カテゴリ:森田理論学習の進め方
集談会活動で、認識の誤りに気づき、新たなものの見方や考え方を身につけるためにはどんな点に留意すればよいでしょうか。
私たちは繰り返して森田理論を学習しています。 学習の中でこれは本当だろうかと思うようなことが多々あります。 この疑問を持つことが大切になります。 ・たとえば、神経症は治そうと思っているうちはいつまで経っても治らない。 治すことを止めたらその日のうちから治ります。 ・不安を取り除こうとしてはいけない。 不安を抱えたままなすべきことに淡々と取り組んでいくのが森田のやり方です。 ・小さなことにとらわれてしまうという性格は、感受性が鋭いということですから素晴らしい性格を持っているということなのです。 ・神経質性格の人は、普通の人以上に過大な欲望を持っている人なのですよ。 ・感情は自然現象であって自由にコントロールできるものではありません。 ・どんなに苦しくても、形を整えることを心がければ、神経症の苦しみはなくなります。 ・森田の神髄はあるがままです。不安はそのまま受け入れて、なすべきことに取り組んでいけば神経症で苦しむことはありません。 ・症状の為に逃げてばかりではいけませんよ。不安を抱えたまま行動することを心がけなさい。 ・気分本位になってやるべきことを回避してはいけません。少々気がすすまないことでも我慢してやることが大切です。 はじめて森田理論学習した人は、その考えは本当なの、正しい考え方なのと思うことが多いのではないでしょうか。 今までやってきたこと、考えていたこととは180度違う考えですからね。 私は最初に集談会に参加した時のことを今でも思い出します。 先輩から「あなたの症状はなんですか」と聞かれました。 私は思わず、この人は私のことを精神を病んでいる人だと思っているのだと思いました。 対人関係の悩みを抱えているが、精神的な疾患を抱えているわけではありませんと反発したことを思い出します。 その証拠に毎日きちんと会社に行っていますよと言いました。 その挙句、対人関係の改善には手を付けずに、実践目標を作ってそれに取り組んでいきましようとアドバイスされたのです。 とても素直に受け入れられるものではありませんでした。 今考えるとこれらの疑問や反発は大切なのだと思います。 何の疑問も持たずに森田理論学習している人よりも、森田理論の言っていることに反発を感じる人の方が見込みがあるように思います。 ただし、反発を感じながらもせめて1年くらいは真剣に森田理論の学習に取り組むという条件付きです。できれば3年を想定しています。 学習の方法ですが、森田理論はこういっているが、これははたして本当のことか、自分で確かめてみてやるという気持ちを持ち続けることです。 つまり自分の実践・行動で確かめてみるという態度です。盲従はいけません。 具体例で説明しないとよく分からないかもしれません。私の例で説明します。 私は以前、雑事や雑仕事は煩わしいものだと思っていました。 できればそんなことに関わりたくない。人に任せたいと思っていました。 そんなことに忙殺される人生は意味がないと思っていました。 それよりも、自分にふさわしい、もっと大きな課題や目標に取り組んで、成果を上げて、多くの人から称賛されるようなことに取り組みたいと思っていたのです。 集談会では先輩会員から何度も日常茶飯事に丁寧に取り組みなさいとアドバイスされていましたが、何を言っているのだろうと馬鹿にしていたのです。 そんな時に生活の発見誌で次のような記事を見つけました。 水谷啓二先生の「平凡に徹した非凡」という記事でした。 神経質者は風雲に乗じて成功を遂げるタイプではない。 平凡を軽視しないで、毎日の仕事に精を出す。 そういう生活を20年、30年と積み重ねると、非常に非凡な成果を生む。 私はこの「非凡な成果」という言葉にくぎ付けになりました。 この考えが正しいのか自分の実践で確かめてみようと思ったのです。 早速この考えを仕事に応用することにしました。 当時は営業事務の仕事をしていました。 一枚の仕入れ伝票をお金のように大事に扱うことにしたのです。 今までは納品書は照合が済むと段ボールのようにものに放り投げていたのです。 それをメーカーごと、日付ごとにきちんとファイルするようにしました。 必要な伝票を3分以内に取りだすことを目標にしました。 雑仕事と思って馬鹿にしていた伝票をお金のように取り扱うようにしたのです。 慣れるのは大変でしたが、習慣化できた後は難なくできるようになりました。 そうすると6か月くらいで大きな成果が出ました。 雑仕事を丁寧にすると、仕事にゆとりが出てきました。 凡事徹底に取り組むと仕事の能率がよくなり面白くなることが分かりました。 この経験をもとにして、「仕事に追われる人と仕事を追う人の違い」についてまとめてみました。それを集談会で体験発表しました。 ブログにも書きました。(2013年1月12日、2014年6月21日) これはほんの一例です。そのほかにも、森田理論を生活や仕事に応用して多くの気づきや発見がいくつもありました。 神経症と格闘するような人はたくさんの認識の誤りを抱えています。 それを解消するには。 1、森田理論を系統立ててきちんと学習する。 2、森田が言っていることははたして間違いないのか自分の体験で検証してみる。 3、その結果を集談会で報告する。 4、みんなの感想やアドバイスを聞く。 この手順を踏まえて、理論学習と行動をシンクロさせていくと、誤ったものの見方、考え方が容易に修正できることが分かりました。 そして集談会で報告して、参加者の意見を取り入れていくと、確信に変わっていきます。 ですからある程度の理論学習をした後は、理論を自分の体験で検証していき、それを集談会での話し合いのテーマにしていくというやり方を取り入れることが肝心だと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.07.09 06:20:07
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