「フラガール」■転換期に何を選ぶか?
この作品の概要を読んだときには、「プロジェクトX」か「スウィング・ガールズ」のような内容を予想したのであるが、実は違った。時代が変わるとき、環境が変わるとき、それも自分の人生や生活の中心にあったものが消えようとしているときに、人々はどのような選択をするのかということを描いたものであった。新たなものを立ち上げようとする人。そこに参加しようとする人。そうした動きには、当然、摩擦もある。批判だけではなく、妨害もある。また、他に生きる場所を求めて去っていく人もいる。個人の生き方としては自棄になっている人がいる反面、絶望的な状況の中に何かを求めようとする人もいる。それぞれの対比をして描いていく。それによって内容に厚みが生じ、ラストの感動につながっていく。この映画「フラガール」は、昭和40年の常磐炭鉱の人々を描きながら、実は、今の私たちの身近な現実的な物語である。