カテゴリ:森田理論学習の進め方
12月号の生活の発見誌よりのご紹介です。
九州支部の幹部が精神科医であり、小説家の帚木蓬生(本名は森山先生)を尋ねて次のように質問した。「生活の発見会はなぜ会員数が減り続けているのでしょうか」 こんな質問は人に聞くのではなく、自分達で考えろと言いたくなるとことろですが、そこは帚木先生。「あんたら、説教と自慢話ばかりしているだろう」と指摘されたとのこと。 私はこの回答を聞いて、「まさにその通りだ」とひざを叩いてしまいました。 そんな集談会に参加していて、何のメリットがあるのだろうか。 素人なのに上から下目線で自分のことを取り扱うのは、会社の中での上司と部下の関係と同じではないか。そこでの葛藤や悩みを相談したいのに、これでは話にならない。さらに克服体験と称して自慢話をしているのではないか。 本人は成功体験の話で自己満足できるかもしれないが、そんな話を聞かされる人の身にもなってほしいものだ。 これは極端に誇張した話だが、そういう気持ちが少しでもあるとしたら、集談会から足が遠のくのは自然の成り行きではないか。 では森田理論の精通した人に森田理論の講義をしてもらうことは意味がないのか。 あるいは、神経症の克服体験談を聞くことは役に立たないものなのか。 もちろんそんなことはありません。大変役に立ちます。 私は森田理論に詳しい人から森田のイロハを学んだ。 これは剣術でいうと、師匠の技を盗むことに相当するのではないか。 こういうお手本がないと、自分の型はできないと思う。 井の中の蛙状態で人生が終わってしまう。 普通は頭を下げて、高い授業料を払って入門させていただくのだ。 そして森田理論の基礎を教えてもらう。型を覚えて自分のものにしていく。 森田の学習や教育は自分を一段と成長させるために必要不可欠なものです。 守離破でいうと守を徹底して、自分の型を作らないと次には進めない。 集談会ではこれが「説教」として受け取られているのが問題ではないのか。 つまり学習する人が、積極的にかかわろうとしていないときに、森田理論を講義してみたところで、「豚に真珠」の現象が起きているのではないか。 悩みや葛藤を抱えている人にとっては、それを解決することに関心がある。 そのために薬物療法、認知行動療法、その他精神療法、カウンセリングなどがある。要はどれでもよいのだ。 そこでいきなり森田的な話を持ち出すのは、違和感があるということではないのか。初めて集談会にやってきた人は、確かに森田療法に一縷の希望は持っている。 それよりもまずは自分の葛藤や悩みを吐き出させてほしい。 傾聴、共感、受容の気持で暖かく包み込んでほしい。 森田理論云々というのはその先にある問題だ。 ここは神経症克服のラインナップを紹介してあげることが大切なのではないか。 そしてどんな道を選んでも、神経症という蟻地獄から地上に這い出すことはできますのでご安心してください。 私もさまざまな療法をあさってきました。 最終的には森田療法、森田理論学習が合っていたので、たまたま森田に取り組んできたのです。要は神経症を治したい人は自分に合った方法を選択すればよいのです。ただここで声を大にして分かってほしいことは、神経症の蟻地獄から地上に這い出ても、生きづらさは解消できないことが多いのです。 生きづらさを解消したいと思われたとき、森田理論学習が大いに役に立つことを頭の隅に置いておいてください。 この点をしっかり伝えて、そのあとのことは相手に任せるしかない。 馬をオアシスまで連れて行くことはできるが、水を飲みたい気持ちの馬は当然水を飲む。でも水を飲みたくない馬に無理やり水を飲ますことは、馬に苦痛を強いることになります。 私たち先輩会員は、森田によって自分の成功体験を持っており、それを性急に押し付けようとしているのかもしれない。 しかしそこで少しでも苦痛を感じた人は、二度と集談会にはやってこないことを肝に銘じておくことが大事になる。 私が飛び込みセールスの仕事をやっていた時に思ったことですが、買おうかどうか迷っているお客様はたくさんいました。 その時押し付けの態度を見せるとすぐにお客様は逃げていきます。 一旦逃げた魚は二度と針には引っかからない。 そのときは「残念ですが、じゃまた機会がありましたら」いったん引き下がるのです。見込み客として取っておくのです。 そして日を変えて、「近くまで来たので寄ってみました」と口実をつけていくのです。なんども顔つなぎをしていると、気の毒に思うのか、相手の気が変わって成約になることがあるのです。 また思い出したように、電話で注文してくる見込み客もいました。 性急な態度で「このチャンスを逃すと後がない」と切羽詰まった態度は墓穴を掘ってしまうのです。鷹揚に構えて、自分は愚直に森田道を貫いている方が、かえってうまくいくのではないか。その方が相手にとっては、その人のことが妙に心に残り、いざとなったら集談会があるという安心感につながるのではなかろうか。 そういう人がその後長らく森田と関わっていく人になるような気がします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.01.22 06:37:28
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