カテゴリ:観念重視から事実重視への転換
今は定期券を使うことはありませんが、以前は使っていました。
そのときの話です。 定期券が切れていることを知らないで、毎日、電車に乗っていた人がいました。 それを忘れて堂々とふるまっていたときは、何も問題は起きなかったのです。 ところが、ある日期限が過ぎていることに気づきました。 その日の帰宅途中、たまたま定期券を買うお金を持っていませんでした。 翌日定期を買うつもりで、切れている定期で通り抜けようとしました。 今まで一度も見つからなかったのに、初めて改札係の人に呼び止められました。 (人を許すことで人は許される 中谷彰宏 ダイヤモンド社) これは後ろめたいこと、人に知られたくない欠点や弱点、ミスや失敗などをごまかし、隠そうとする行為は、いくら上手に工作しても相手に簡単に見破られてしまうということだと思います。 夜薄手のカーテンを引いた家の中は、外からは丸見え状態になります。 ところが本人はそのことに気づいていないことが多いです。 外にいる人からプライバシーが筒抜けになっているとは夢にも思いません。 これと同じようなことが起きているのです。 人間性を疑われて、後々人間関係に悪影響を及ぼします。 例えば、大切な商談の時間に遅れてきて、「交通渋滞に巻き込まれて遅れてしまいました」と言い訳をするようなことがあります。 極端な例では、「出かける前に急用が入りまして、そちらの方で時間がかかりまして、遅れてしまいました」などと言う。 実際にそうだったかもしれませんが、相手からすると、「それを見越してどうして早く出発しなかったのか」という気持ちになります。 「私よりもそちらの方が大事だったのか。ぬけぬけとよくそんなことが言えるものだ」と思われてしまいます。 そういう人に限って同じ過ちを何度も繰り返しています。 言い訳が2回、3回と重なるとお互いの信頼関係はなくなります。 あるいは友人と一度は約束したことなのに、気が変わって直前になってドタキャンすることもあります。 相手はスケジュール表に書き込み忘れないように細心の注意を払っています。 あるいは宿泊や食事の予約を入れていることもあります。 それらを自分の気分で、いとも簡単に反故にするというのは、信頼関係も何もあったものではありません。 偽装工作をする人は、自分を正当化しようと、精一杯の言い訳を考えて発言しているのですが、その発言が報いられることはありません。 むしろ反対にあの人は全く信頼のおけない人だ。 要注意人物だとみなされます。今後の付き合いは見合わせよう。 さらにそういう噂は仲間内で拡散されてしまうのです。 みんなが懐疑的になってしまいますので、人間関係がうまくいかなくなります。 本人はどうしてだろうと思っていますが、自業自得とはこのことです。 森田先生は、都合の悪い事実をごまかす、ねじまげる、隠蔽する、報告を遅らせる、責任転嫁をすることを極端に嫌われています。 事実唯真という考え方を大切にされているわけですから当然のことです。 先生が大切にされている骨とう品などをつい落として割ってしまった場合、すぐに素直に報告して謝った方がよいのです。 そのときにはひどく叱られても、一時的なことで済みます。 すぐにその後の対応策に向かうので、精神的な葛藤や苦悩はなくなります。 叱られることを恐れて、強力な接着剤でくっつけてしまう。 誰かほかの人のせいにしてしまう。 見つからないところに隠す。そっくり捨ててしまう。 開き直って「弁償しますから許してください」と発言すると大変なことになります。また、そのことが後で分かったときには、ただでは済まないでしょう。 壊してしまったこと、さらに事実を捻じ曲げたことに対して、二重の叱責が待っている。人間性に問題があり、森田適応外と判定されると、再起は難しくなります。 この場合、自分にとって不都合な事実を認めることは、注射針を打たれるようなものだと思います。その瞬間は痛みが走りますが、その後の結果に思いを馳せて我慢して耐えることが得策です。事実を包み隠さず素直に認めて公表することは、精神的な葛藤や苦悩を抱え込まない方法となります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.11.12 06:33:29
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