警官の血 上 佐々木譲
昨年末に図書館へ予約を入れた本が、やっと回ってきました。直木賞の候補作だった事もあり、人気があり、長いこと順番待ちでした。上巻だけ入手でき、下巻はまたしても順番待ち(汗)。安城家・親子三代にわたる警察官の物語です。戦後から、高度成長期、現代へと時系列にそって話は展開します。無駄な表現が省かれた、硬質でかっちりした文体。読み進めると、周到に伏線が張られていることに気付きます。戦後復興期の社会背景を織り交ぜながら、安城清二の警察人生と彼の死を綴る一章。二章は、父の背中を見て育ち、警察官の道を選んだ民雄の物語。警察という国家組織の中で、重要な戦力として使われる、彼の苦悩が、身にしみるように感じました。本音と建前の中で、心を揺らがせ、もがく姿は痛々しかった。彼は父の死を不審に思い、真相を突き止めようと決意します。民雄の人生の途中からは、自分の記憶と重なる部分が出できて面白さが、増加します。赤軍派の強行事件など。警察官という職業を選んだ人間の誇り、苦悩、責任、組織への矛盾した思い等が混在された大河小説で、この先も目が話せません。早く、続きが読みたい。