カテゴリ:人間関係、不即不離
臨床心理士の東山紘久氏のお話です。
プロのカウンセラーは1日8時間から12時間も人の話を聞いています。 体力的には疲れる仕事ですが、精神的にはそんなに疲れません。 それは相手の話を聞く技術を持っているからです。 あるマンガの話ばかりを熱心にする来談者がいたとしましょう。 プロのカウンセラーは、そのマンガの内容にはそれほど関心はありません。 マンガが好きという来談者のものの考え方や感じ方に興味があるのです。 この来談者はどうしてそれほどマンガに惹かれるのだろうかという問題意識を持って話を聞いているのです。 その場合でも、「どうしてあなたはそんなにこのマンガが好きなのですか」と質問はしません。 来談者自身もどうしてそのマンガが好きなのか分かっていないことの方が多いのです。 本人がわからないことを質問するのはムダというものです。 それを聞かないで理解するのがカウンセラーの仕事なのです。 だからカウンセラーは、本人といっしょになってその理由を考えていくのです。 来談者のマンガの話を一生懸命聞いていますと、だんだんわかってくるのです。 マンガの主人公と本人の境遇や希望が似ているので、というようなすぐにわかることもありますが、通常はもっと深いところでの心のつながりがあるのです。 深いつながりまでわかるためには、話し手の語る波に乗りながら聞いていくのが大切です。 話題の内容だけではなく、話し手が語る感情や態度に乗れるように聞ければ、あなたの聞き上手も中級を卒業です。 (プロカウンセラーの聞く技術 東山紘久 創元社 87ページ 159ページ参照) ある相談者が「この会社の上司はバカばっかりだ」と言ったとします。 普通は、「立派な上司もいますよ」と反論したくなります。 しかしこれは、聞くモードではなく、違和感のぶんだけ反発モードになっています。 反発モードで話を聞いていますと、相手が十分話せないだけではなく、聞く側も精神的に疲れます。 この言葉からこの相談者が抱えている心の深層に迫ることが大事になります。 たとえば次のような問題を抱えていることが予想されます。 ・何か上司とトラブルを抱えているのではないか。 ・幼少時の愛着障害を抱えているのではないか。 ・人間関係を悪化させるような発言や行動をしているのではないか。 ・仕事に対する情熱を失っているのではないか。 ・仕事の内容に問題を抱えているのではないか。 ・転職を考えているのではないか。 ・家族の人間関係に問題を抱えているのではないか。 ・他に何か生活上のトラブルを抱えているのではないか。 ・心身の健康上の問題を抱えているのではないか。 原因は複雑に絡み合っていることが予想されます。 それをいっしょに考えてみようという気持ちがあれば、相談者の話を親身になって聞くことができるようになります。 信頼感が深まれば、相談者も心の悩みをより詳細に打ち明けてくれるようになります。 そして自分で抱えていた問題をみずから自覚できるようになります。 問題が明確になれば自分自身で対策が立てられるようになります。 集談会でもこのような気持ちで相手の話を聞くようにしたいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.01.18 06:20:06
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