カテゴリ:観念重視から事実重視への転換
2017年4月号の生活の発見誌からの引用です。
私たちは、ともすると先入観で物事を見てしまいます。 そのほうが、事実を確認する手間が省けて楽だからです。 その結果、安易に誤った価値判断で行動に走り、後から悔やんでしまうが多いと思います。 1つの例ですが、 「LDL 」は、悪玉コレステロールと呼ばれています。 なぜ「悪玉」かと言うと、肝臓で作られたコレステロールを各臓器(例えば血管壁)に運ぶタンパクだからです。これは動脈硬化の原因になるので、 「悪玉」なんですね。 しかし、これは一方的な見方です。 今が飽食の時代。誰もがダイエットにいそしんでいる世の中だから、 「悪玉」扱いされるのです。 もし今が食糧難時代で、誰もが十分な栄養を摂取できない状態だとしたら、血管壁にコレステロールを運んで壁を丈夫にして出血を防いでくれる「LDL 」は、 「善玉」と呼ばれているはずなんです。 私たちは多かれ少なかれ、このような「先入観」で勝手に価値判断して物事を解釈していること、よく自覚しておきましょう。 先入観で物事を判断すると、事実とかけ離れてしまうことが多いように思います。 会社などでは4月になると昇格人事、移動や転勤があります。 私の元勤めていた会社では、管理職の個人的な進言(好き嫌い)が人事に大きく反映されていました。 自分のお気に入りの部下を昇格させたり、自分の指示を無視したり、反抗的な態度をとる部下を移動させたり、転勤させたりしていました。それは日常茶飯事に行われていたように思います。 卑近な例では、お中元やお歳暮をを欠かさない部下をかわいがるとかです。 部長などのような人は、日々部下と接している訳では無いのですが、部下の人物査定は課長などから聞いて、いわば気分で行っていました。 私は部長の秘書のような仕事もしていたのでよく知っているのですが、部長は噂話や課長の評価をそのまま信用して、人事に反映させる傾向がありました。 本人に直接面接して、その人の能力や可能性を把握しているわけではないので、誤った人事をされた人は災難にあったようなものです。 先入観でこのような人事をされると、モチュベーションが下がることはあっても、上がることはないでしょう。 また、周囲の部下たちは、人事権を持つ上司の機嫌をとるイエスマンばかりになり、組織は硬直してくると思います。 私が以前訪問販売の仕事をしていた時のことですが、訪問販売では見込み客というリストがあります。 私はそのリストを見て、先入観でランク分けをしていました。そういう勘は鋭くなるのです。 そして実際の仕事では、高ランクに位置づけた人のみを訪問していました。 すると必ず買ってくれるはずだと思って訪問した人から、断られると大変ショックを受けました。 次の見込み客を訪問する気力が湧いて来なくなりました。 見込み客が10人いると、そのうち高い確率で成約になると勝手に自分が先入観でランク付けした人が3名ぐらいいます。その他の人は訪問しても買ってくれないから無駄骨を折るだけだと思ってしまうのです。 無駄なことはしたくない。実際にそういう人は最初から訪問することはありません。 このような先入観で訪問販売の仕事をしていると、実績を残すことはできません。 低実績で、上司や同僚たちから攻められるようになります。 針のむしろに座らされているようなものです。 また残った時間をどう潰していこうかと、右往左往するようになるのです。 実際に実績を残している人はどんな人かというと、ローラー作戦で営業をしている人です。 見込み客であろうがなかろうか、しらみつぶしに多くの人に会って営業ができている人です。 その人たちは先入観というものがありません。しっかりとした確率論によって支えられています。 体験的に10人の人に面会すれば2人か3人は成約に結びつく。 最悪の場合でも1回の成約はあると考えているのです。 数多くの営業活動をこなしてゆけば、成約になる確率と断られる確率は一定の範囲に収まることを経験的に分かっているのです。それはサイコロを振るようなものです。 1から6までの出る確率は、数多く振れば振るほど6分の1に近づいてゆきます。 だから、成約になろうが断られようが、営業の質を上げるよりも数を上げることを重視しているのです。 つまり先入観ではなく、確率論で積極的に営業活動を行っているのです。 そのほうが、安定的な営業成績を長期に渡って出し続けることができるのです。 先入観に支配されると、目の前の事実を確認するという基本的な態度を放棄しています。 必要な事実を見ようともしないし、見た瞬間に勝手に決めつけて解釈してしまうのです。 そして、頭の中で勝手に解釈したり評価したりしています。 言い換えれば、事実をありのままに見ていない人は、「事実」と「観念や解釈という人によって処理されたもの」との区別がつかない状態にあるといえます。 森田理論では、肥大化した 「かくあるべし」を、小さくしていくことを学びます。 その際、先入観を排除して、人から聞いたことでも、実際に自分の目で事実確認して裏付けをとることが大切だといわれています。森田先生は、残された記録によると、実際にそのようにされていました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2024.05.31 20:22:37
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