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むかしのこと

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2010.02.07
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カテゴリ:正本ノン
10万回の軽蔑

著者: 正本ノン
出版社: 福武書店
発行年月: 1994年07月
ISBN:4828824839
本体価格 1,165円

***

コバルトで書いていた頃は、不幸の香りがしても、どことなく前向きな余韻があった作者だったので、とにかくショックを受けたのと、胸がすくおもいがしたのと。

不倫で「愛」(ダブル不倫というのかな?)なんて酔っ払ったこと言う女が、ぼろぼろと、薄汚れていくのは快感だった。と、同時にものすごい怒りがわいてくる。この、怒りがまた快感なのだ。

確かに、快感を伴うセックスには大きな力が働くとは思うけれど、滑稽だった。どうしてそこまで愛を表明されなければいられないのか、すがりつくのか、そこのところ見つめればどうにかなったんじゃないか・・・

けど、どうにかなんて、しなくてもいいのかも知れない。仕事で成功することが幸せとは限らない、愛している男と結婚することさえ・・・なんて、悲しい。

一番、「よくぞ、言ってくれました」と思うところは、

主人公が、恋人が部屋に入るなり靴も脱がずに陰茎をむきだしにして立ってた、という話を聞いた不倫妻が、そういえば私の愛人にもこういうことがあったわ、という話が、全然似てない話だったことに、
主人公がうんざりするところ。

こういう通わなさの悶絶もどかしさって、女友達には、特に男の話題でよくあるので、強烈に共感した!!

似てない、って、結局話したいことを話している。ということなので、相手が私でなくても、いい、ってことで、とても寂しいことだ・・・

寂しさ、怒り、悲しみ、セックスの告白に対する嫌悪感・・・

どれをとっても、私が無視してきたもの、味わいつくしたい、と思っていたのに、辛さから目を瞑ってきたものばかりで、私はこの本の感想として、この感情を味わうことによって、自分の過去の感情を吟味し、感じなおすことができたんだと思う。

『夏の窓をあけて』なんかも大好きだったけど、
確か、ハンカチ一枚しいてても強 姦にはならないという判例があるとか、いう文章がでてきて、私はこの世の厳しさを知ったというか、そのときも怒りがわいてきたんだった。ありがたい。
しかし、あまりの苦しさから、その行為と、自分がされている行為を同じものとして考えることはできなかったんだけれども、この作者の本を読んで感じることによって(理不尽さや、怒り、悲しみなど)なんとかやってきたのかと今は思える。

なんてことはない一冊かも知れない。けれども、私にはとても大切な、助けられた本になった。


(2005年6月4日)





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最終更新日  2010.03.16 11:04:36



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