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テーマ:たわごと(26604)
カテゴリ:decade(s)企画
前回と前々回は東北本線に阿武隈急行と中通りと宮城県とを結ぶ鉄道路線沿線における「郡山圏」と「仙台圏」の境界についての考察を行いました。
「福島圏」と「仙台圏」についてであればこの2路線を押さえておけば良かったのですが、「郡山圏」と「仙台圏」ということになると、この他に高速バス福島~仙台線も押さえておく必要があります。いわき市と郡山・福島両市との高速バスが多数通るいわき中央IC周辺が「福島圏」に入ったように、東日本大震災後の一年間で減便が相次いだとはいえ一日上下68本が運行されているこのバス路線の沿線にも「仙台圏」が広がっている可能性があるからです。バスが通る国道13号線沿いには稲荷田(福島市御山)、原田東(福島市北矢野目)、天王下(福島市飯坂町平野)と高速バスの停留所が三つあり、その存在を強く匂わせています。 そこで、高速バスが停まる各バス停について路線バスの運行状況を福島交通のサイトで調べてみると、稲荷田については福島駅東口とを結ぶバスが3系統で一日上下73本もあるのですが、原田東は1系統で一日上下24本にとどまっており、天王下に至ってはかつては路線バスが通っていたものの現在はすべて廃止されてしまい高速バス専用のバス停と化していることがわかります。いわき市の場合はいわき駅といわき中央IC付近(町田橋バス停)とを結ぶ路線バスが一日上下72本運行されている(参考)のですが、それに比べて福島市は腰が引けている感がなくもありません。 この状況から、少なくとも原田東と天王下の周辺については「仙台圏」とみていいと思います。 また、一応それなりに対抗できそうな稲荷田については、福島駅~郡山駅間を東北新幹線利用ということでデータを調べてみたのですが、 【対郡山駅】 運行本数 上下55本 平均所要時間 40分 片道運賃 2,150円(自由席特急料金840円を含む) 【対仙台駅】 運行本数 上下68本 平均所要時間 1時間06分 片道運賃 1,000円 と、路線バスと新幹線とのダイヤとがかみ合わない部分があり、到達可能なパターンが減少する結果となってしまいます。従って指標も、 【対郡山駅】 運行本数 -10.6ポイント 平均所要時間 +24.5ポイント 片道運賃 -30.8ポイント 計 -16.9ポイント 【対仙台駅】 運行本数 +10.6ポイント 平均所要時間 -24.5ポイント 片道運賃 +30.8ポイント 計 +16.9ポイント と、仙台駅優勢の結果となってしまいます。 なお、福島駅~郡山駅間で普通列車を利用した場合は、運賃が安くなる半面所要時間がかかりかつ運行本数が減少するため、新幹線利用よりポイントの差が広がります。また、福島駅~郡山駅間のWきっぷを利用すれば新幹線、普通列車双方とも運賃は120円安くなりますが、高速バスも往復利用前提ならば片道運賃が900円に割り引かれるため、ポイント差を縮めるには至りません。 従って、稲荷田周辺もまた「仙台圏」とみていいでしょう。 稲荷田、原田東、天王下各バス停の「駅勢圏」ならぬ「バス停勢圏」は、概ね御山(おやま)、南矢野目、北矢野目、沖高の各大字の全域および丸子(まりこ)のうち松川以南、飯坂町平野のうち東北自動車道以南という形になるかと思います。御山、矢野目両小学校の学区がまるまる入る規模ですが、東には東福島駅が「郡山圏」に入っている東北本線、西には福島駅から飯坂温泉駅までの盲腸線であり仙台駅には直通しない福島交通飯坂線が通っているので、あくまで国道13号線に沿った細長い地域が「仙台圏」ということになるでしょう。 なお、この地域の人口は、約14,000人。東北本線沿線の約31,000人、阿武隈急行沿線の約9,000人と併せて、中通り北部の約54,000人の人口が「仙台圏」に入ってしまう計算になります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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