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テーマ:ニュース(99465)
カテゴリ:震災法律相談
本日より、不定期的に、地震によって生じうる法律問題の解説をしていきたいと思います。 まずは、労働問題です。 Q1 地震によって、会社から休業を命じられた場合、その間の給料は出るか。 A1 出ません。 <解説> 民法の原則として、契約者のどちらのせいでもない事由によって、義務が果たせなくなった場合には、義務に対する対価も支払わなくて良いとされています。 (債務者の危険負担等) 第五百三十六条 前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。 地震は天災であり、労働者のせいでもなければ、雇用者のせいでもありません。 そのため、地震のせいで仕事が出来ない場合は、民法536条1項が適用されてしまい、仕事ができない以上は、お給料ももらえないことになります。 なお、分かりやすくするために、「休業を命じられた場合」としましたが、交通途絶により、出勤できない場合も同じです。 ただし、当然のことながら、有給休暇扱いになれば、給料が出るので、会社に対しては、有給休暇扱いにしてもらうよう交渉する余地はあると思います。 Q2 では、計画停電を理由とする場合はどうか。 A2 やはり、給料は出ないのが原則です。 <解説> 厚生労働省が、通達で、計画停電を理由とする休業についても、給料を支払わなくて良いとしています。 ただし、通達をよく読んでいただければお分かりのように、計画停電時間帯以外の休業については、争う余地はあるものと思います。 また、計画停電の場合でも、有給休暇扱いになれば給料が出るのは当然です。 Q3 地震で出勤できなかったことを理由に処分されることはあるか。 A3 原則としてはありません。しかし、会社自体の経営が傾き、整理解雇の要件を満たす場合には、整理解雇を理由に解雇されることはありえます。 <解説> 地震で出勤できないことは、労働者のせいはないので、懲戒解雇される理由はありません。 しかし、地震で出勤できない社員が多数いて、結果、会社が回らなくなり、整理解雇の4要件を満たしてしまう場合には、結果的に、整理解雇が出来てしまう可能性は十分あります。 整理解雇の4要件とは、 1 人員整理の必要性 2 解雇回避努力義務の履行 3 被解雇者選定の合理性 4 手続の妥当性 をいいます。なお、整理解雇の4要件自体、その解釈運用に争いはありますが(今は、4要件全てを満たさないと整理解雇が無効になるという解釈はしないようです)、今日は割愛いたします。 今日はこれくらいで失礼いたします。 応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年04月02日 12時00分42秒
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