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森田理論学習のすすめ

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2017.05.25
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カテゴリ:行動のポイント
森田先生の話です。
最近、朝日新聞に、五重奏ということが出ていた。
それは本を読みながら、会話をし、字を書き、計算をするとか、同時に5種類のことをするということです。
聖徳太子はいちどに8人の訴えを聞かれたとの事、すなわち八重奏である。
私どもも平常、 2つや3つの仕事は同時にやっている。
たとえば、病院などでも、患者の家族に面会しながら、机上の雑誌を読み、一方には看護婦に用事を命令するとかいうようなものである。三重奏である。
我々の日常は、誰でも同時にいくつもの方面のことを考えているのが普通のことである。
強迫観念でも、苦しめながら、なんでもできるものである。
神経質の人の考え方の特徴として、それを自分で出来ない事と、理論的に独断してしまうのである。
(森田全集第5巻 白揚社 99ページより引用)

これに対して我々は、物事に取り組む時はそのものに集中しなければいけないと考える傾向がある。
余計な考えが頭の中に入り込むと、物事は決してうまくいかないのではないか。
こういった事は頭の中で考えると、それが最も効率よく、しかも正確に素早く目的が達成できるようには思う。森田先生は、実際の生活の面ではそういう事はありえないと言われている。机上の空論である。
時と、場面に応じて様々なことが、眼について、気になるのが普通の人間である。
そうでなければ、他の動物の餌食となって、人類がここまで生き延びることはできなかったであろう。

その上で、では一体物事に集中するということはどういうことか。
たとえば、先生が学生を相手に講義をしているとする。もちろん、講義している内容には集中している。
でもその時、森田先生は決して講義の内容のみに集中しているわけではないといわれる。
机の上に置かれた水差し、時計、書物なども気になる。
また、外の自動車の騒音や学生の仕草も気になる。
眠っている人や、遅れてきた人が気になるのだ。
森田先生の集中と言うのは、それらのことすべてに一時的に注意と関心が移動して、しばらくすると気になったことが次から次へと変化していく事を意味する。
一時的にとらわれても、時間が経てばまた別のことにとらわれる。
つまりいつまでも一つのことにとらわれるということはありえないのである。
集中とはその時、その場で瞬間的に一時的にとらわれているのである。
一時的にとらわれてなりきることを集中といっている。
時間が経てば速やかに、別のことに意識が移り、別のものに集中している状態のことをいう。

その時、注意と関心が講義の内容のみに固定されるとどうなるのか。
本来外へ向かうべき自分の注意や意識が自然と自己内省化してくる。
講義の内容はこれでいいのだろうか。自分の表情や声の調子は問題ないだろうか。
体の震えを止められないものか。
そうした不安や心配事が次から次へと湧き上がってきて、大勢の前で講義をしすること自体が恐ろしくなってくる。
これは血管の中を血液がスムーズに流れなくなってきた状況によく似ている。
血管の中に詰まり気味に血液が流れているような状態だ。これではいずれ病気になる。
目の前に現れてくる様々な感情に対して、変化流転を拒み、無理やり歯止めをかけようとしているようなものである。

森田先生は、日常生活の中では雑念だらけだと言われている。
目の前の状況に応じていろんな感情や気持ちが湧き上がっては消え、湧き上がって消えていく。
決して一つの感情のみに固定したいと思っても不可能なことなのだ。
神経症に陥ると、意識や注意の固定化が起きて、変化流転という自然の動きが止まってしまっているのだ。
だから神経症を治すためには、谷間を勢いよく流れる小川がイメージできるようになるといいのだ。
私たちはその自然の流れに身を任せて、その時々の様々な感情を受け止めながら、生きていくしかない。
決して人為の力で手出ししてはならないものなのである。





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Last updated  2017.05.25 06:30:04
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