カテゴリ:不安の特徴と役割、欲望と不安の関係
対人恐怖症の人は、他人の思惑が気になって仕方がない。
相手の反発を恐れて、自分の本当の気持ちを抑圧したり、主張したいこと我慢している。 そうしないと仲間はずれにされるかもしれない。いじめにあうかもしれない。 集団から見放されると、生きていくことができないと考えている。 つまり自分が自由に発言したり振る舞ったりすることは、自分が自分自身に対して規制をかけているのである。 こうなると、自分の本心と行動にギャップが生じ、葛藤や苦しみを生み出します。 これは岡田尊司によれば、生まれてから3才までの特に母親との人間関係に原因があるといわれる。 根本的には無条件に他人を信頼することはできない。甘えることもできない。 岡田氏の言われる「愛着障害」を引きずっている状態である。 愛着障害の克服については、岡田尊司氏の「愛着障害の克服」 (光文社新書)を参考にしてほしい。 愛着障害のためにいつも自分を押し殺していると、相手にとってはいいカモに見える 自分のやることなすことについて、批判したり自己主張をしないので、ストレスなどを発散する格好の相手に見えてしまうのだ。 そしてすぐに上下のある人間関係を作り上げてしまう。人の思惑が気になる人は、いつも被支配者となる。 他人から常に指示命令され、強制や脅迫をされるので、とても生きていくことが苦しくなる。 対人恐怖症の人は、常に軽いうつ状態に陥っている。いわゆる気分変調性障害である。 うつ病と違い、軽い抑うつ感情が長期にわたって持続している。 こういう方は、容易に神経症を発症する。不眠・ 不安・イライラなどの不定愁訴症候群に陥る。 気分変調性障害に対しては、薬物療法や様々な心理療法がある。 しかしこれは根本的な解決策にはならない場合が多い。 私は、森田療法を学んで、極度に他人の思惑を気にするということを「バランスのズレ」と言う面から考えるようにしている。バランスが崩れているから、現在苦しんでいるのだと考えている。 極度に他人の思惑を気にするということの反対は、きちんと自己主張をするということである。 自己主張とは自分はこう思う。自分はこう考える。自分としてはこうしたい。等々を相手に公表することである。 天秤で言えば、その2つがきちんとバランスが取れて釣り合っていることが大切である。 ところが、極度に他人の思惑が気になる人は、そちらのほうにばかり重い分銅をつけている状態である。 その苦しみを軽減しようと思えば、きちんと自己主張をするようにならなければ、バランスが崩れたままであるからどうしようもない。 それでは対人恐怖症のような人にとって、自己主張はどのようにしたらよいのか。 まずは、自分はこう考える。自分はこう思う。自分はこのようにしたい。という気持ちをしっかりとさせることである。 次に、自分の正直な気持ちを相手に向かって話してみる。しかし対人恐怖の人にしてみればこれができないから対人恐怖になったのである。 でも、直接面と向かって言えなくても、集談会の仲間に向かっては話すことができる。とりあえず、誰でもよいので、信頼できる人に自分の思いを口に出すということが大切なのである。 次に、レポート用紙にまとめてみる。あるいは、自分の気持ちを日記に書くことも有効である。 とにかく頭の中でああでもない、こうでもないと循環論理に陥るのではなく、自分の心や身体から一旦吐き出すということ実践するのだ。まず手始めにすることはこれだ。 次に目の前に自分のやりたいこと持っているということが重要になる。 趣味、問題点や課題、夢や目標である。 これらは自己主張とは関係ないと思われてる人がいるかもしれない。 しかし、これらを持って少なからず取り組んでいるということは、自分の頭や手足を使って、精一杯自己主張をしていることと同じことなのである。 自己主張の基本は、衣食住などの日常茶飯事に対して、ものそのものになりきって、丁寧に取り組んでいるかどうかに行き着く。バランスをとる一助となるのである。 このように考えると、人の思惑が気になるという人は、これらの自己主張が全く行われていないか、あるいはあまりにも中途半端である。つまりバランスが崩れて、天秤の用を果たしていないのだ。 直接対人恐怖症や人の思惑を改善するために操作するよりも、バランスを意識して、自分にとってはどのような自己主張をしていったらよいのか考える方がよい。 その2つのバランスがとれ、天秤がつり合ったときには、他人の思惑が極度に気になるという不安が、問題にならないほど小さくなっていることに気が付くであろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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