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カテゴリ:東日本大震災
昨日の日記で「福島市より南側では北東からの風が吹いていないと、二本松市や本宮市、更には会津地方における放射性物質の飛散状況を上手く説明できないのです。」と書いたのですが、まずはその理由を述べたいと思います。
昨日も拝借したこちらの資料を用いて福島市南部から本宮市にかけての奥州街道沿いの小学校の地上1メートルにおける放射線データを北から順に並べてみると、以下のようになります。 【福島市】 杉妻小2.4 蓬莱小2.6 金谷川小3.1 松川小2.3 【二本松市】 渋川小2.8 油井小2.6 二本松北小3.5 二本松南小3.3 岳下小3.7 杉田小3.9 【大玉村】 大山小2.7 【本宮市】 本宮小3.5 本宮まゆみ小3.1 五百川小3.7 (単位はいずれも毎時マイクロシーベルト。以下同様) 南下するごとに間歇的に漸増漸減を繰り返しているのがわかります。 また、二本松市や本宮市の東部において、 【二本松市】 川崎小 2.9 東和小 3.1 小浜小 3.6 大平小 3.4 石井小 4.0 【本宮市】 和田小4.2 糠沢小2.6 白岩小3.4 と、高い数値を示す小学校が多いことを考えると、安達地方においては、北東寄りの風が吹いていたと考えざるを得ないのです。すなわち、前回の日記で紹介した (3.原発方面から福島市南部へと吹いた風) 浪江町津島 ↓ 川俣町山木屋 ↓ 川俣町中心部上空を通過 ↓ 大久保小・飯野小・青木小・立子山小(福島市飯野町近辺) ↓ 2.に合流(下川崎小) には、 ↓ 川崎小・渋川小・油井小・二本松北小・二本松南小・岳下小・杉田小(二本松市北部から中心部) という続きがあり、恐らくこれとは別の流れとして、 (4.原発方面から本宮市へと吹いた風) 川俣町山木屋(3.と分離) ↓ 東和小・小浜小・大平小・石井小(二本松市東部) ↓ 本宮市の各校 という風が吹いていたものと推察されます。 また、安達地方西部の小学校についてみていくと、 【二本松市】 塩沢小2.7 原瀬小1.8 安達太良小0.94 【大玉村】 玉井小2.0 【本宮市】 岩根小2.2 【郡山市】(旧安達郡分参考値) 安子島小1.6 熱海小0.97 熱海小石筵分校0.66 と、奥州街道沿道よりは漸減していますが、いずれも高い数値を示しています。この傾向は福島市松川町においても松川小2.3→水原小2.1という形で見られますが、それより少し北の国道115号線沿道においては、吉井田小2.7→鳥川小1.7→佐倉小1.3→荒井小1.3→佐原小0.98→土湯小0.41と急激な減少となるため、国道沿いに北東の風が吹いていたとは考えにくいのです。 岳温泉に近接する安達太良小はさすがに低い数値になっていますが、標高500メートル超で土湯温泉よりも高いこと、しかも原瀬地区との間には600メートルを超える丘陵が横たわっていることを考えると、放射性物質を含む風がある程度流れていたと考えていいと思います。 また、3.の風は、ひょっとすると会津方面へも流れて行ったかもしれません。学校が存在しないので確定的なことは言えませんが、二本松市西部から安達太良山を越えて、猪苗代町北部へと到達した可能性があります。猪苗代町のデータを見ると、町中心部の猪苗代小が0.19なのをはじめ南部の小学校については概ね0.20前後なのに対し、北部の吾妻小は0.34と若干高いのです。また、吾妻小に隣接する吾妻中の数値は0.41であり、土湯小と同レベルになっています。 そう言えば、先月末に、福島市周辺の山の残雪から放射性セシウムが検出されたというニュースが流れましたよね。 こちらの記事を見ると、吾妻山系より安達太良山系、西斜面よりも東斜面に放射性セシウムが集中的に検出されていることがわかります。放射性物質が飛散した時点における安達地方の風向きを立証するものとなりそうですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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