カテゴリ:森田療法と他の療法について
林公一氏はうつ病の見分け方を大まかに3つあげておられる。
1、 毎日、24時間憂鬱でつらくて苦しい。 2、 興味や楽しみ、喜びの気分が全く湧かない。 3、 自責感が強い。自分が悪いという。他責の態度は見られない。 またうつ病の診断にあたっては、不眠、食欲不振、自殺願望などを含めても、一部分だけを見て判定してはいけない。 本人の生活や表情、態度全体を見ないと正確な診断は下せないと言われる。 もちろん診断するのは精神科医である。 しかし問題は、うつ病は本人の自己申告をもとにして判定するのであり、間違えてうつ病として診断してしまうこともあります。 その前提に立って、最近はうつが社会的に許容されてきたせいか、本来うつとはいえない症状が、うつだと間違って取り扱われているという。これは大問題だ。 例えば、新型うつ病である。林氏は、これは断じてうつ病ではないと言われている。 なぜか。この病気の人は、自分がうつであることを積極的に主張する。 本当のうつ病の人は自分がうつ病であることをなかなか認めない。 また、今の自分の悩みは親などに責任があるという。 さらに自分がうつ病になったのは会社でのいじめなどが原因であるという。 これは3番に当てはまらない。 さらに、平日は落ち込んでいたりするが、自由に過ごせる休日は人一倍謳歌している。 これは2番に当てはまらない。 林氏は新型うつ病は、本来のうつ病とは全く違う。 「甘えの擬態うつ病」あるいは「適応障害」によく似ているという。 それをマスコミが勝手に新型うつ病にしてしまった。 その他、境界性人格障害、統合失調症、躁うつ病、仮病もうつ病として取り扱われることがある。 表面上の症状が似ているからだ。 しかし、この混同は、治療方法の混乱を招いていると言われる。 決して本人のためにはならない。 うつ病は本人がうつ病を認める。薬を飲む。休養をとる。周りの人は叱咤激励ない。 重大な決定事項は保留にする。自殺に気をつける。等の治療方針をとる。 ところが、うつ病でない「甘えの擬態うつ病」「適応障害」「境界性人格障害」「統合失調症」「躁うつ病」「仮病」等はうつ病とは治療方針が大幅に異なる。 このなかで、神経症との関連でいえば、「適応障害」であろう。 適応障害とは神経症のために、とらわれが発生して、本来なすべき仕事などが手につかなくなることである。 神経症のために生活が後退して、支障が出ているのである。 これは心因性で、人間関係や仕事のストレスや認識の誤り等が原因である。 これは本人の資質と生活環境が大いに影響している。 うつ病は脳内神経伝達物質のバランスの崩れが原因とされている。 だから適応障害は、すべてではないが、うつ病とは対応がかなり異なる。 適応障害の人は、うつ病ではないことをはっきりと認識する。 薬にはあまり期待をかけない方がよい。休養は良し悪しである。 かえって手足を動かす方がよい。ストレスの原因を取り除く必要がある。 考え方の誤りを是正していくことが重要である。 等の手立てをとっていくことが大切である。この点森田理論が役に立つ。 集談会ではうつ病の人はすべて協力医の診断を受けてくださいと勧めている。 でもよく考えてみると、重いうつ病の人は集談会に来られない。 参加される人は、慢性的な抑うつ気分、気分変調性障害の人が多いように思う。 どちらかと言えば、「適応障害」の人が多いのではないかと思う。 その葛藤や苦しみのせいで抑うつ気分に陥っているのではなかろうか。 そういう人たちには、ぜひとも森田理論学習をお勧めしたい。 (擬態うつ病、新型うつ病 林公一 保健同人社参照) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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