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森田理論学習のすすめ

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2023.03.18
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田原綾さんのお話です。

田原綾さんは、森田先生のご親戚にあたり、娘時代に20年以上も森田先生のそばに居られ、先生が亡くなられるまで身の回りの世話をなさったのです。

先生が立ってお話をしていらっしゃる時に、気をきかせたつもりで椅子を出すと、「お前さん、わしが坐ると思ったのか。わしゃこの通り坐らん」と言われ、そうかといって、椅子を出さないと、「お前さんわしが疲れているのに、なんで椅子を出さないのか。わしゃ坐りたい」と催促されました。
私は少々横着者でしたし、先生のあまのじゃくが嫌になって、「今度から知らぬ顔をしてやりましょう」と思い、気付かないふりをしておりますと、「椅子!椅子!」と大きな声で言われました。
このような先生のあまのじゃくも、いろいろと考えられた上でのことだったでしょうに、あまり身近であるがゆえの甘えから・横着にしてしまったことを、今ではたいへん申し訳なく思っております。

水谷千賀氏注=先生が立って話をされているとき、一がいに決めるわけにはいかない。ちょっとした立ち話なら出さない方がよいし、立ったままの話が長びくときには、疲労されるから出した方がよい。
それは先生のご様子を見ながらお話を聞いていると、自然にわかることである。
椅子を出すか出さないかを観念的に決めるのではなく、先生のご様子を見ているうちに・自然に出てくる行動が本ものであり、事実唯真である。
(生活の発見誌 1968年(昭和43年)12月号 68ページ)

この話は行動する時は、観念的にあらかじめ決めてしまうのではなく、その時の状況をよく見極めて、その場にぴったりと適合するような方法を選択する必要があるということだろうと思います。
森田先生は、「変化に臨機応変に対応する」という森田の理論の重要なポイントをこのような身近な例を取り上げながら具体的に説明されていたのです。
気ままで自分勝手な行動のように見えますが、その奥に感動の涙が出てくるような思いが詰まった行動だったということです。

森田先生は人の上げ足をとることが多かったと聞いておりますが、それにもかかわらず、たくさんの人が集まってきた。不思議なことです。
また入院料は自由診療とはいえ法外に高額だった。
裕福な人でない限り、入院森田療法を受けることはできなかった。
にもかかわらず、「形外先生言行録」を読んでみると、先生のご恩に対して感謝感激して慕っている人たちばかりです。

それは神経症克服の確かな理論を持っておられたこともあるでしょう。
でも一番は人間愛がとてつもなく深かったことにあるように思います。
たとえ自分が悪者とみなされても、一人でも多くの神経症者を真人間に変えたいという強い信念をお持ちだったようです。
そういう理論を学ばせていただいている私たちは幸せ者です。





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Last updated  2023.03.18 09:46:38
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森田生涯@ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
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