図書館で『オスプレイ配備の危険性』という本を手にしたのです。
オートローテーションが効かない機体と聞けば、工学系の人間には「フェイルセイフでない」と聞えるわけで・・・たちどころにその危険性が認識できるのだが。
【オスプレイ配備の危険性】
真喜志好一, リムピース著、七つ森書館、2012年刊
<「BOOK」データベース>より
第1章 危険なオスプレイが全国に展開される(オスプレイが全国に展開されることの意味/オスプレイとは、どんな航空機か/低空飛行訓練が全国で展開される)/第2章 オスプレイ配備の危険性(オスプレイの何が問題か/オスプレイ普天間配備の危険性/主任分析官が証言するオスプレイの欠陥/V―22オスプレイー空飛ぶ恥)/第3章 沖縄のオスプレイ問題(1995年からの問題の経緯/環境アセスメントとオスプレイ配備/オスプレイ配備をめぐる住民への説明と国会答弁/ジュゴン訴訟で得られたオスプレイ配備の議事録/アッス訴訟でのタカミザワ証人尋問/「環境レビュー」と事故説明文書から読めること/米軍の安全基準に合わない普天間飛行場は即時閉鎖を)
<読む前の大使寸評>
オートローテーションが効かない機体と聞けば、工学系の人間には「フェイルセイフでない」と聞えるわけで・・・たちどころにその危険性が認識できるのだが。
rakutenオスプレイ配備の危険性
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オスプレイの欠陥に関するアーサー・レックス・リボロ氏の証言を見てみましょう。
p73~74
■オートローテーションの能力欠如
オートローテーションとは滑空のヘリコプター版である。ヘリコプターはすべてエンジン故障や回転翼の駆動システム内の故障でパイロットがローターへのパワーの伝達を意図的に切る必要に迫られる、あるいはローターそのものの故障で完全にあるいは突然パワーを喪失しても滑空して安全に着陸できる能力を持っている。
V-22が安全に自動回転できないということは今ではメーカーも海兵隊も認めていることだ。しかしこのことが提起する意味合いはほとんど深刻に受け止められていない。すなわち、V-22はもし民間の輸送機だったらFAA(連邦航空局)規則によって基本的耐空性要件を満たしていないということだ。
にもかかわらず、海兵隊幹部はこの問題にまったく懸念を示しておらず、若者が戦闘という状況下で、V-22に乗員として乗るよう求めることにまったく抵抗はない。
FAAの耐空性要件は軍用機には適用されないが、過去には同等の要件がすべての乗客を乗せた軍用機に課されていた。V-22は国防総省内でこの政策からの最初の逸脱を意味する。私の考えでは、このことは、この航空機の大儀に対する盲目的忠誠心を支えるために皮肉にも兵士の命を軽視していることを意味する。
海兵隊首脳部や、それに国防総省調達担当高官や連邦議会が消極的同位を通して、この非難さるべき態度を取ることは、彼らが今後V-22の戦闘による損失に加担したことになる。オートローテーションだったら命を救えたかもしれないのに。このかなり大きなそして道理に合わないリスクの意識的軽視は法的には無謀な行為と見なされると思う。
V-22のエンジンが全部駄目でも固定翼モードに転換することによって安全に着陸できると主張する擁護者は自分をごまかしているかあるいは故意に事実を歪曲している。V-22は垂直離着陸モードから固定翼モードに転換するのに12秒必要だ。この間に、両方のエンジンが作動しなくなるかまたは一つのエンジンが相互接続のドライブ・シャフトとともに故障したときには、V-22は理想的な条件下で、約1600フィート落下する。だから、地上1600フィート以下で垂直離着陸モードでいるときに全パワーを喪失した場合は、大惨事を引き起こす。
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こんな危険なV-22の訓練は、アメリカの過疎地域とか海上で行ってほしいものである。人口稠密な日本での訓練などとんでもないのだが。