが、キチョウの場合は短時間で終わる様である。そのせいか、キチョウのこの「安全ロープ」は切れ易く、屡々タテハチョウ科の蛹の様に逆さにぶる下がっているのを見かける。実のところ、余り安全ではないらしい。
上の写真はその前の足場を固めている写真の23分後。ジッとしてもう全く動かないので「安全ロープ」は出来ていると思うのだが、原画を拡大してよ~く見てみても判然としない。
37分後、体が倒れ始めた。「ロープ」がよく見える。
更に1時間9分後、完全に「ロープ」に寄りかかっている。前蛹になったと言えるであろう。
次の日の朝見に行くと、予定通り脱皮して蛹になっていた。緑色に透き通る、宝石の様な蛹である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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