カテゴリ:観念重視から事実重視への転換
指揮者の佐渡裕さんの話です。
コーラスを指揮するとき「みんなができるだけ同じものをもって作っていくもの」というメンバーが持っている既成概念を壊すことから始めるのです。 私にとって素晴らしい声というのはみんな統一された同じ音色の同じような声になっていくことではない。 ガラガラ声でもそれはそれですごく魅力的だし、そういう違ったものを持った人たちが集まって 一つのものを作っていきましょうと言っているのです。 既成概念を取り払ってあげるとそれぞれが自由に音楽の楽しみを追及していくようになります。 これはプロのオーケストラでもアマチュアのコーラスでも一緒です。 一番やりにくいのは「音楽はこういうものでなければいけない」と思っている中途半端な人たちです。 既成概念にがんじがらめになっている人には音楽の面白さは伝えにくいのです。 この話は森田理論を学習しているものにとって大変貴重な話です。 まずコーラスの中ではガラガラ声でもいいということです。 普通に考えると、ガラガラ声は音楽には向いていないと考えます。佐渡さんはそうは考えません。 ガラガラ声はそれなりに魅力があると認めてくれているのです。存在価値を認めてくれています。 それを矯正して、普通の声にしなくてもよい。その声のままで音程やリズムを合わせてほしい。 このように言われると、自然にコーラスをやってみたくなります。歌うことが楽しくなると思います。 考えてみれば、ガラガラ声の歌手はそれなりに貴重で存在感があります。 人生の悲哀、悲しみを歌い上げるにはぴったりです。 ガラガラ声はダメと決めつけて、否定してしまうことは百害あって一利なしです。 つぎに既成概念の弊害を述べておられます。森田理論でいうと「かくあるべし」です。 音楽とはこうでなくてはならない。 コーラスはこうあるべきだと型にはめていると、歌うことは苦行になります。 特に指揮者がそういう考え方をしていると致命的となります。 本来声を出してみんなと合唱することは自己表現であり、みんなと協力し合って一つの作品を 作り上げることは楽しいはずです。 「かくあるべし」は、そのすべてをぶち壊してしまいます。 自分も苦しみ、相手も苦しませてしまうのです。 「かくあるべし」を前面に出す前に、「かくある」事実を優先できるようになることが大切です。 これは森田理論学習で目指しているところです。 皆さんは耳にタコができるほど聞いておられることでしょう。 次は実践に落とし込むことに手を付けてもらいたいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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