キサラギ■あえて批判をする。
自殺したアイドル、如月ミキの5人のファンが1周忌に集ってその死の真相をさぐりあう、会話だけで成立った密室ドラマ。この舞台設定は非常に魅力的である。実際にその展開は見る者を実によく乗せてくれる。最近の日本映画の中では巧く出来た作品と言える。かなり好評のようだ。しかし、どこか不快感がつきまとう。集った5人が導き出した如月ミキの死の真相は、他殺でも自殺でもなかった。その真相は非常にショッキングなものである。しかも、彼らもいくらかはその死の原因に関わっている。もちろん、熱心なファンである彼らに悪意など全くないが、それだけに、そのことを知ったことで彼らは大変な後悔と贖罪意識にとらわれるはず。その方が自然である。見ている私はそう感じた。もし、私が登場人物のひとりであれば、あの場はとてもいたたまれない場になったと思う。それが何故に、プラネタリウムの星空を見上げたくなるようなある種の清々しい気持ちになるのであろうか。それは非常に不自然で、不愉快な気分にさせられる。