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2010.12.09
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 此処暫く非常に忙しく、更新を1週間以上怠ってしまった。

 今年は猛暑だったそうで、そのせいか、テントウムシ、特にダンダラテントウが少ない。御蔭で、我が家の外庭に植えられているコナラの葉裏にはアブラムシがビッシリと付いて甘露を排泄し、その下のスレートは毎日洗ってもベトベトの状態が続いている。

 殆ど毎日、何か居ないかコナラの葉裏を調べていたのだが、漸く見つけたのが、今日紹介するクロツヤテントウ(Serangium japonicum)である。



クロツヤテントウ1


背側から見たクロツヤテントウ.テレプラスによる超接写(以下同じ)

深度を深くする為に少し絞ったので、解像力が低い

(写真クリックで拡大表示)

(2010/11/27)

 体長は2.1mmと小さい。体は、背側から見ると真っ黒で、胸部には長めの毛が疎らに生えており、上翅(鞘翅)にも胸部に近い側に僅かだが同様の毛が認められる(下の写真)。

 しかし、後で見る様に、顔、脚は腿節から付節に至るまで、赤みを帯びた褐色である。


クロツヤテントウ2


横から見たクロツヤテントウ.胸部だけでなく上翅の前半にも

かなり長い毛がまばらに生えている

(写真クリックで拡大表示)

(2010/11/27)

 このテントウムシ、背側に毛があるので、始めはヒメテントウの仲間かと思った。しかし、「背面被毛あり」として文教出版の「テントウムシの調べ方」に載っている検索表を辿って行くと、迷子になってしまう。

 細かい話になるが、ヒメテントウ類では、前胸腹板(4番目の写真で矢印「A」で示した部分)が基本的にTの字形である。しかし、このテントウムシでは富士山の様な上部の平らな三角形をしている。


クロツヤテントウ3


正面から見ると、眼は黒いが顔は赤味を帯びた褐色

(写真クリックで拡大表示)

(2010/11/27)

 また、5番目の写真の矢印「B」で示した大きな凹みを後基節窩と呼ぶが、これが腹部第1腹板を越えて上翅(鞘翅)の側片まで達している。ヒメテントウらしくない。

 更に、矢印「C」で示した基節窩の縁を腿節線と呼び、これが腹節の端まで連続している。検索表で行き当たった種では何れも途中で消えている。


クロツヤテントウ4


クロツヤテントウの腹側.矢印「A」は前胸腹板

富士山の様な略三角形をしている

(写真クリックで拡大表示)

(2010/11/30)

 ・・・と云うことで、検索を最初からやり直し。「背面被毛なし」で検索表を辿ると、小腮鬚の形で少し迷ったが、最終的にクロツヤテントウ(Serangium japonicum)に行き当たった。

 Web上で検索してみると、外見的にもクロツヤテントウで間違いない様である。保育社の甲虫図鑑の図や記載とも一致する。テントウムシ科(Coccinellidae)メツブテントウムシ亜科(Sticholotidinae)ツヤテントウ族(Serangiini)に属す。

 なお、同図鑑に拠れば、このテントウムシは、アブラムシではなく、コナジラミ類を捕食するとのこと。コナラの葉裏にはアブラムシの他にかなりのコナジラミが寄生している。3年前に掲載した「ヨモギヒョウタンカスミカメ(捕食と幼虫)」の彼方此方に写っている中央の白い黒い楕円形のものはコナジラミの蛹殻である。


クロツヤテントウ5


矢印「B」は後基節窩、「C」は後腿節線を示す

触角が何とも奇妙な形をしているが、これは

ツヤテントウ族(Serangiini)の特徴

(写真クリックで拡大表示)

(2010/11/30)

 ところで、上2枚の写真、どうやって撮影したのか? 勿論、生きた個体である。しかし、テントウムシ、亀の子の様にひっくり返されて大人しくしている虫ではない。

 実は、入れ物(シャーレ)ごと冷蔵庫に入れ、暫く冷やして寒さで動けなくしてから撮影したのである。ところが、テントウムシは成虫越冬、寒さに強い。ものの30秒もすると動き出す。上(5番目)の写真では、その上の写真と違って脚が焦点を外れているが、これは脚をバタバタさせている最中に撮影したからである。


クロツヤテントウ6


翅を開いて起き上がるクロツヤテントウ

付節が3節からなることが分かる

(写真クリックで拡大表示)

(2010/11/30)

 脚をバタバタさせてもガラスのシャーレでは脚が滑って起き上がれない。すると、今度は翅を開き、その開く力で起き上がる。上の写真は丁度その起き上がった瞬間。お尻も前翅もボケているが、幸い後翅に焦点が合っているので掲載することにした。

 一寸した「芸術作品」風を気取ったつもりである。







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最終更新日  2010.12.09 14:22:33
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