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長野県長野市稲里町(いなさとまち)中氷鉋字(なかひがのあざ)大北(おおきた)○○番-。
大手パチンコ店がある住所だ。 「初めて来店される客には分かりづらい」と店の関係者も頭を抱える。長野市内には「大字」や「小字」、「通称名」とさまざまな住所表記が混在する。 このため、県外出身者は「長野の住所は分かりづらい」とこぼす。 市役所の住居表示係によると、所在地を示す際に(1)小字は省略する(2)大字のうち「長野」、「南長野」、「鶴賀」の3つは自治会の名称を後につける-などの決まりが定められている。 住民票は、この基準に基づいて作成される。 だが、実際には市の基準に合わない事例も少なくない。 特に官公署や事業所の所在地に関しての表記にみられる。 例えば、県庁の所在地は「長野市大字南長野字幅下692番2」と登記簿やホームページ、職員の名刺などに表記されている。 しかし、市の基準に従うと、本来は「長野市大字南長野妻科692番2」となるはずだ。 県は「昔からの慣例できており、今後も変更予定はない」との見解を示す。 市の塚田昌史係長は「あくまで市の基準は市民の住所表示に適用されるので、県庁の住所は、どうしようもない」とあきらめ顔だ。 会社など事業所の所在地表記も同様で、「明らかに架空でなければ、申請に基づいた住所を法人登記に用いるため、申請者の表記に基づいたものになる」(法務省長野地方法務局)という。 一般的に登記上の住所を所在地と表記するため、対外的にも「小字」以下も表示している会社が多くみられる。 市民の住所表示をめぐっても、さまざまな表記が混在していることから、不満の声が根強い。 同市西長野の「新諏訪町」に昨年4月、飯田市から引っ越してきた主婦は「引っ越し業者が『新諏訪町』を見つけられず予定以上に時間がかかった」と振り返る。 市販の地図の町名索引でも「新諏訪町」が載っていないからだ。 「新諏訪町」は通称で、祭りや公民館の名称などでは使われるが、住民票や運転免許所などの公式な文書では「西長野」と表記される。 郵便物は「同市西長野○番地」と「同市新諏訪町○番地」の両方で届き、何ともややこしい。 「昔から結びつきが強く、伝統と愛着がある『新諏訪』を使いたい」(和田健三区長)。 住民有志らで設立した新住居表示推進委員会で平成19年11月、住民説明会を開いた。 その後、賛否を問うアンケートを行った結果、回答した630世帯の約75%から前向きな支持が得られたという。 同推進委は昨年5月、住居変更する方向を決定し、今は市側の対応待ちだ。 こうした現状に対して、市は一部地域で分かりやすい住居表示への変更を進めている。 従来の地番表示に代わるもので、19地区で実施済みだ。 平成18年10月に始まった「平林1丁目」「同2丁目」もその一つ。 約2000万円を費やしたが、荒井英次区長は「新しい住所になってから不満は聞かない。むしろカーナビなどの地図検索がしやすくなり、生活する上で便利になったことのほうが多い」と語る。 市の住居表示審議会会長を務める鵜飼照喜・信州大学教育学部教授は「住民と話し合い、どういう表記が良いのか解決策を探していくべきだ」と話す。 合併を繰り返し、大きくなる長野市。 新たな住所表示も増えており、住民が納得いくような表記になるまでの道のりはまだ続きそうだ。 (MSN産経ニュース) ---------------------- 現在使用されていない小字名が実は地元では通りが良かったり、通称名が一般化していたりといった住所表記に係る問題は日本中至るところである。 それにしても長野市は極端な事例だ。 市の住民票の基準に対して県庁の表記が違うというのは何ともお粗末な話。 行政サービスは分かりやすさが命。 これについては早期改善を考えるべきだろう。 もちろん、伝統の問題もある。 長野市に限らず、昨今の住居表示に伴う地名表記の変更は、古い意味付けのある地名から安易な名称へシフトしつつある。 土地特有の呼称は文化的にも継承されるべきものであるし、現在の流れは忌々しき事態とも言える。 本来はこうした事情も考慮しつつ住所表記が検討されるべきであるが、様々な思惑の違いから実現しないケースが多い。 ただ、今回のような例は何らかの整理がされないと、不便極まりない話。 これでは何のための住所表記か分からない。 鵜飼教授の言葉にあるように、住民と話し合うことで解決策を探すべきだろう。 様々な議論の中で、役所も住民も地名の由来や経緯を知ることになるだろうし、土地への愛着も深まるだろう。 決して無駄にはならないと思うが。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.01.31 00:46:35
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