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カテゴリ:日本の美術館
光瀬龍の小説「百億の昼と千億の夜」が大好きでした。
創刊して間もないSFマガジンに、日本人作家として初連載した小松左京の力作「果てしなき流れの果てに」が完結・終了して、続いての登場が当時日本人作家として彼と本格SF人気を二分していた光瀬龍作品の斬新なスタイルの長編「百億の昼と千億の夜」でした。 よせては返し。 よせては返し。 返してはよせる波のくりかえし、を描写して時間の永遠性と宇宙の無辺を暗示する有名なプロローグ。 ★地球の屋根と言われるヒマラヤを思わせる人跡未踏の高所に、古生代から変わらぬ姿をしたシーラカンスが浮遊します。エベレストの地層から貝殻や魚たちの化石が見つかることからも知られるように、ヒマラヤ山脈もそんなに遠くない昔に海の底だったという事実の不可思議。 ★東京都美術館・五美大展より(撮影2007年2月21日) 現在はアニメやマンガでもアタリマエのような設定ですが、 オリエンタルな仏教宇宙観と設定を、世界で初めてSF小説に本格的な骨格として取り込んで、弥勒菩薩から阿修羅王、などの神々や仏たちの超絶の存在を、専門用語を自在に駆使して入り乱れる魅力的なキャラクターとして導入。悠久の宇宙全体の滅びの美学を織り込んでの神々の戦いを華麗に展開させ、学生だったはるるさんの心を見事に奪いました。 どのくらい高校生のおいらが夢中になったかというと、SFマガジンに「百億の昼と千億の夜」が連載中に・・。 その頃はまだ専業作家でなくって高校の教師もしていた光瀬龍さんの、赤羽台団地にあるご自宅に押しかけ、半日も居座って東キャナル・シティの配置を手書き地図で説明していただいたり、小説作法の内幕などを教えてもらった上に、夕食のお寿司までご馳走になったほど。 当時ひんぱんに文通したりSF同人誌(ファンの出版するマガジンという意味で仲間内では「ファンジン」と呼んでいた)などでつきあってた東京近辺に住んでる学生のSF仲間も同行してくれたので、可能だったこと。 SFという言葉がSMと間違われたり、筒井康隆や半村良などが新人デビューしたばかりの、日本SFの夜明けの時代だったからこそ、第一線SF作家が気軽にファンとおしゃべりしてくれたんです。 道玄坂にあった喫茶店「カスミ」でのファンたちの会合には、現役作家やイラストレイターなども気軽に顔を出し、ひんぱんな交流があった頃は、マイナーなSFというジャンルの蜜月時代だったんですね、あとから振り返ってみれば。 のちに萩尾望都の手でコミック化され、一部のSFファンによる評判だけでなく、ポピュラーなものになりましたから、「あしゅらおう」という魅力的な主人公を、ご記憶のひとも多いでしょう。 三面六臂の異形の神ながら、その中性的な美しさを秘めて根強い人気を持つ奈良・興福寺の国宝「阿修羅像」に、おいらが惚れたのもこの小説のおかげ。笑 この21日にムスメとふたりで行って来た東京五美術大学連合卒業・修了制作展 ★ その会場で・・・現代風ながら、なつかしい阿修羅をイメージさせる絵画や彫刻を何点か見つけましたので紹介させていただきます。 ★三面十臂は西洋の古典の神々を思わせるスタイルの中で、東洋の顔をしたキメラのような存在の日本民族そのもの、の「ぬえ」にも似た姿でしょうか。 ★東京都美術館・五美大展より ★「百億の昼と千億の夜」も、フレドリック・ブラウンの「フェッセンデンの宇宙」のような閉じた宇宙とその向こう側の物語でしたが、このうつくしい絵もそれと同質な無辺際の広がりと閉塞した闇を感覚させます。 ★東京都美術館・五美大展より ★現代の千手観音は、ちょっと途方にくれたような困った顔をしていますが、その情けない表情のわりには沢山の文明の利器を手にしていて、何にでも手が届きそうです。 どんなに世の中が便利になっても、本質的な人間には限りない欲望があって、そういった欲望の渇きは決して尽きることがないものだと知っていて、諦めにも近い境地。 ★東京都美術館・五美大展より ★この古代アジアの歴史や宗教世界に深く憧憬する「百億の昼と千億の夜」が連載されていた当時、日本は共産主義国の中国とは国交がありませんでした。毛沢東の大乱心が引き起こした国家全体の大混乱事件、あの文化大革命の直前のこと。この絵画に見られる中国奥地の客家の大集合住宅など、伝説のシルクロードのまぼろしの彼方の風景だったのです。今では、普通にバックパッカーが世界の至る所を旅していますが。 ★東京都美術館・五美大展より ★三面ではありませんが六臂の木彫の像です。奈良・興福寺の阿修羅像はシンメトリーな様式美を追求していますが、こちらはあえて非対称。それぞれの腕も自然に躍動して、静謐なたたずまいの中で、必死に何かを訴えて来ました。。。アタマに比較すると、その腕や手のひらに、強力な主張があって、強い存在感を持っています。プロポーションは決してばら色の未来なんかじゃなかった21世紀の日本人そのもので、表情にもうすっぺらな現代日常世界の危うさがどことなく。。 ★東京都美術館・五美大展より 開催中! 2007東京五美術大学連合卒業・修了制作展 ★ ●会期:19年2月21日(水)~26日(月) 9:00~17:00(入場は16:00まで) 最終日は9:00~13:45(入場は12:45まで) ●会場:東京都美術館(台東区上野公園内) ●入場無料で、2階から地下の会場まで、すべて鑑賞できます♪ 内容は、タイトル通りに東京を代表する5つの美術大学の美術系学科(武蔵野美術大学、多摩美術大学、女子美術大学、東京造形大学、日本大学芸術学部)が参加する豪華な卒業・修了制作展。 美大の学生にとっては、一般の大学での卒論の発表会みたいなもので、学園祭と似て非なるものですが、展覧会場での写真撮影は問題なくOK!です。 はるるさんたち親娘は、同時に東京都美術館内で開催されているオルセー美術館展の40分待ちのとか係員が叫んでる長蛇の列を横目に、すいすいと五美大展に入場。 たっぷりとゆとりのあるスペースで、3時間ほどかけて堪能させていただきました。 お昼は、ムスメのリクエストでとなりの上野動物園のレストラン。 他にも国立博物館には、精養軒のレストランもあるし、もっとお洒落な都内一流ホテル直営のレストランも正倉院宝物館のほうで千円のランチやってる。 国立近代美術館や、科学博物館、それに文化会館の「響き」も、好きなレストラン選り取り。笑 でも、パンダやぞうさん見物付きの魅力には勝てないようで・・。汗 【はるるが過去に書いたアート関係日記(の、一部)紹介】 ↓ ↓ 映像】森の青空図書館~妻有アート2006 映像】家族で宇都宮美術館&松本哲夫ギャラリー・トーク。 奈良美智「ともだちがほしかったこいぬ」青森県・弘前市 映像アルバム】軽井沢セゾン美術館~再読・聖と俗 タイの友人画家が描いた絵 スペインの旅★ガウディの懐しい曲線の街バルセロナ 映像】1週間で7つの美術館へ! 映像】草間彌生「花咲ける妻有」~遅く起きた朝は・・ ダリ劇場美術館(スペイン)改訂版 映像集】南仏ニースのシャガール美術館 未確認美術館めぐり~誰も居ないAtoZ 牢獄のピーターパン~サンジェルマン教会裏手のドラクロワ美術館☆パリ 映像】菊池歩/こころの花が3万本☆妻有アート06 映像】東京都内の美術館巡り ★等身大フィギュア・あしたのジョー★ ~旅のARTこれくしょん(そのろく) ★旅のARTこれくしょん 山形県立美術館・箱詰め恐竜生体標本 ★旅のARTこれくしょん オルセー美術館の妖怪たち ★旅のARTこれくしょん 世田谷美術館(東京都)空中歩行少女がゆく ★旅のARTこれくしょん 信州・松本市のガマさむらい ★旅のARTこれくしょん 京都市立美術館・宇宙戦艦江戸城! もし、この日記を気に入っていただけたら、ぜひクリックをお願いしますね。 アジアを始めとする世界各地、選りすぐりの旅行好きたちのHPが見られるランキング集にジャンプします♪ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日本の美術館] カテゴリの最新記事
『百億の昼と千億の夜』私も大好きです。
小学6年生の時、萩尾望都のマンガで先に読んで感動し、その後原作を 読んで心酔しました。 その頃、宇宙年代記シリーズがラジオでドラマ化されていて、録音まで して何回も聞いてました。 光瀬先生と交流があったなんて、なんて羨ましい!! 私ももう少し早く生まれていたらなぁ。。。 (2007年02月23日 11時23分22秒)
>『百億の昼と千億の夜』私も大好きです。
>その頃、宇宙年代記シリーズがラジオでドラマ化されていて、録音まで >して何回も聞いてました。 >光瀬先生と交流があったなんて、なんて羨ましい!! ----- 年代記や「たそがれに還る」、「喪われた都市」シリーズも壮大でなおかつ哀愁も感じさせる傑作でしたね。 ちょっと変わった宇宙冒険モノ、おてんば「猫柳ヨウレ」の活躍するストーリーも愛着があります。 SFしか書いていない時代も、江戸時代などを舞台にした歴史小説は大好きだったようで、自宅にお邪魔したときも話題の半分は「半七捕り物帖」とか「丹下左膳」の作者・林不忘などのエピソードが多かった。汗 光瀬さん、晩年になると、いっぱい歴史モノ小説を書いていますね。 (2007年02月23日 15時14分35秒)
「百億の昼と千億の夜」
残念ながらその本は知りません;; 明日「ジュンク堂」へ足を運ぶので探させていただきますね♪ 五美展、尚更行きたくなりました。 これはもう日曜開園と共に入るしかありませんね。笑 (2007年02月23日 20時04分00秒)
landslide0315さん
>残念ながらその本は知りません;; >明日「ジュンク堂」へ足を運ぶので探させていただきますね♪ --------- SF好きでないと、ちょっとハードかな?! コミックのほうを先に読んだほうが、とっつきやすいかも。笑 >五美展、尚更行きたくなりました。 >これはもう日曜開園と共に入るしかありませんね。笑 ----- 時間があったら、となりの東京芸大の構内でも色んな学科の卒展やってるから、覗いて見てね♪ ふだんは入れない場所も、見学できます。 (2007年02月23日 21時44分59秒)
ウ~ンこのブログにはまってしまいました。私が健康体なら、行ってみたい、してみたい・・・ことがそのまま実現してます。『百億の昼と千億の夜』原作読みたくなりました。有り難うございます。
(2007年02月24日 09時53分51秒)
ご訪問有り難うございました。
なにやら懐かしい時代のお話を伺ってしまいました(猫柳ヨウレも好きでした。文庫の挿絵のヤマダミネコさんの印象も強く・・・)。 面白そうな美術展情報、有り難うございます。 言ってみたいと思います。 (2007年02月24日 16時28分07秒)
トラックバックありがとうございます。
光瀬さんとの交流、興味深く拝読しました。 私は「果てしなき流れの果てに」同様、早川SF文庫で 読みました。 なつかしいです。 (2007年02月24日 19時00分15秒)
当方にコメントありがとうございました。
あの頃のSFマガジンはお小遣いで買うにはちょっとイタかった値段にも関わらず、本当に毎号楽しみにしていました♪ 「星の光と伝説」というレコードもまだ大切に持っていますよ~(光瀬さんと萩尾さんのコラボですね) そういえばSFという言葉が社会的に立場を確立した頃からかなぁ・・・いつの間にか読んでいないです・・・。 上の六臂の木像、素晴らしいですね。 (2007年02月24日 19時51分10秒)
ノートブック2000さん
>氷雪の高地で泳いでるシーラカンスの絵。 >きょう、上野で見て来ました。 >実物で見ると、迫力がちがいますね! ----- あさっての月曜日までやってます! 近くのひとは、ぜひ足を運んでください。。 (2007年02月24日 23時36分07秒)
青空229さん
>ウ~ンこのブログにはまってしまいました。私が健康体なら、行ってみたい、してみたい・・・ことがそのまま実現してます。 ----- わお。 こちらこそ、ありがとうございます。 当人は、本能のおもむくままに行動?!してるだけ、らしいです。 家族はきんじょめいわくかも?!苦笑 (2007年02月24日 23時43分16秒)
あそびすとさん
>なにやら懐かしい時代のお話を伺ってしまいました(猫柳ヨウレも好きでした。文庫の挿絵のヤマダミネコさんの印象も強く・・・)。 ----- 名古屋で最初の全日本SF大会があった夏には、高校生ながらボランティア・スタッフとして参加したので終了後の打ち上げにも混ざりました。 確か、主催団体のミュータンツの定期会合場所だったスナックに2次会をやったとき、星新一さんと小松左京さんに挟まれて座ってしまい、何を喋ったのか覚えてないくらいに舞い上がりました!汗 (2007年02月24日 23時49分56秒)
>光瀬さんとの交流、興味深く拝読しました。
>私は「果てしなき流れの果てに」同様、早川SF文庫で読みました。 ----- ご本人は舞台俳優のように低音でもよく通る温かい人間性を感じさせるステキな声の持ち主でした。 (2007年02月24日 23時54分10秒)
>あの頃のSFマガジンはお小遣いで買うにはちょっとイタかった値段にも関わらず、本当に毎号楽しみにしていました♪
-------- 初代の福島編集長時代ですよね。 半村良がデビューしたSFコンテストの入選作「お召し」は衝撃的でした。 >上の六臂の木像、素晴らしいですね。 ----- 地下2階のフロアの片隅に立っていたこの彫像の前で、しばらくたたずんでしまいました。 (2007年02月24日 23時59分15秒)
『百億の昼と千億の夜』は私は萩尾望都のマンガでしか知りませんでした。原作は光瀬龍だったんですね。
SFが好きだったので、光瀬龍の本も読んだ記憶がありますが、何を読んだのやら、今ではまったく覚えてません。(^^; 星新一、小松左京、筒井康隆、半村良というと、みんな懐かしい名前ですね。 この六臂の彫刻はすごいですね。存在感が。一度見てみたいです。 私も奈良の阿修羅像がとても好きです。意外と華奢な像ですが、独特の魅力がありますよね。 (2007年02月25日 01時45分59秒)
>星新一、小松左京、筒井康隆、半村良というと、みんな懐かしい名前ですね。
--------- 意外に大男だった星さん、思いがけなく小柄だった半村さん、どちらも故人になって久しいですね。 元気なのは、筒井さんくらいかなあ。 小松さんは、「ご隠居」状態だし。 >この六臂の彫刻はすごいですね。存在感が。一度見てみたいです。 --------- ですね~。 >私も奈良の阿修羅像がとても好きです。意外と華奢な像ですが、独特の魅力がありますよね。 ----- 高校の修学旅行は、奈良に行くのが楽しみで仕方ありませんでした♪ (阿修羅に逢えるので!) 同級生の大部分の生徒たちは、京都も奈良も似たようなお寺と仏像だらけで、うんざり退屈してたみたいですけど。 (2007年02月25日 12時05分17秒)
はるる!さん、こんばんは。
ぼくも 『百億の昼と千億の夜』は漫画でしか読んでいませんが、漫画の阿修羅王も美少年でしたね。 日曜日に、五美大展に行ってきましたが、どの絵も結構大きなサイズなので、パソコンで見るのとでは迫力が違いますね。 ところで、同じ日に「メディア芸術祭」にも行ってきました。結構、人がいて、インタラクティブ部門は自分では触れなかったり、映像部門は時間がなくて見てないし、できればもう一度行きたいところです。 恵比寿ガーデンプレイスの東京都写真美術館で、3月4日(日)までやってます。詳しくは、「 http://plaza.bunka.go.jp/festival/info/index.html 」 一番、面白そうだったのは、これ「 http://plaza.bunka.go.jp/festival/sakuhin/sakuhin/art02.html 」です。 (2007年02月27日 00時59分29秒)
URU+さん
>恵比寿ガーデンプレイスの東京都写真美術館で、3月4日(日)までやってます。 ----- 実は、このメディア芸術祭。 おいらも前からチェックしていて、3月1日に上野の森美術館で知り合いが出品してる展覧会を覗いたついでに、行こうと思ってたところなんです。。。 (2007年02月27日 13時40分36秒) |
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