一日江戸人 杉浦日向子
この著者は、江戸時代から本当にタイムスリップしてきたのではないか?と思うほど江戸風俗に詳しい。快活で歯切れの良い文章が心地良く、読むと一瞬で愉快な気分になれる。気がイマイチ乗らない仕事や会合、伸ばし伸ばしにしていた歯医者の治療を待つまでのちょっと憂鬱な時間などに、この本はもってこい!初球-中級-上級と段階を追って詳しく江戸時代の暮らしを紹介してくれる。「殿様暮らしは楽かの考察」なんて、本当に興味深いのだ。昔の殿様って、お毒味を何回も経て冷めきってぱさぱさになった食事を食べていたようで、お気の毒になるな。それにしても、あの時代の銭湯が混浴だったとは....。チョットイヤだ!大奥の暮らしぶり、江戸の色男、美女列伝なんかの話もいい。「べらんめえ江戸っ子スラング遊び」なんてのもあり、読むとさっそく使ってみたくなる。時間に追われずのんびり楽しく生きていた江戸庶民の方が、現代人よりよっぽど生き方上手かもしれない。イラストがとても解りやすく、料理レシピ等も解説してあり、思わずのめり込んでしまった。