映画・海外ドラマ・本 ひとこと言いた~い

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塩野七生

March 7, 2018
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カテゴリ:塩野七生
みなさん、こんばんは。
春の嵐のように風が強かったですね。
イタリアの歴史エッセイを書き継いできた塩野さんが最後のエッセイにする、と言い切った作品を紹介します。


ギリシア人の物語3 新しき力
塩野 七生
新潮社

 大国ペルシャを破って華々しく登場したギリシャだが、スパルタとアテネが闘って滅び、残ったスパルタも自滅する。次の覇者として登場したのがマケドニア。脂の乗り切ったフィリッポス二世は息子の教師に哲学者アリストテレスを招へい。その“息子”とはAlexander the Greatなどと、“グレート”をつけて呼ばれるアレクサンドロス三世。歴史の教科書で初めの頃に習うので、記憶が残っている読者も多いのではないか。

 父は娘の結婚式で護衛に暗殺され、息子は遠征先で後継者を指名せず病死。親も子も天寿を全うできていれば、どれほど広大なマケドニア帝国が築けただろうと思われるが、生憎二人とも不慮の死を遂げる。若くして世界を駆け抜けた人生がさほどドラマティックに思われたのか、オリバー・ストーン監督により映画化されている。
 し
 『ローマ人の物語』でジュリアス・シーザーについては特別に『ユリウス・カエサル-ルビコン以前』『 ユリウス・カエサル-ルビコン以後』と二冊も書いた塩野氏、自ら惚れ込んだ男性に関しては筆が乗るのか、今回もアレキサンダー大王について熱く語ること語ること。常に戦の時には‘ダイヤの切っ先’として自ら先陣を切り、トップダウンで国家も軍隊も指揮するアレキサンダーが実に魅力的に描かれている。その割を食ったのか、「最強の者が帝国を継承せよ」と後継者を指名せず亡くなった彼の死後のディアドコイについては事実の羅列が続き、それまでの熱量に比べると素っ気ない。

 尚、アニメ宇宙戦艦ヤマトにも出て来るイスカンダルはアレキサンダーの別名である。


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最終更新日  March 7, 2018 12:00:37 AM
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May 18, 2017
カテゴリ:塩野七生
みなさん、こんばんは。
真子さまのお相手は海の王子だそうですね。
こちらの作品にもとびきりの美形が登場しますよ!

ギリシア人の物語II 民主政の成熟と崩壊
塩野七生

前巻でスパルタと手を組み大国ペルシアを打破したアテネ。5人のエフェロイが抑止力となり国王が思うように政ができないスパルタに比べれば、理想的な政治体制であったはずのアテネに、後半きしみが生じ始める。

 本巻の主人公はアテネきっての美男、ペリクレスとアルキビアデスだ。ペリクレスは民主政治だったアテネで15年という長期政権を維持した。本来民主主義国家において、独裁者の存在は許されるべきではない。しかし彼の場合は、民衆による選挙という極めて公平な手段で選ばれた結果によるものだ。但し世論は流動的だ。舵取りを誤ればあっという間に奈落に落ちる。ペリクレスにも横槍はあったが、巧みな弁舌で乗り切り、パルテノン神殿を作り上げるなど、文化においても多大なる貢献を果たした。そんな彼の命を奪ったのがペロポネソス戦争―宿命のライバル、スパルタとの戦争―である。

 もう一人の美男アルキビアデスも、この戦争でつまずいた。当時為政者として重要ポイントだったルックスも、武将としての才能も、政治家としての手腕も全て揃っていた彼は、大事な所で悉く梯子を外されてしまう悲運の人だ。彼を活用できなかったことが、ペリクレスの死後わずか25年で彼によって得たものが悉く失われ、アテネの崩壊に繋がる。原因は衆愚政治で、煽ったのは扇動者達、その扇動に乗せられて滅びの道を作ったのは民衆である。

 昔と違って情報は早く多く民衆の元に届くようになった。しかし限られた人達が情報を占有したり、意図を持って情報を伝えることで民衆は容易く扇動されるようになり、扇動者たちのテクニックも進化した。アテネで民主主義が成熟したかと思う間もなく衰退していったように、陥穽はどこにでもある。我々の民主主義は正しい方向に向かっているのか。今の考えは、何者かに扇動されたのか、それとも自分自身の考えか。熱に浮かされているような時こそ、我々は過去の歴史をひも説かねばならない。民主主義は成熟しているのか、それとも、崩壊に向かっているのか、確かめるために。


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最終更新日  May 18, 2017 09:07:03 PM
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April 18, 2016
カテゴリ:塩野七生
みなさん、こんばんは。まだ地震が続いているようですね。
ずっとローマの歴史を描いてきた塩野さんが選んだのはギリシアの歴史でした。


ギリシア人の物語 1 民主政のはじまり
塩野七生

平成生まれの方達は記憶にないだろうが、かつて世界が東西に分かれた時、東西両陣営は揃って一度ずつ、相手方で開かれるオリンピックをボイコットした。四年に一度のピークに自分のコンディションを合わせていた選手たちは少なからず涙し、その映像は繰り返しお茶の間で流された。しかし、遂に国家を動かすことはできなかった。政治の道具に使われるとは何ということだろう。オリンピックはそもそも、本当に平和の祭典だったのに。

 ギリシアがオリンピック発祥の地であることは、誰でも知っている。しかしなぜ四年に一度なのかという理由まで知っている人は少ないだろう。ギリシアは多くの島から成る国だが、かつてはもっと多くの都市国家に分かれていた。「小さな国同士が争っていては強国に負けるから団結を」という極めて現実的な考えは彼等の頭には全くなく、常に争っていた。そこで四年に一度休戦して競技を行いましょう、と定めたのがオリンピックだ。招致活動や広告宣伝費、インフラに多額の費用が必要となったビッグプロジェクトに変貌した現代のオリンピックとは昔日の感がある、その意識も規模も。

 数ある都市国家の中で登場回数が多いのはスパルタとアテネだ。草創期の政治家が決めた制度を守り続けたスパルタと、次々現れる為政者が改革を行ったアテネは、考え方から何から異なるライバルだった。そんな二国が、嫌でも団結しなければならない機会が訪れた。広大な領土を有するペルシア帝国だ。戦闘は陸と海とで行われ、圧倒的な量で攻めてきたペルシアが「ひとつかみの小麦」と侮っていたギリシアに二度までも敗れるという意外な結果に終わる。そのうちの第一回目の戦闘を扱った映画が『300』であり、マラトンでの戦の勝利を告げるために兵士が走り続けた故事にちなんでマラソン=長距離走が生まれた。勝利に湧いた二国であっても、その勢いで一つにまとまろうという流れにならない所は、議論好きで後に哲学を生むギリシア人らしいとも言える。
 
 ところで、著者に言わせるとギリシアは長距離走が苦手だったようだ。まさか、マラソンの発祥地なのに?いや、競技の話ではない。国としての持続性の話だ。そこへいくと、長距離走のトップランナーは、著者が長年書いてきたローマ帝国だ。急速に発展し急速に衰退したギリシャはローマと何が異なっていたのか。民主制はどのように発展していったのか。全三部作はその答えを解き明かす鍵となろう。











最終更新日  October 5, 2019 10:11:29 PM
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February 23, 2014
カテゴリ:塩野七生
みなさん、こんばんは。エキシビションを見るため夜更かししている方もいらっしゃるのでしょうか。
塩野七生さん十字軍シリーズ第三弾の完結編を紹介します。

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十字軍物語(3)
塩野七生


 「人間にとっての野心は、何であろうと、やりたいという意欲である。虚栄心とは、他人から良く思われたいという願望だ。人間ならば誰でも、この両方ともを持っている。それで問題は、その人間が好機に恵まれたとき、野心で動くか、それとも虚栄心で動くか。(第一巻p122)」などと、「をを、その通り!」とでも言いたくなるような文章で、人間の本質を小気味よく斬っていく塩野さんは、冷徹な観察眼の持ち主に見える。確かにそういった一面もあるが、他方では自分がほれ込んだ相手に対しては、こっちが恥ずかしくなるほどの誉め言葉を飴あられと浴びせる事もある。よく知られているのは『ローマ人の物語』で2巻もかけて描かれたユリウス・カエサル、そして十字軍物語ではリチャード三世と第六回フリードリヒ二世が彼女のお気に入りのようだ。そのため読了後には、自然と読者も「リチャード三世カッコイイ!」と思うようになるはずだ。

 反対に散々な貶され方をしているのは、第七回十字軍を率い第八回を計画したルイ9世である。確かにリチャード三世やフリードリヒ二世がイスラム勢力と友好的な関係を築き、イェルサレム奪還を果たしたり巡礼を可能にしたのに対して、彼が率いた第七回は散々に負けるわ、賠償金支払いを命じられるわといいとこなし。仕事は結果が全てと言うけれど、結果だけを見ても、やはり「何をしに行ったんだ?」と大いに首をかしげるほかないのだ。そこへ塩野さんの大いなるエコひいきの言葉が加わると、列聖されている稀有な国王であるルイも、形なしである。「ヨーロッパの調停役」と言われるくらいだから、もともと戦いには向いていない性格だったのだろう。

 さて、塩野さんはこの作品で語りつくせなかったことがあったらしく、最近『皇帝フリードリヒ二世の生涯』を刊行した。リチャードとは別の形で平和裏にイェルサレムを奪還したにもかかわらず、法王から破門されるわ家族関係には不幸はあるわの山あり谷ありの人、フリードリヒ二世への愛が溢れる作品なので、興味を持たれた方は是非どうぞ。








最終更新日  April 1, 2017 07:48:49 PM
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February 22, 2014
カテゴリ:塩野七生
久しぶりに雪のない週末ですね。
そして来週はもう3月。早いですね。まだ雪の残っている所に住んでいらっしゃる皆さん、大丈夫でしょうか。

今日も十字軍物語の第二巻を紹介します。


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十字軍物語(2)
塩野七生

 2巻目は1巻目の主要人物がまるで図ったように総退場した所からスタートする。少なくとも誰か一人くらい長生きして、草創期の苦労を次世代に伝えられると良かったのだが、なにぶん十字軍国家とヨーロッパの距離があり過ぎる。それにそもそも、「聖都奪還が成った」という事実のみ重視してやって来る遠征軍は、苦労話を聞いてもぴんとこない。ドイツの皇帝とフランスの王という、前回の諸侯よりも格上が率いてきた第2次十字軍には、覚悟が欠けていたのだ。そして一方、新たな国家が登場したことでようやく彼等の意図を悟ったイスラム教国家には、覚悟ができつつあった。

 十字軍は数々のドラマを生む。

 この時フランス王は財産家の妻を随行していた。エリア―ヌ・ド・アキテ―ヌといって、こちらも映画『冬のライオン』でキャサリン・ヘプバーンが演じた歴史上の有名人。今回の十字軍にアマゾネスと呼ばれる女性達を引き連れて来ていた。ところが思わぬ敗戦で夫に対する評価が急降下。不仲になった彼女は彼と離婚して年下のイギリス国王と結婚。彼女の息子が次の十字軍で活躍するリチャード獅子心王である。フランスの領土を引っ提げての結婚が、イギリス・フランス間の争いを巻き起こすことになり、ご当地以外で十字軍が起こした余波としては大きい。

 国が滅びる時には必ず名将・知将が現れ“悲劇の”と形容されるが、今回、短い生涯を難病とイスラムとの戦いに捧げたイェルサレム王・ボードワン4世の生涯がドラマティックだ。戦場では体を鞍に縛り付けるなど、シュプレヒコールだけあげておいて後は知らんぷりのヨーロッパ諸国に見せてやりたいほどの彼の献身ぶりは、周囲の人々を巻き込んで、名将サラディンに狙われて絶体絶命のイェルサレムを瀬戸際でせき止める偉業を為す。そして彼の後に登場したのがこれまた、見てくれだけの伊達男という好対照も、ボードワン4世への評価をいや増す効果を上げている。

 第一回はヨーロッパ、第二回はイスラムと、それぞれ本気度が強い方が勝っている。そして第三回は双方が本気になって戦う総力戦。面白ないはずがない!と期待はふくらむばかりだ。







最終更新日  April 1, 2017 07:49:01 PM
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February 21, 2014
カテゴリ:塩野七生
浅田真央さんの底力を見た思いがしました。それにしても森元首相の発言は失礼だなぁ。

こちらは塩野七生さんの歴史小説です。


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十字軍物語(1)
塩野七生


 イスラム帝国に奪われた整地エルサレムを奪還するべく、キリスト教国の七人の領主たちが立った。彼等第一次十字軍がどのような道を歩んだかを時系列に沿って綴った作品である。

 ある修道士の「神がそれを望んでおられる」というスローガンがツボにはまって、あっという間にヨーロッパ中に整地奪還熱が盛り上がり、瞬く間に軍隊が集まる。そこまでは良かったのだが、領主達は皆身分としては同じくらいなので、まとめる役割の者がいなかった。その上自分は指一本動かさずに彼等が征服した土地を我がものにしようと企むビザンティン帝国皇帝もいて、人間関係は、かくして縺れていくのであった。

 領主達とは別に出発した巡礼たちが「自分達は巡礼者なんだから」と途中の街で略奪をしながら聖地へ向かったエピソードや、「神のため」という、誰も文句がつけようのない崇高な目的のために集まったにしては俗物根性が抜けていない面々の人間臭さが魅力である。そして最も面白かった嘘のような本当の話は、統制のとれていない烏合の衆の集団が、迎え撃つイスラム軍が彼等の目的を知らず「ただ侵略してきたんだろう」くらいに考えていたラッキーも手伝って(考えてみれば迷惑な話だ)、補給地もなく土地勘もない中で、イェルサレム奪還を果たしてしまうところである。歴史的偉業なんて、そんなもんなんですね。

 十字軍といえば、映画『ロビン・フッド』に登場する獅子心王リチャード三世の活躍が名高い第三次十字軍が最も知られているが、今回の遠征軍にも若きヒーローがいた。その名もタンクレディ。この名前を聞いて「おっ」と思った人はかなりの映画通。ヴィスコンティ監督作品『山猫』で、バートランカスター演じるサリ―ナ公爵の甥の名前がタンクレディ。演じていたのは若きアラン・ドロン。滅びゆく時代を象徴していた公爵に対して、タンクレディは新興階級の娘と結婚してこれから活躍していこうという新世代の象徴である。この彼のモデルとなった人物が十字軍にいたのだ。故郷にいれば武士の部屋住みよろしくぱっとしない生涯を送っただろう彼が、伯父に随行して赴いた異国の地で戦果を挙げ、領主になる経緯は立派なサクセスストーリーである。また若くして死ぬ所も“永遠の青年”の称号を得るにふさわしい。さて、苦労の果てに獲得したエルサレムがとんでもないことになってしまう第二巻を読むのが楽しみだ。







最終更新日  April 1, 2017 07:50:25 PM
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February 14, 2014
カテゴリ:塩野七生
みなさん、こんばんは。明日は雪だとか。
とんだバレンタインになってしまいましたね。そしてフィギュアがいよいよ始まります。
ノルディック複合は良かったですね。ルール改正もあって日本人がなかなかメダルを取れなかっただけにかつて二連覇を果たしたメダリスト達の喜びが感無量でした。
さて、こちらは塩野七生さんのイタリア歴史ものです。


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 イタリア史を中心に語ってきた著者の歴史書である。『ローマ人の物語』でローマの建国から崩壊までが描かれたが、本書はその単純な続編ではない。時代は、西ローマ帝国崩壊後、十字軍の遠征を経てトルコの攻勢が強まり、やがてスペイン無敵艦隊が大勝するレパントの海戦によりトルコの地中海での覇権は奪われるまでを扱っている。しかし、実はその間の時代について、既に著者が発行済みの著作が多いため、詳説になると「これについては~(既刊本)を参照して頂きたい」と振られてしまうのだ。既刊本をかなり読んでいたから、そちらの記述を思い起こすことができたが、例えば本書を最初に読んだ場合、興味を持って他を読もうと必ず思うかどうかは確信できない。

 はしょられてばかりの内容の中で、比較的内容として続き、かつ登場人物の動きについても詳細に描かれていたのが、キリスト教世界とイスラム教世界が激突した地中海の海戦である。それぞれのトップが戦場に出てくることは勿論なく、戦のプロフェッショナルが総司令官に選ばれる。ところが、それぞれのトップが正規の将軍職でなかった所が面白い。キリスト教世界側のトップはジェノヴァの傭兵隊長アンドレア・ドーリア、トルコ側のトップは赤ひげなど名だたる海賊達という取り合わせだ。現在で言えば契約社員が複合国家軍の総司令官になって戦いを取り仕切ったようなものだ。そしてアンドレア・ドーリアは出身ジェノヴァが政治的に安定していなかったため、デビューしたのが御年50歳で、常に「年齢から20マイナスして考えた方がいいくらい」によく頭が回る戦上手だ。戦のプロ同志がぶつかるため、単純に考えれば戦上手が勝つものだが、そうならない所も第三者として見ると面白い。まともにやれば必ず勝つドーリアがトルコ側に負けたプレヴェザの海戦などが良い例で、実はキリスト教世界も一枚岩ではなかった事が原因である。奇奇怪怪の政治の世界と熱い戦いが並列しうるのが歴史であり、おそらく現在も違った形で繰り広げられているのだろう。

 「歴史の上でも激震は起る。大量の破壊と殺戮を伴うがゆえに人間社会にとっては非常な惨事であるのは言うまでもないが、ある一点についてならばプラスに働く。それは、精神の怠慢か無知かにせよ、時代の変化を直視することを拒絶しつづける人々に、痛打を浴びせることで無理やりに眼を開かせるという効用だ。 (P10) 」など、歴史のある時期にのみ共通することではなく、いつの時代にもあてはまる真実を言い当てるぴりっとした言葉もなかなか味わい深い。







最終更新日  April 1, 2017 07:50:13 PM
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May 14, 2012
カテゴリ:塩野七生
ゴールデンウィークからもう一週間が経ったのですね。時間は早い。
ココロンがなくなってしまうとのこと、残念です。アバターはここが初体験でしたのに。


新潮文庫【まとめ買いで最大15倍!5月15日23:59まで】ローマ人の物語 19/塩野七生
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『ローマ人の物語』 塩野 七生 / 新潮社
「ちちうえぇぇ~…。」
もごもごと足掻くリチャード・ハリスの頭を、厚き胸板に
押しつけているホアキン・フェニックス。ああ何とご無体な。
これは、映画『グラディエーター』のワンシーン。
ホアキンは、皇帝コモドゥス。リチャードは、皇帝マルクス・アウレリウス。
彼等は、本書の前半の主人公である。
サブタイトルは『終わりの始まり』だし、映画では、ああだし。
そうか、ローマ帝国の衰退を招いた張本人はコモドゥスか!
ああ、そういえば憎々し気な顔を…と、これは映画だったっけ。
しかし塩野氏は、「五賢帝の最後の人、哲人皇帝と讃えられる
マルクスの時代に、既にほころび始めていた」説を展開。
なになに?だいたい、数百年続いたシステムが、たった一人の悪政で、がたがたに
なるなんて事はない?ふむふむ、ご説ごもっとも。江戸時代だって、
黒船さえ来なければ、多少トップが暗愚であっても、続いていたかもしれません。
ええっ、評価の高いマルクス・アウレリウスに責任あり?
そんな馬鹿な!

これを声に出しながらやっていたら、まわりの皆はさぞ煩かろう。
けれど、これは全部心の声。
本シリーズが始まってから、年に一度やって来る対話の時間。
今年は、こんな風に始まった。
毎回そのボリュームにため息をつきつつも、ずっしり詰まった中身を
あれこれ想像するのが楽しみで、1ページ目を開く時は、
「さあて、読むぞぉ」と声を出す。何だか、これから格闘するみたい。
これは私の、年に一度の贅沢な時間。

ローマ帝国の皇帝達は、広大な領土を見てまわっていた。顔の見えない政治が、
為政者が、どんなに不安を与えるか、彼等はよく知っていた。
為政者と、一般市民の間に隙間が生じる現象は、まさに今の日本。
その先に起こる事を前もって知っておけば、危険回避の可能性は残されている。
まんまのコピーはできないが、リバイズが可能な
永久不変の法則がたくさん詰まっているのだから。
過去の出来事の羅列と見れば、歴史は単に、印刷された死んだもの。
でも、未来に向けて活用されれば、再び息を吹き返す。
さて、あなたならどうする?と
毎回最後通牒を突き付けられる心地のする本シリーズ。
今年の喝は、不況に不満と焦りを抱く私に、かなり効く一発となった。

映画『グラディエーター』で「家族のもとに帰りたい」と言ったマキシマス(ラッセル
・クロウ)を、皇帝不適格者としたくだりでは、思わず笑ってしまったけれど。







最終更新日  April 1, 2017 07:49:38 PM
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