カテゴリ:森田理論の基本的な考え方
町田宗鳳氏のお話です。
人間は大なり小なり、八方塞がりの中で生きているのです。 でもその現実はどうしようもありません。1センチたりとも動かせないのです。 運命という警察官から手錠をはめられているようなものです。 となれば、制約は制約のままで、どれだけ屈託なく、自由に気分晴れ晴れと生きていくか、それで人間の値打ちが定まります。 自由を得るか得ないか、自分の心の持ち方次第ということになります。 親が悪い、学校が悪い、社会が悪い、政治が悪いと、自分の自由を奪う制約を人のせいにしているうちは、子どもです。 あれが悪い、これが悪いといっているうちに、自分自身から悪い余波がどんどん発信されることになり、今よりももっと悪い現象が起き始めます。 法然聖人は75歳という高齢で四国に流罪となっています。 それで法然聖人は少しも悲観していなかったのです。こんな歌を詠んでいます。 露の身は ここかしこにて 消えぬとも 心は同じ 花のうてなぞ 「肉体は草葉の露のようなものだから、どこで消えるか分かりません。だけども、心はいつも極楽浄土の蓮の台(うてな)にあるのですから、旅先で亡くなったとしても、またすぐに再会できますよ」 流罪という深刻な事件にも、まったく制約されぬ自分を楽しんでいるところがすばらしいのです。 職場で左遷されたといって悲観し、わが身を殺める人間がいますが、愚かなことをしようとする前に、この法然の歌を噛みしめてほしいものです。この世にいる限り、重い制約の中で、幸せを見つけるよりほかにないのですから。 これは森田理論では、「境遇に柔順になり、運命を切り開いていく」という考えと同じことだと思います。 (生きているだけでいいんだよ 町田宗鳳 集英社 54から56ページ引用) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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