2459403 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Pastime Paradise

Pastime Paradise

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2009.04.09
XML
カテゴリ:書籍・雑誌
 西暦1300年4月8日の聖金曜日の夕方から、翌9日の復活祭の夕方までの24時間で、イタリアの詩人 ダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri)は地獄巡りをした…といえば、ダンテの代表作「神曲」の地獄篇である。
 地獄は漏斗状になっており、リンボと呼ばれる第1の地獄から、大悪王・ルチフェロのいる第9の地獄まであり、罪深い者ほど狭く、深い所に落とされる どくろ
 人生の半ばにして暗い森に迷い込んだダンテは、天国にいて彼の身を案じる亡き恋人・ベアトリーチェの頼みにより尊敬する詩聖・ウェルギリウスに案内され、地獄の門をくぐって地獄の底にまで降り、死後の罰を受ける罪人たちの間を遍歴していく。ダンテ、35歳の春のことだった。

 そしてそれから700年余が過ぎた、ある春の日の黄昏時のこと。
「あれれ?ここは一体どこ?」
 これまた人生の半ばにして、私も正しい道を間違えて妙な所に迷い込んでしまったようだ。その短い命を燃えつくさんとばかりに咲き乱れる桜花に目を奪われ、ついフラフラと見知らぬ田舎道へ足を踏み入れてしまったのだ。
 黄昏の語源は“誰ぞ彼”だったっけ…なんてことをふと思い出したが、誰ぞ彼どころか人っ子一人いない田舎道は不気味で、歩いても歩いても誰に出会うこともなく、どんどん奥地へ入り込んでしまった。辺りはすっかり闇に包まれ、歩き疲れた私はその場にしゃがみこむと、つい、うとうとしてしまった。
 どのくらい経っただろうか。突然、一人の男がどこからともなく現れた。その男は平安時代の京の生まれで、今も落語ですっかり御馴染みの『ちはやぶる 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くゝるとは』等の歌を詠んだ平安の色男・在原業平だった。
 私は業平に助けを求めた。
「心配するでない。これからお前は私の後について来い。そうすれば、悪いことをした連中が苦しみを受けている九つの地獄を案内してあげようではないか」
 ええッ!? 何で地獄に…!? あまりの唐突な申し出に不安でいっぱいだったが、一方で彼の色男っぷりに惹かれた私は彼の後を追った。

 地獄巡りの旅の出発時刻は、2009年4月8日、水曜日の夕方…というか、すっかり夜だった月
「地獄へ行くのはいいけど、再びこの世に帰って来れるのかしらん?」
と、やはりまだ不安だらけの私を、業平が叱った。
「何じゃ、この期に及んでまだ引き返そうとしておるのか?」
「だって…もし帰って来られなかったら、雷蔵の映画とか二度と見れないし」
 私は市川雷蔵のファンである。彼が癌で他界した約1ヵ月後に生まれたのでリアルタイムでは知らないが、10年ほど前に眠狂四郎を演じる雷蔵を見て、ハートを射抜かれたのだった。
「雷蔵は今は極楽にいて、呑気に暮らしておる。何の面識も無いお前が地獄の入口でしゃがみこんでいるのをたまたま目にして、慈悲心から私に手助けするよう頼んできたのじゃ」
「な、なんとォ~!目がハート
 愛しの雷蔵の依頼だと知り、胸が躍った。
「はーい、行きます!行きます!喜んで行きます!」
 私は業平の後をスキップしながら付いて行った♪

 ノート 参考資料:絵で読む ダンテ「神曲」地獄篇 (ギュスターヴ・ドレ【Gustave Dore】画,平沢彌一郎 編訳) 論創社





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.04.10 04:00:14
コメント(0) | コメントを書く
[書籍・雑誌] カテゴリの最新記事


PR

Free Space

Recent Posts

Category

Keyword Search

▼キーワード検索

Headline News


© Rakuten Group, Inc.
X