図書館で予約していた『中国の大盗賊』という本を待つこと5日でゲットしたのです。
共産党の中国とは盗賊王朝とのこと・・・これは読むっきゃないで。
【中国の大盗賊】
高島俊男著、講談社、2004年刊
<「BOOK」データベース>より
昔、中国に「盗賊」というものがいた。いつでもいたし、どこにでもいた。日本のどろぼうとはちょっとちがう。中国の「盗賊」はかならず集団である。これが力をたのんで村や町を襲い、食料や金や女を奪う。へんぴな田舎のほうでコソコソやっているようなのは、めんどうだから当局もほうっておく。
ところがそのうちに大きくなって、都市を一つ占拠して居坐ったりすると、なかなか手がつけられなくなる。さらに大きくなって、一地方、日本のいくつかの県をあわせたくらいの地域を支配したなんてのは史上いくらでも例がある。しまいには国都を狙い、天下を狙う。実際に天下を取ってしまったというのも、また例にとぼしくないのである。幻の原稿150枚を完全復元。
共産党の中国とは盗賊王朝である。劉邦から毛沢東まで伝説の完全版がよみがえる。
<読む前の大使寸評>
共産党の中国とは盗賊王朝とのこと・・・これは読むっきゃないで。
<図書館予約:(8/01予約、8/06受取)>
rakuten中国の大盗賊
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この本の序章 『「盗賊」とはどういうものか』を、見てみましょう。
p9~12
■山東人民解放団>
昔、カール・クロウ、というアメリカのビジネスマンがいた。1911年から36年まで、つまり辛亥革命の年から「支邦事変」の直前まで、25年ものあいだ中国に住んで広告屋をしていた。欧米の企業が中国に売り込もうとするもの(自動車のように大きいものから石鹸や歯みがきのような小物雑貨にいたるまで)の広告宣伝、今風に言えばPRをするのがこの人の商売であった。
商売をすると、その国のことがよくわかる。クロウは中国で商売をしてさんざん苦労したおかげで(下手なシャレ!)、欧米人とはちがう中国人の習慣や物の考えかたを知ることができ、帰国してから、アメリカの人たちに中国のことを紹介する本を書いた。
最初に書いたのが『四億人のお客さま』(1937年)。四億というのは、そのころの中国の人口である。今、中国の人口は十二億とか十三億とか言われているが、当時は四億ということになっていた。統計なんかないから成果ックかどうかわからないけれども・・・。わが国でも「僕もゆくから君もゆけ、せまい日本にゃ住みあきた、海のむこうにゃ支邦がある、支邦にゃ四億の民が待つ」なんて、ずいぶんゴウマンな歌がはやったりしていた。
この『四億人のお客さま』がものすごく売れてベストセラーになったので、クロウはそのあともつぎからつぎへと本を書いた。
その一つに、『わが友、中国人』という本がある。この本のなかに、クロウが中国の盗賊と知りあいになったいきさつを書いたくだりがある。おもしろいから、ご紹介申しあげよう。
この盗賊、姓は孫、名は美ヨウという女の子のようなきれいな名前である。山東省の富裕な百姓のせがれであった。ところが彼の父親が税金のことで県知事と悶着をおこした。県知事は父親の首を斬って財産を没収した。
中国では、昔から今日にいたるまで、いともかんたんに人を死刑にするのである。中国へ旅行して、役所の掲示板などに「誰それを死刑に処す」という布告が貼ってあって、すでに処刑がすんだことを示す赤いチェックが名前の上にピッとついているのを見て、ゾッとした経験をもつ人もすくなくないはずだ。
それから、昔の中国の役人は貧しい農民から過酷に搾取をした、などと言う人がよくあるが、それはどうもあまりあてにならない。多数の貧しい農民からしぼりとるというのは、手間がかかるし、手間をかけてしぼったところでもともとカラカラなんだから大した成果はあがらない。役人が狙うのは豊かな農民、豪農である。このほうが能率がいいにきまっている。それも一番いいのは、何か言いがかりをつけて、死刑、財産没収、とやることである。一発でゴッソリ実入りがある。
もちろんそんなことはクロウは書いてないが、ともかくそういう次第で孫の父親はかんたんに首を斬られてしまった。
孫は家族をひきつれて山中に難を避け、県知事の命を狙った。たちまち七百人の部下が集まり、武器もおいおいそろった。盗賊誕生である(あとで言うように「官以外の武装集団」が盗賊なのだ)。
なんでそんなにたちまち七百人もの人数が集まるのかというと、中国の農村地区にはたいていいつでも、ぶらぶらしている男たちが大勢いるのである。耕地は限られていて、人間がそれ以上に生まれると、農業以外に大して仕事はないし、どうしても人間があまってくる。そういう連中を「閑人」とか「閑漢」とか「閑民」とかいう。日本の「ヒマ人」とはちがう。日本の「ヒマ人」は、生活にゆとりのある、年配の、わりあいおとなしい人という感じだが、中国の「閑人」「閑漢」「閑民」は、屈強の、油断のならぬ連中が多いのである。
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