カテゴリ:歴史関連・時代劇
明日は日本映画史上最高の時代劇スターといわれた市川雷蔵さんの命日だ。雷蔵さんは昭和44年7月17日、37歳の若さで肝臓癌により夭折した。
端正な顔立ちから漂う品格、凛とした声色、華がありながらどこか滲み出る虚無感…これほどまでに人を魅了してやまない役者は、後にも先にも雷蔵さんただ一人だろう。 私が初めて雷蔵さんを見たのは、彼の代表作の一つである「眠狂四郎」シリーズだった。元々原作の柴田錬三郎さんの著書が好きで、試しにあまり期待せずに雷蔵さんの狂四郎を見てみたのだが、あまりの美しさに目が離せなくなってしまった。 15年間に158本の映画に出演し、そのほとんどで主役を演じた。お馴染みの時代劇から底抜けに明るいコメディ、そしてクールな現代劇まで、様々な役をどれも見事に演じきった不世出の名役者・市川雷蔵。 当初、お気に入り5作品を選ぼうと思っていたが、たった5本に絞ることなど到底不可能。 「眠狂四郎」シリーズは勿論、「弁天小僧」で見せた妖艶な女姿も魅力的だし、「大殺陣雄呂血」でのラストの息を呑む大殺陣も見事だし、「好色一代男」や「ぼんち」の飄々とした演技も楽しいし、「ある殺し屋」のクールな殺し屋もめっちゃ格好よかったし…。 雷蔵さんが亡くなった年に公開された「眠狂四郎悪女狩り」と、遺作になった「博徒一代・血祭り不動」は見るたびに胸が詰まる。前年に癌手術を受けた病後の身でありながら厳寒の京都で撮影されたこの2作品、撮影の合間は椅子の上でぐったりしていたと言われるほど体力が落ち、見た目にもかなり痩せているにもかかわらず、気力と持前の役者根性で立派に演じあげているのが見ていて本当に辛い…(T T) 雷蔵さんの葬儀の最中、天空は真っ暗になり、激しい雷雨が襲来。終わる頃には拭ったような快晴になったという。 役者としてまさにこれからという時の無念の死に対する、雷蔵さんの涙雨だったのだろうか 三島由紀夫はかつて、雷蔵さんをこう評した。 「目の美しい、清らかな顔に淋しさの漂ふ、さういふ貴公子を演じたら、容姿に於て、君の右に出る者はあるまい」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.07.17 04:53:08
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