米中貿易戦争という荒波のなかで、経済的な没落に瀕しているニッポンであるが・・・
団塊世代が後期高齢化するなか、さあどうする?という思いでこの本を借りたのです。
【伊藤元重が警告する日本の未来】
伊藤元重著、東洋経済新報社、2017年刊
<「BOOK」データベース>より
AI、IoTが生み出す勝者と敗者、保護主義の拡大、日米FTAの行方、働き方改革、生産性をどう引き上げるか、穏やかなインフレで財政再建できるかー団塊世代が後期高齢化する2025年へ向けた課題を読み解く。
<読む前の大使寸評>
米中貿易戦争という荒波のなかで、経済的な没落に瀕しているニッポンであるが・・・
団塊世代が後期高齢化するなか、さあどうする?という思いでこの本を借りたのです。
rakuten伊藤元重が警告する日本の未来
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定期購買を伴うビジネスをサブスクリプション型ビジネスと呼ぶそうだが・・・
わりと高額なプリンターインクが癪に障るわけです。
p73~74
<サブスクリプション型のビジネスを経済学的に見ると>
早い時期から、業界全体としてサブスクリプション型へのビジネスモデル転換を行なったのが、インクジェットプリンターです。
キャノン、エプソンが並び立つプリンターの業界は販売競争が激しく、本体は赤字覚悟のお買い得価格に設定されています。2万~3万円もあれば、かなり機能豊富な製品が買えてしまう。それはとにかく安くしないと、とくにライトユーザーには買ってもらえないからです。
それだけなら消費者にとっても単純に安い買い物にすぎません。しかしインクジェットプリンターの場合、プリンターで印刷することで、紙やインクを消耗することになります。このうちとくにインクジェット用のインクが、プリンターメーカーの収益源となっています。消費者は「安い」と思ってプリンターを買うわけですが、実際に使うと、インク代が高くつくのでまいってしまう。
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ウン そのとおりですね。特に毎年、年賀状作成の頃に、そう思ってきました。
次に“邪悪なIoT”を見てみましょう。
p75~76
<IoTによる製造業のサービス化>
サブスクリプション型ビジネスモデル自体、技術革新によって日々進化を遂げています。製造業ではセンサーの活用がこのビジネスモデルを大きく発展させつつあります。具体的には、顧客に納入する製品にセンサーを組み込み、メーカー側でそれをオンライン経由でmニターし、顧客に対し、モニターした情報をもとにメンテナンスや設備更新の提案を行なうという形でフィードバックしていくのです。この方法であれば、部品を含むあらゆる製品にサブスクリプションモデルを広げることが可能になります。
こうしたやり方の先駆者として知られているのが、建機メーカーのコマツです。
同社では販売する建設機械にセンサーやGPSを装着し、稼動状況をモニターする「KOMTRAX(コムトラックス)」を2001年から標準装備化し、ビジネスチャンスを大きく拡大したとされます。メンテナンス提案だけでなく、納入した建機がその後フル稼働に近ければ、その顧客は近いうちに新たな建設機械を購入する可能性が高いわけです。
実際に稼動している場所もわかるので、どの地域で開発が進んでいるのかもわかるし、建築業界の景気の動向もいち早く察知でき、効率的な販売戦略や生産計画につなげることができます。
IoTの広がりにより、同じことが建機のような完成品だけでなく、そのパーツについても可能になってきました。パーツをIoT化してサブスクリプションサービスを行なっている企業に、たとえばGEがあります。同社では航空機に使われるジェットエンジンにセンサーを組み込み、エンジンの状態や使用状況をモニターしています。
ある航空機メーカーの経営者から聞いた話ですが、ジェットエンジンそのものは買い叩けばかなり安く売ってくれるのだそうです。しかし航空機のジェットエンジンは定期的なメンテナンスが重要なため、そちらで多くのコストがかかってくるといいます。
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『伊藤元重が警告する日本の未来』1