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テーマ:日々自然観察(9822)
カテゴリ:昆虫(テントウムシ)
体長は2.1mmと小さい。体は、背側から見ると真っ黒で、胸部には長めの毛が疎らに生えており、上翅(鞘翅)にも胸部に近い側に僅かだが同様の毛が認められる(下の写真)。 しかし、後で見る様に、顔、脚は腿節から付節に至るまで、赤みを帯びた褐色である。
このテントウムシ、背側に毛があるので、始めはヒメテントウの仲間かと思った。しかし、「背面被毛あり」として文教出版の「テントウムシの調べ方」に載っている検索表を辿って行くと、迷子になってしまう。 細かい話になるが、ヒメテントウ類では、前胸腹板(4番目の写真で矢印「A」で示した部分)が基本的にTの字形である。しかし、このテントウムシでは富士山の様な上部の平らな三角形をしている。
また、5番目の写真の矢印「B」で示した大きな凹みを後基節窩と呼ぶが、これが腹部第1腹板を越えて上翅(鞘翅)の側片まで達している。ヒメテントウらしくない。 更に、矢印「C」で示した基節窩の縁を腿節線と呼び、これが腹節の端まで連続している。検索表で行き当たった種では何れも途中で消えている。
・・・と云うことで、検索を最初からやり直し。「背面被毛なし」で検索表を辿ると、小腮鬚の形で少し迷ったが、最終的にクロツヤテントウ(Serangium japonicum)に行き当たった。 Web上で検索してみると、外見的にもクロツヤテントウで間違いない様である。保育社の甲虫図鑑の図や記載とも一致する。テントウムシ科(Coccinellidae)メツブテントウムシ亜科(Sticholotidinae)ツヤテントウ族(Serangiini)に属す。 なお、同図鑑に拠れば、このテントウムシは、アブラムシではなく、コナジラミ類を捕食するとのこと。コナラの葉裏にはアブラムシの他にかなりのコナジラミが寄生している。3年前に掲載した「ヨモギヒョウタンカスミカメ(捕食と幼虫)」の彼方此方に写っている中央の白い黒い楕円形のものはコナジラミの蛹殻である。
ところで、上2枚の写真、どうやって撮影したのか? 勿論、生きた個体である。しかし、テントウムシ、亀の子の様にひっくり返されて大人しくしている虫ではない。 実は、入れ物(シャーレ)ごと冷蔵庫に入れ、暫く冷やして寒さで動けなくしてから撮影したのである。ところが、テントウムシは成虫越冬、寒さに強い。ものの30秒もすると動き出す。上(5番目)の写真では、その上の写真と違って脚が焦点を外れているが、これは脚をバタバタさせている最中に撮影したからである。
脚をバタバタさせてもガラスのシャーレでは脚が滑って起き上がれない。すると、今度は翅を開き、その開く力で起き上がる。上の写真は丁度その起き上がった瞬間。お尻も前翅もボケているが、幸い後翅に焦点が合っているので掲載することにした。 一寸した「芸術作品」風を気取ったつもりである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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