モディリアーニ展
アメデオ・モディリアーニ(1884-1920)は、パリのモンパルナスで活躍しエコール・ド・パリを代表する画家として知られています。乃木坂の国立新美術館で、彼のプリミティヴ美術の影響を色濃く示す初期のカリアティッドの作品群から、独自の様式を確立した肖像画にいたるまでの幅広い作品を紹介していたので、観に行ってきました。モディリアーニが、アフリカやオセアニア等のプリミティブ美術(原始美術)に深い関心を寄せていたことがうかがえる内容でした。彼の絵は、個性的ですね。肖像画モデルは、一様に無表情なものが多い。極端になで肩で首がすっと長い女性像を好んで描いています。初期の女性柱像(カリアテッド)のデッサンの女性らしいまろやかな曲線が、そのまま肖像画へと特徴を残し、描き継がれたようです。また、本当に気心知れた人物以外の瞳を、書き入れることはなかったようです。彼が描く独特のアーモンド形の瞳は、描かれても片目だけのものもありました。彼は、眉目秀麗の青年だったようです。生前の写真が何枚か展示されていました。幼少時から病弱で、才能をなかなか認めてもらえず、静養の為に移ったニースで数々の作品を生み出した頃、ようやく個展での手ごたえを掴みましたが、その後大きな成功を実感することなく、35歳で早すぎるその生涯を閉じました。彼が32歳の時、18歳の画学生ジャンヌ・エビュテルヌ(1898-1920)と出会い、互いの人生に大きな影響を与えます。モディリアーニに対し、「薄幸な妻」として語られることの多いジャンヌ。彼女も彼の二人目の子を宿しながらも、モディリアーニを追って亡くなります。私はやはり、彼の描いた絵の中ではジャンヌの肖像画が、一番好きですね。彼の作品にしては珍しく表情豊かで幸福感に充ちた存在感のある作品だからかな?