2383969 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

320life

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

プロフィール

ノマ@320life

ノマ@320life

サイド自由欄

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

カテゴリ

2022.11.12
XML
テーマ:読書(8219)

本のタイトル・作者



カゴメの人事改革 戦略人事とサステナブル人事による人的資本経営 [ 有沢 正人 ]

本の目次・あらすじ


第1章 戦略人事とサステナブル人事
第2章 有沢哲学が生まれるまで
第3章 カゴメの人事改革の背景
第4章 カゴメの戦略人事改革
第5章 カゴメの生き方改革(サステナブル人事の実現)
第6章 コーポレートガバナンス・コードを人事改革に活かす
第7章 CHROに求められる経験・能力
第8章 人事改革の原則

引用


たとえば企業経営について、評判のよい講演があるとする。しかし、その聴講者から「素晴らしい講演で感動したが、うちの会社ではできない。○○だからできることだよね」という本音の感想を聞くことが、しばしばある。せっかくの講演が、なぜ活かされないのか。
それは良い事例や講演などの、How(施策をどうやってやるか)に注目してしまうからではないだろうか。(略)
注目すべきはWhat(施策で何を実現しているのか=施策の意義)とWhy(なぜその施策を実施したのか=施策の意味)ではないだろうか。施策の意義と意味は参考にすることができ、その意義と意味を実現することに適した各社のHowは、それぞれ異なるものが存在するはずだ。


感想


2022年292冊目
★★★★

この本、面白かったです。
大部分は、有沢正人さん(カゴメ株式会社常務執行役員CHO(最高人事責任者))の過去のキャリア(協和銀行(りそな)→HOYA→AIU保険会社→カゴメ)と、現在カゴメでやっていることの紹介。
インタビュアーの石山恒貴さんは、法政大学大学院政策創造研究科教授。

いやあ、他の会社の人事的な部分をここまで詳しく見せてもらえることってないので、「へえええええ!」と食い気味に見た。
カゴメの人事改革時に社内説明に使われたパワーポイント資料がそのまま掲載されている。

カゴメっていえば大企業だし、さぞ進んでいるのだろうなと思っていた。
ところがどっこい。
2012年に有沢さんがカゴメの人事改革に取り組み始めた頃、日本の現状は完璧な年功序列。
女性課長はたった4人、部長は2人(全員中途採用)。
執行役員と取締役の女性はゼロだった。

カゴメは海外にも会社があり、有沢さんはオーストラリアの営業部長の評価シートを見せてもらう。
第一目標「多くの人に会う」。結果「多くの人に会った」。
CEOの評価「おめでとう。たくさんの人に会ったね」!
いやもうこのくだり、ヘタリアのネタかと思ったわ…。

そこから抜本的な改革に取り組み、人事給与制度を刷新。
すべてのポストに値段をつけた。
これにより、「どこどこ支社の課長は年収いくら」がすべてクリアになり、誰でも見ることが出来るようになる。
また、「人材要件定義書」には、ミッション、アカウンタビリティ、求められる能力・スキル、望ましい職務経験が定義されている。
この透明性により、社員自身が異動先を考えることが出来、グローバル間でも自己申告が生まれる。
健全な競争による抜擢人事が可能に。

うんうん。これ大事。
我が社は完全な年功序列。年齢と勤務年数で給料が決まる。
役職が上がっても、それが年功序列の壁を越えることが出来ない。
私は今「係長」だけど、同じチームの年齢が上の人の方が、部下であっても給料は高い。
これ、ほんまにやる気失くす。
都合のいいときだけ上司だの責任だの言われるのに、「いやいや給料あんたのほうが貰ってますやん?」ってなる。
同じ役職でも年齢が上なら給料が高いし。
「え、同じポストなら同じ仕事ですよね?」と思う…。
同じ役職でも部署によって給料が違っていいと思うし…。
会社が考える「困難さ」や「重要度」を給料という形で見えるようにしたら、そのポストに抜擢されることが能力を認められることであり、同時に給料と言う評価にもつながるから、いいと思う。
カゴメの「ペイ・フォー・パフォーマンス」の精神。
まあ弊社では永遠に導入されないだろうな(遠い目)。

カゴメの取り組みでもう一つ面白いな、と思ったのが、「管理職になること」以外に、もう一つの道「専門職コース(スペシャリスト)」を設けていること。
資格保持者や第一人者となる研究者といった要件があるのだけれど、管理職になりたくない(自分の専門分野を究めたい)という人はいるし、あるいは管理職(マネジャー)には向いていないけど、プレイヤーとしては抜群のパフォーマンスを発揮する人というのはいる。
そういう人を腐らせずに伸ばしていくキャリアアップって、あんまり考えてこられなかった。
「管理職になるのが嫌なら平でいろ」という圧力と言うか。
でもそうじゃない。
私はこれ、女性のキャリアプランとしてもいいと思った。

やっぱり女性が管理職目指していくとなると、なかなか時間的・時期的にも難しかったりする。
その時にコツコツ積み上げて、自分の道を開いていくことが出来るってすごい希望じゃないか。

うちの企業は、女性社員が結婚して子どもを産むと、もうその時点で「バリキャリ」か「ゆるキャリ」かを選ばないといけないような風潮があって。
「ゆるキャリ」の中には、いかに有休を全消化するか、子供がいることを理由に仕事を振られないようにするか、楽な部署に異動するか、ということを考えている女性もいる。
残念だなあ、と思うのだ。もっと出来るのに。この人のリミッターになっているものは何だろう?どうすればそれを外せるんだろう?

この本で紹介されていたパタゴニアの創業者、イヴォン・シュイナードは、仕事と遊びと家族の境目を曖昧にするフレックスタイム制度を導入。それは、いい波が来たらサーフィンに行けるように仕事時間を柔軟にし、社員が階段を1段飛ばしで駆けあがってしまうほどワクワクしながら出社できるようにする。信頼と自律性。
そんなふうに働くにはどうすれば?

一方で、年功序列の給与体系だと、「ばりキャリ」でも「ゆるキャリ」でも同期なら給料は同じだ。
その不公平感(頑張るだけ損)という気持ちを、払拭するにはどうすれば?
会社にとっても、双方をそのままにしておくって、すごい損失じゃない?

本によれば、「人」が競争優位につながると信じる会社が少ない(1/8ルール)。経営陣の1/2が競争優位と信じ×その1/2が施策を適用し×その1/2が継続する。
その中で、サステナブル人事は近江商人の「三方良し(売り手、買い手、世間)」と似ている。「四方良し」では「働き手」が、「六方良し」では「作り手、地球、未来」が追加される。
いやいや、まさに「人は城、人は石垣」じゃないですか。

この間、会社で「同世代の女性」を集めた人事研修があった。
その外部講師を呼んでまでやった研修が「いかに家庭と仕事を両立して働き続けてもらうか」というような内容に終結したことに閉口したのだけど(独身もDINKSもいるなかで、だ)。
同時に「私がこれをやるなら?」と思ったんだ。
同世代の女性に向けた研修をやるなら?

この本で、有沢さんが年次別研修を選択型研修に変えたことが書いてあった。
年代・職種・性別に関係なく、自分とは異なる立場の人と話すことは、「何のためにやるのか(What)、なぜやるのか(Why)」に気付くきっかけになる。
同じように、社内で同じ問題を抱えた人たちをつなげたらどうだろう?

もうめちゃくちゃアイディア溢れてくる。
私がこれまで考えてきたこと、学んだこと。
いっぱいいっぱい、言えることや試してみたいことがある。

私、人事とか人材開発とか、そういうことがやりたいのかもしれない。
うすぼんやりしていた道が、くっきり見えてきたような。

石山さんは、人事コンサルタント八木洋介氏に「経営陣と現場の社員の意見は、人事担当なら49%:51%で考えるべき。他の会社の部門は利益・業績を追求することが業務。唯一人事部門だけが現場の意向を51%尊重しても良いやりがいのある部門」と言われたのだそうだ。
有沢さんは、人事の担当は財務もマーケティングも知っていて、そのうえで人事の専門性が必要だと言う。

私は、たくさん迷って、ぶち当たって、まだ悩んでいる途中。
だからその試行錯誤の、模索している解答を、共有出来たらな。
あるいは「こうあってほしい」のかたちを、作れたら。

はい、人事異動の時の希望が決まりました。
これもまた、我が社ではまったく考慮されないただの猿真似の「紙」だけど。

WhatとWhy。
知識と経験を身に着けて、Howに落とし込む方法を、私がこの会社で出来たらな。
うーん、もっと偉くなればいいのか?

これまでの関連レビュー


チーム・イノベーション ヒト・カネ・モノのない組織の立て直し方 [ 宮脇信介 ]
だから僕たちは、組織を変えていける [ 斉藤徹 ]

会社で「生きづらい」と思ったら読む本 [ 岩谷泰志 ]
「会社がしんどい」をなくす本 [ 奥田弘美 ]

魂の退社 会社を辞めるということ。[ 稲垣えみ子 ]
このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む転職の思考法 [ 北野唯我 ]
「会社辞めたいループ」から抜け出そう!転職後も武器になる思考法 [ 佐野創太 ]
転職が僕らを助けてくれる 新卒で入れなかったあの会社に入社する方法 [ 山下良輔 ]

日本人が知らない世界標準の働き方 [ 谷本真由美 ]
スタンフォード式 世界一やさしいパラレルキャリアの育て方 [ 江端浩人 ]
日本の女性がグローバル社会で戦う方法 [ 谷本真由美 ]


ランキングに参加しています。
「見たよ」のクリック頂けると嬉しいです。
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2022.12.03 23:19:51
コメント(0) | コメントを書く
[【読書】働くこと・キャリア・転職] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.