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テーマ:日々自然観察(9780)
カテゴリ:昆虫(バッタ、コオロギ、キリギリス)
この個体は、上の写真から明らかな様に、産卵管を持っており、雌である。背中の網目模様(翅脈)を見ると、かなり規則的(下)。これは雌の特徴で、雄の方は翅を擦らせて発音する為か、網目がもっと不規則な奇妙な模様になっている。どうもこの手の虫には詳しくないので良く分からないのだが、この様な雌雄による翅脈の違いは、スズムシやマツムシでも同じであり、この仲間では普通の事らしい。
ところで、このアオマツムシ、以前紹介したウスグモスズと同じく、外来種である。しかし、ウスグモスズよりずっと古参で、北隆館の新訂圖鑑に拠れば、1917年に東京で発見されたとある。一方、Wikipediaには「日本での初記録年月日も1898年(明治31年)という説と1908(明治41年)年ごろという説があり、データの付いたタイプ標本が残っていないため判然としていない。ただし、初記録地は東京都の赤坂榎木坂である」と書かれている。何方が正しいのか判断材料に乏しい。
原産地もハッキリしない様で、北隆館の圖鑑には東洋熱帯(中国)と推定されるとあるが、Wikipediaでは「中国大陸より日本に入り帰化した外来種という説が一般的だが、原産地ははっきりせず」と書かれている。 しかし、外国での記録がないウスグモスズとは異なり、九州大学の昆虫目録には、その分布に「HONSHU,KYUSHU;China」とあり、少なくとも中国は含まれている(尚、九大目録の学名はCalyptotrypus hibinonis)。
このアオマツムシ、見付けたのは雨模様の日の昼過ぎであった。日中はそのままジッとして動かず、次の日(一日中雨)には同じセイタカアワダチソウの別の場所に居た。それからかなり経って、台風18号の通過した日の夜に、デュランタの枝にそれらしき虫が留まっているのを見付けた。暗くて分かり難かったが、体の輪郭や触角の長さから判断してアオマツムシと思われる(但し別個体の可能性が高い)。かなり活発に動いており、やはり夜行性の虫は、昼と夜で動きが随分違うことを実感した。
セイタカアワダチソウは勿論草本だが、名前の通り背が高い。アオマツムシはウスグモスズやサトクダマキモドキと同じく樹上生活者だそうである。セイタカアワダチソウを木と間違えたのだろうか。 これまで当Weblogで紹介した直翅目昆虫の多くは樹上生活者であった。私は草の根を分けて虫を探すことをしない(蚊に喰われる)ので、撮影する直翅目昆虫はどうも樹上生活者に偏る様である。
アオマツムシの雄は「リーリーリー」と大きな高い音で鳴くとのこと。今、夜になると色々な虫が庭で鳴いている。しかし、どうも直翅目昆虫に興味のない私には、カネタタキを除いてこれらの虫の音が全く区別出来ない。其処で、「虫の音WORLD」と言うサイトで虫の音を調べてみると、どうやら我が家の近くに最も沢山居り、また一番元気に鳴いているのはアオマツムシの様で、ツヅレサセコオロギと思しき声も時々聞えている。それならば、一生懸命探せばアオマツムシの雄も見つかるかも知れない。しかし、コンクリートに囲まれた庭では音が反響して何処から聞こえてくるのか甚だ分かり難い。探すのは一寸無理な様である。 最後にアオマツムシの聴器を示す(下)。余り外見はパッとしないが、中は空洞になっているはずである。2又になったサトクダマキモドキの聴器とは全然違う構造をしている。クダマキモドキは別科(キリギリス科)なので、この程度の違いは当然なのだろうか。
実は、先日の台風18号でハナモモの木が倒れてしまった。地面が柔らかく、3年前の台風でも倒れたので支えがしてあったのだが、生長が速すぎて支えきれなくなり再度倒れてしまったのである。お金をかけて直しても、また台風が来れば倒れる可能性が高く、兄と相談した結果、可哀想だが片付けてしまうことにした。デュランタにアオマツムシが来ているのを見たのはその日の夜である。同じ日にサトクダマキモドキの雌も見た。或いは、これらの樹上生活者は、ハナモモの木に棲んでいたのかも知れない。 [訂正]当初は、我が家の周辺で一番元気に鳴いている虫をツヅレサセコオロギとしていたが、これはアオマツムシの誤りであった。「虫の音WORLD」では音量が分からないので間違えてしまったのである。本文を訂正しておいた。(2010/10/12) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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