カテゴリ:観念重視から事実重視への転換
プロ野球はどこの球団も8名程度のスコアラーがいる。
ピッチャーの投げる球種やバッターのバッティングをスコア―ブックに記入しているイメージが強い。 実際にはそれ以上の仕事をこなしている。スコアラーはだいたい、3つに分かれて仕事をしている。 まずチーム付きのスコアラー。 試合当日相手チームはもちろん、自チームの選手も観察してデータを採集している。 次に先乗りスコアラーは、次のカードで対戦するチームの情報収集に当たる。 さらに、次の次のカードに対応する先々乗りスコアラーがいる。 先乗りが見る試合で投げる先発投手は、次のカードではまず登板しないので、野手や中継ぎや抑え投手のチェックが主な仕事になる。先々乗りが、先発投手の分析に当たることが多い。 ネット裏に陣取り、調査するチームの各選手の動きを追って、ノートに逐一記録。ビデオ撮影をすることもある。 チェックする点は30項目にも及び、そのデータが本拠地球場のスコアラー室に備えられたコンピュータに集められ、解析を加えて調査レポートが作成される。 これが監督やコーチ首脳陣のミーティングに提供されて、具体的攻略法の指示やアドバイスになる。 投手の場合は牽制や投げ方など、クセを見破るのが大事だ。 これでチーム打率が5分上がるといわれます。野手では打球方向や変化球の対応を見る。 さらにメンタル面を調べるために、家族や性格、交友関係まで調べることもあるという。 広島カープの井生スコアラーはチーム付きのスコアラーだ。 本拠地試合では日付が変わるまで球場にいることが多い。 遠征先でも外出することはなく、ナイター後は監督と部屋で話し込む。 自分が気が付いたちょっとした投手の癖などを話すと、監督は身を乗り出して聞くという。 「このピッチャーはバント守備にスキがあります」と監督に話したことがあった。 その後の試合では、選手が連続してバント安打を成功させた。 こんな時がスコアラー冥利に尽きるという。 スコアラーは、選手時代の経験だけでできるような仕事ではないという。 野球関係の著書を読み、人間の心理を研究するなどが欠かせない。 私はこの話を聞いて、スコアラーの仕事は神経質性格者向きではないかと思った。 神経質者はちょっとした細かいことに引っかかる。それをほおってはおけない。 原因が分かるまで、分析したり、どこまでも追及する。 事実を基にして、その人の癖、特徴、傾向を隅から隅までまで調べあげる。 最終的には相手チームのサインを研究して、サインの解読も行っているのである。 事実が正確でその量が多ければ、次の行動が立てやすい。そして成功する確率が高くなる。 現在、天気予報は9割以上当たっていると言われているが、それは気象衛星などを使って、気圧や偏西風、海水温の動向を正確につかめているからである。 事実の裏付けがない予測は、闇夜に鉄砲を打つようなものであるということを忘れてはならない。 神経質者はこのことを肝に銘じておく必要がある。事実を基に行動できるようになれば、思想の矛盾に陥ることはなくなる。つまり簡単に神経症に陥るということは防ぐことができる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.10.11 06:50:28
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