カテゴリ:不安の特徴と役割、欲望と不安の関係
森田先生は、「苦楽はあざなえる縄の如し」と言われている。
楽をしようと思えば、苦しみを乗り越えなければ、楽にならない。 働いて給料を得たということと、苦痛をおして働いたという事は、同一事件の裏表、両方面です。 給料を得たことを喜びといい、働いたのを苦痛という事は、単にその一面を取り立てて高唱し、注意を促すというのにとどまり、実は必ず同時に、その両面が切っても切れぬように、接続関連しているのであります。楽と苦は互いに関連して取り離すことはできない。 苦楽は、同一事の両面の見方であると言ったほうがよいと思う。 森田先生は物事を見る時に、先入観や決め付けで判断すると間違いが多くなると言われている。 物事を見るときは、プラスの面を見れば、必ずマイナスの面も見る必要がある。 これを両面観でものを見るという。 これを発展させていくと、あらゆるリスクを検討・考慮して物事を判断するという多面観に行き着く。 私はこの両面観については、 2つの点で役に立っている。 1つは対人恐怖症で神経症に陥った時は、人の思惑が気になり不安や恐怖にとらわれていた。 森田理論を勉強していくうちに、その状態は1方面に偏ってバランスが崩れている状態だと気がついた。 私の対人恐怖症の葛藤は、他人から良い評価を得たいという強い欲望があることに気がついた。 不安や恐怖はその欲望が阻害されているときに発生していた。 その時に私が取るべき行動は、その欲望に向かって努力精進していけばよかったのである。 そうすれば不安と欲望のバランスがとれて何も問題は起こらなかったはずだ。 ところが私は生の欲望の発揮は無視して、不安や恐怖を取り去ることにばかりエネルギーを使っていた。 そして最終的に行き詰まるようになってからは、逃避することばかりを考えるようになった。 森田理論学習で、欲望と不安の単元を学習してからは神経症の成り立ちがよく理解できるようになった。 それからは少しずつ生の欲望の発揮に力を入れることができるようになった。 次に私は「神経質の性格特徴」を学習するまでは神経質性格は良くない性格だと思っていた。 神経質性格の人は、細かい事が色々と気になり気苦労ばかりする。損な性格だと思っていた。 小さいことを気にしない性格に修正していかないと、社会に適応することはできないのではないか思っていた。しかし森田理論学習で神経質性格は類稀な素晴らしい特徴を持っていることを学んだ。 細かいことがいろいろと気になるという事は、鋭い感受性を持った人間であるということである。 人の気持ちもよく分かるし、音楽や芸術などの鑑賞などもより深く味わうことができる。 また、様々なことに興味を持ち、思索したり分析する能力も兼ね備えている。 これは向上・発展したいという生の欲望が極めて高いということである。 一つのことに粘り強く取り組むこともできる。真面目で責任感も強い。 神経質性格の人は、ネガティブで悲観的な面ばかりに目を向けて分析してはならないのである。 マイナスの面があれば、それと同じだけのプラス面があるはずだ、という気持ちで性格分析をする必要がある。 メンタルヘルス岡本記念財団の元理事長の岡本常男氏は、 「自分で10の欠点があれば、必ずその裏に10の長所がある。それを見つけ出して、その長所で勝負していかなければならない」と言われていた。 私の机の前には「やじろべい」が置いてある。さらに小学生が理科の実験で使う天秤も置いている。 本当はお土産物屋で売っている傘がバランスよく配置されたものを天井にぶら下げたいと思っている。 これらは、一方的な考え方で自分を自己否定したり、他人を批判したくなった時に、「ちょっと待って。それは一面的な見方になっているのではないか」といつも警告してくれているのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.07.05 06:30:11
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