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森田理論学習のすすめ

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2017.03.13
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それでは、引き続いて愛着障害を抱えた人が、それを克服するためにどうすればよいのか考えてみたい。
岡田尊司氏はいろんな提案をされている。
その中で、愛着の土台となる母親との関係を築き直すのは容易ではないと言われている。
母親自身が、不安定な愛着スタイルを身に付けていることも珍しくないため、傷ついた愛着を修復するという作業は、肝心の母親との間で行うのが1番難しいということになりがちだ。
それをいきなりやろうとしても無理だ。

その場合、むしろ最初は、もっと共感的で安定した、支えとなってくれる第三者との間で愛情を育み、愛着の傷を修復し、最終的なゴールとして母親との関係も安定したものにしていくというのが現実的だ。
まずは、親から適当に距離をとって、中立的だが、思いやりを持った存在との関係において、自分の中の不安定な愛着を克服していく。
信頼でき、関心や価値観をある程度共有し、何でも話すことができる存在に「心の安全基地」を見出し、受け止められることで、この作業を進めていくのだ。
仲間であってもいいし、パートナーであってもいいし、師であってもいいが、思いやりとともに、いつも変わらない安定性をある程度備えていることが必要になる。
医師やカウンセラーのような専門家についても、同じことが言える。
幸いなことに、愛着障害を抱えた人は、不思議とそうした出会いを得る才能持ってる人が多いようだ。
ただ、求める気持ちが性急すぎて、危険な相手やふさわしくない相手を信じてしまうことがある。
その見極めをしっかりすることも大事だ。
もっとも親密な存在という意味で、配偶者や恋人の役割は大きい。
実際、大人になってから愛着が安定化する場合、最大の力を持つのは、長年一緒に暮らす配偶者やパートナーの影響だとされる。

愛着は相互的なものだということを忘れず、自分だけが一方的に甘えるのではなく、自分も相手の安全基地になるように努力することが大切だ。
愛着障害がある人は、つい甘えが出て依存しすぎたり、感情的になりやすいのだ。
特に自分の弱点を指摘されたりすると、自分を責めていると受け取ってしまい、人間関係自体がぎくしゃくするということにもつながる。

愛着は相互的な現象だ。自分が親に愛されず、親が安定した愛着を育んでくれなくても、自分が誰かを愛し、その存在と安定した愛着を育むことができれば、自分が抱えている愛着の傷を癒し、不安定な愛着の問題を乗り越えることができる。
動物の赤ちゃんを育てた経験がある人なら、他のことなどそっちのけで、夢中になって世話をした覚えがあるに違いない。
幼い動物もあなたのことを求め、あなたもその動物のことをいつも気にかけるようになる。
愛着障害を抱えた人は、しばしば自分が誰かの親代わりの存在になることで、自分に得られなかったものを他人に与え、それによって自分の抱えた傷を乗り越えようとする。
本来は母親から優しい愛情と世話を与えられることによって育まれる愛着を、自分が小さな存在に対して母親の役目を行うことによって育み直そうとする。
自分が愛されなかったことをただ嘆いたり憤るよりも、見捨てられた存在の人や動物などを自分が愛することの方がどんなに役立つことか。

実際、愛着障害を抱え、それを克服した場合、必ずそうしたプロセスを経ている。
自分がしてもらうだけではどんなに愛されても、その傷は乗り越えられないのだ。配偶者や恋人、周囲の人が、治療者やカウンセラーが、どんなに支えてくれても、それだけでは不十分なのだ。
自分がどんな小さな存在であれ、その支えになるということ、親のように愛情注ぐ体験をすることが、その人の中に眠っている愛着の力を活性化させる。
それは支えを必要としている存在を支え、守らないではいられないという本能なのだ。それこそが母性や父性の本質だ。
(母という十字架に苦しんでいる人へ  岡田尊司  ポプラ新書  283頁より引用)

森田理論学習を続けていると、人のために尽くすということを盛んに言われる。
自分のできる範囲で人の役にたつことを見つけてコツコツと実行する。
それはまず集談会の中で、次に周囲にいる人たちに対して。
そうすると、自分にばかり向けられていた注意や意識が外向きになる。
また人に役立つことをすることで、感謝されたり評価されると、存在価値を高め自信がついてくる。
それが自分の愛着障害を癒し、生きる力に変わってくるのだと思う。





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Last updated  2021.10.27 23:52:42
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森田生涯@ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
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